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初恋のお姉さんが「〝何もしてない〟のに彼氏に捨てられた」と泣きついてきたので、保護してしまった  作者: シゲ ノゴローZZ


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第16話 テイカー

 週四から週五でバイトに入っていた手毬姉ちゃんだったが、気付けば週二(ほんのたまに週三)になっていた。姉ちゃん曰く、土日にバイトをして、平日は配信に集中したいらしい。真面目に働きつつ家事もこなしてる俺からすれば、なめんなよって感じだけど、働いてくれてるだけで御の字なんだよな。同僚に食事をタカってるのも、なんやかんやで家計的には助かってるし(あまりよくないことだが)。


「姉ちゃん、またなんか届いたよ」

「おおっ? コスメかなぁ、それともビールかなぁ」


 ズルいよなぁ、美人ってだけでリスナーからギフト贈られてくるんだから。大手の配信者みたいにリスナーが何十万人もいるならまだしも、たった数人のリスナーがギフト贈ってくれるんだぜ? まあ、数人だからこそかもしれんけど。


「ビールの詰め合わせだけど、よくもまあこの頻度で貰えるよね」

「配信で飲むところ見せたら、貰える頻度増えたんだよね」


 確かに手毬姉ちゃんって、ビールのCMかってぐらい美味しそうに飲むもんな。親がテレビ関係者だったら、本当にビールのCMとかポスターに起用されてたかもしれない(今は水着を着なくてもいいだろうから、俺としてもそこまで痛手じゃない)。


「自分のあげた物を使ってもらえるのって嬉しいもんね」

「ふふっ、平均同時接続十人いるかどうかでこのプレゼント量なんだから、有名配信者みたいに同時接続一万人いけば、今の千倍貰えるってことだよね。プレゼントだけで年間一億円いっちゃうなぁ」


 そんな都合の良い計算がありますか。仮に一億円いったら、それはそれで贈与税が大変じゃない? 五千万円ぐらい取られると思うよ、この国の税金回りは頭おかしいからさ。


「十人だからこそだと思うよ?」

「え? どゆこと?」

「認知してもらうために無名の配信者に張り付く人って、結構いるんだよ。大手の配信者にビール贈ったところで下手すりゃお礼すら言われないけど、無名ならお礼どころか名前を覚えてもらえる可能性だってあるし」


 これはわりと真理だと思っていて、事実としてお姉ちゃん宛のプレゼントは、いずれもギフトメッセージ付きだ。まあ残念ながら、お姉ちゃんに名前を覚えてもらうことは不可能なんだけど(貢いでもらうことを当然だと思ってるフシがあるし)。


「どうせ届かないと思うけど、贈与税に気を付けなよ」

「あはは、さすがにこんなギフトまで目をつけてないっしょ」

「税務署を舐めちゃいけないよ」


 油断してる人達いるけど、おそらく泳がされてるだけだと思う。泳がせば泳がすほど証拠が溜まっていくし、一気に搾り取ることができる(払う気ない人達は税金対策で節税したりしないだろうし)。


「じゃあ一応記録だけはつけておくよ、面倒だけど」


 不安だなぁ……。


「それがいいと思う。まあギフトの合計が百万越えそうになったら、一旦切ればいいだけなんだけど」

「えー? それもったいなくない?」

「どうせ百十万円分もいかないし、年をまたげばリセットされるよ」

「あー、それならまあ……」


 イマイチ納得いってないみたいだけど、どうせ打ち止めになるから杞憂だよ。視聴者数が少ないってことは、向こうの軍資金の合計も少ないってことだから。


「それはそうとバイト大丈夫なの? シフト少なすぎない?」

「んー……女の子達が少し冷たくなってきたかなぁ」


 でしょうね!


「当たり前だよ……」

「なんで? 所詮はバイトだよ? 店長さんが文句言うなら分かるんだけど」

「あのねぇ、まず整形とか厚化粧無しで美人って時点で、少なからず敵視されてるんだって」

「気持ちがいいねぇ、それは」


 敵視されてるんですよ? いや、バイト先の女の子達が本当に、それで敵視してるかどうかまでは分からんけど。


「で、そんな美人が男達からご飯を奢られまくってるわけじゃん?」

「いやぁ、若い女の子を差し置いて最年長の私に奢ってくれるなんて、皆年上のお姉ちゃんに飢えてるのかなぁ」


 最年長なんだ……。そりゃまあ、まともな人は二十八歳にもなってフリーターなんかしないもんな(病気とかトラブルもあるから一概には言えんが)。


「空気悪くなるよ、そりゃ」

「やっぱ? 傾国の美女って言葉があるぐらいだもんね」


 危機感薄いなぁ、俺から見るとバイト飛ぶまで秒読みなんだけど。

 ……まさかとは思うけど、バイトを辞めたらその分配信時間が増えるから配信だけで食っていけるとか、そういう浅はかな考えは持ってないよね? 配信で食っていけるのなんて、ほんの一握りだけだからね? 手毬姉ちゃんは露出しない方針なんだから、まず無理だよ。トーク力ある人でも露出しないと厳しいのに、大してトークできない姉ちゃんじゃ食っていけないって。


「とにかくたまにはシフト増やしなよ、シフト少ないと立場悪くなるから」

「うーん……無理した結果バイトを辞めるよりも、軽いシフトで長く続ける方がいいと思うんだよね。白眼視よりも、ハードワークの方がしんどいもん」


 つくづく羨ましいなぁフリーターって、自由気ままで。俺も自由にシフト組んでみたいよ。給料下がってもいいから仕事の日数を減らしてくれよ、別に長期休暇の時に仕事してもいい派の人間だから。

 まあとりあえず姉ちゃんは近い将来仕事を辞めるのが確定っと。


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