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初恋のお姉さんが「〝何もしてない〟のに彼氏に捨てられた」と泣きついてきたので、保護してしまった  作者: シゲ ノゴローZZ


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第17話 ギャンブル中毒

 幼少期に俺をお世話してくれたお姉ちゃんが、俺の前に跪いている。手洗いのせいで見慣れてるブラも、こうやってチラ見えすると興奮度が高いな。だけどね? ブラチラごときじゃ誤魔化せない領域なんだよ、お姉ちゃんの愚行は。


「なんで給料を即パチンコに注ぎ込むかなぁ?」


 貯金っていう概念ないんか? いつかは独り立ちしなきゃいけないんだよ? 仮に俺と結婚するにしたって、お金は必要なんだからな?


「だってぇ……」

「だってじゃないよ」


 情けない声を出したところで許されないよ、さすがに。この一ヶ月は一体なんだったんだよ。


「禁煙してる人ってさ、人が吸ってる見たら吸いたくなるって言うでしょ?」

「うん? あー、漫画とかアニメでの喫煙シーンを見るだけで、一本吸いたくなるらしいね」


 俺は一度も吸ったことないから分からんけど、下手な薬物より依存性あるんだっけか? 絶対吸わんとこ……。


「でさ、お姉ちゃんの職場ってパチンコ屋さんだからさ……」

「刺激されちゃったと?」

「うん!」


 良い返事だこと。美女の笑顔はある程度の無茶を押し通す力があるけど、それでもこればかりは看過できないよ。


「あのねぇ、二十代前半ならまだしもアラサーなんだよ?」

「女の子に年の話はNGだよ! 憧れのお姉ちゃんとして崇めるならいいけど!」

「アラサーがダメって話じゃなくてだね、本気で金を貯めなきゃいけない年齢だって話をしてるんだよ」


 お金って案外急に飛ぶよ? まともに生きるなら歯医者代と化粧品代だけで相当飛ぶわけだし。あっ、そういえば……。


「お姉ちゃんって健康診断とか受けてる? あと歯医者とか通ってる?」

「健康診断なんて受けるわけないじゃん、受けてる主婦見たことある? 歯医者さんも行ってないよ、虫歯ないし」


 うーん……。


「一回ぐらい健康診断行ってきたら? 人間ドックを受けろとまでは言わないから」

「えー……」

「歯医者も定期的に行った方がいいよ、毎日歯磨きしてるとしても」


 まあ歯医者に関しては俺も行く頻度少ないから偉そうには言えないけど。


「そんなこと言われてもお金ないよー」

「だからパチンコに行くなと……」

「だってさー、フリーターって人生詰んでるじゃん?」

「ん? 将来的な話をするなら、まあ……」


 詰んでるとまでは言わんけど、真綿で首を締められてる状態だと思う。あくまで繋ぎだってことを理解しないと、十年後地獄を見るだろうね。


「私みたいな工業高校卒が人生逆転するには、WIN5とか宝くじとかFXとか、とにかく大きいのを一発当てないと」

「……その理屈は分からなくもないんだけど、なんでパチンコ行ったの? 還元率で言えば割がいいかもしれないけど、人生逆転から最も遠いギャンブルだと思うよ」


 パチンコ打ったことないから良く分からんけど、多分めちゃくちゃ時間かかるギャンブルじゃん? 運が人一倍良いとしても、一日で稼げる額ってたかが知れてると思うんだよね(腰へのダメージも大きそうだし)。


「大きいのを狙うにも軍資金いるじゃん? 数百万ぐらいならパチスロで普通に稼げると思うし、悪くないと思うんだよねー」

「普通に稼げる? 黒字出してから言ってもらえるかなぁ」

「いや、それは軍資金が少ないからであって、軍資金が豊富なら、こっからまくることができるはずだよ」


 何言ってんだろう、この人は。どうせ収支つけてないんだろうなぁ(つけてたらつけてたで、意味不明な理論を展開して全ツッパしそうだけど)。


「ギャンブルというのは余剰資金でやるものだよ」

「生活費残してるんだから、これって余剰資金じゃないの?」

「最低限の貯金をした上で、端数をギャンブルに注ぎ込めってことだよ」

「端数を貯金してるからいいじゃん」


 ダメだ、同じ言語のはずなのに話が通じねえ。アレだろ? 千円単位でしか下ろせないから、必然的に端数が貯金されるってことだろ? あのなぁ……はぁ、どうツッコミを入れていいか分からねぇ。


「とにかく来月の給料は、ちゃんと貯金すること」

「……でも、その……」


 何? この期に及んでごねるつもりなの? そろそろ手が出るよ? お姉ちゃんと言えど、お金に関しては甘いことを言えないよ。


「同僚からお金を借りてまして……」

「はぁ!?」


 う、嘘だろ? 新人のバイトがお金を借りるって、人としてアウトだろ(ベテランでもアウトだけど)。貸す方も貸す方だけど、借りる方はもっとヤバいよ。


「いくら借りたのさ?」


 聞きたくねぇー!


「三万と五万……」


 二人から借りてるー!?


「八万円って、それ来月厳しくない? 今のシフトじゃ食費が消し飛ぶよ?」

「あっ、それは大丈夫だよ!」

「……その心は?」

「少しずつ返せばいいって言ってくれてるもん」


 それは泥沼だなぁ……。数十万ならまだしも、数万円を分割で返すようなヤツは大体飛ぶもん。なんなんだよ、この人は……。

 貸した人達のことを考えるなら俺が立て替えてあげるべきだが、ここはあえて手を貸さない。ちゃんと給料から返させないと、同じことを繰り返しちゃうからな。

 マジでどうしよ、結婚したら俺まで地獄に落ちそうなんだけど。かといって……。


「まっ、とりあえずビールでも飲んで気分をリセットしよっと」


 見捨てたらこの人は確実に路頭に迷うよなー。というかこのままだとどっかの男に刺されそうだわ、普通に。


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