エルフの里
歩きながら、クレイが尋ねる。
「エルフの里って、人間が入っていいの?あまり人間と関わらないって聞いてるんだけど。」
「確かにあまり関わらないわね。人間って、私達を見ると、どうも理性を失う者が多いし、面倒くさくって」
笑いながら応えるスピナー。
「俺はいいの?」
「あなたに邪気は感じないし、理性も保ってるし、なんとなく気に入ったから。それにマジックパイソン腕に巻いてる人、初めて見たわ」
「ああ、珍しくみたいだね、マジックパイソンを従魔にしてるって、ギルドでも言われたよ。」
「でしょうね。ブラックアイリューシのマジックパイソン以外、人には慣れないものよ?どうやって手懐けたの?」
「ん?餌あげたら懐いた」
「運が良かったのかしらね?」
そんな会話をしていたら、肌に僅かな抵抗を感じた。
「ん?なんだこれ?」
「これが内側の結界よ。私達に害意が有る者は入らない結界なんだけど、すんなり入れたわね」
「まあ、害意は無いからね。興味はあるよ。」
「興味?」
「エルフと会ったの初めてだし、知らない事を知るのは、楽しいき、ワクワクする」
「そう、まあ、そんな面白い事は無いと思うけどね」
そうこうするうちに、大木が立ち並ぶ一角に到着した。
立ち並ぶというか、まるで壁のように、密着している。その中の一本の幹に、スピナーは手を当てると、不思議な事に、ポッカリ人、が通れるくらいの空間が出現する。
「どうなってんの?」
クレイが聞くと。
「門の幹に魔力流せば開くのよ。まあ、人間には、門の幹の見分けが、つかないでしょうけどね」
スピナーが答える。
「なるほど、これなら変な人間は、入って来れないね〜」
スピナーに続いて、空間を通り抜けると、そこは、木の上に小屋がある。どうやらエルフの家のようだ。そんな木が、かなりの数あった。中央に進んで行くと、外壁の木々よりも、かなりの太い、いや、太いなんてものではない、直径20メートルはあろうかという巨木。その上には、小屋がではなく、ちょっとした教会のような建物。
「ここが、エルフの里の長の住まいよ。」スピナーが言う。
「おい、スピナー!その人間は誰だ!何故連れて来た?」と声がする。
「あら、ピンストライプ、この人は、外の結界にいたオーガを倒してくれた人よ。服がダメになったから、替えをあげようと思って。クレイさん、この人は、私の双子の兄のピンストライプ。里の副長よ」
スピナーが言うので、
「初めてまして、クレイと言います。スピナーさんが、服をくれると言うので、厚かましく付いてきました。ご迷惑にならないようにしますので、よろしくお願いします。」と、丁寧に挨拶してみるクレイ。
「ほう、1人でオーガを?」
「それも三体よ!」スピナーが言う。
「ええ、一応」
クレイが言うと、
「強さが有って結界も越えた人間か、珍しいな。まあ、良いだろう。上がっていけ!スピナー、ちゃんと面倒みろよ。」
「もちろん!」
「じゃあ、俺は出かけるから、ゆっくりしていけよ、人間。」
「はい、ありがとうございます。」
「人間じゃなく、クレイよ!」
立ち去るピンストライプに、スピナーが怒鳴る!
「まったく、無愛想なんだから!」
スピナーが言うが、愛想良いエルフとか、少し幻滅だし、良いのではなかろうか。笑
「さあ、入って。とりあえず何か食べる?」スピナーが言う。
「え?いいの?」
「もちろん。せっかく来たんだし、ゆっくりしていけば?」スピナーが微笑むので、
「腹減ってたんだよ」
笑いながら、クレイが答えた。




