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つつがなく 〜湯灌にまつわる二十の小話〜  作者: 藤紫


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7/20

7話目 『後ろに乗せる』

私はバイクに乗ります。バイクって気持ちいいもんですよ。ヘルメットは被っておりますが、その他はほぼ日常生活と変わらぬ格好で、高速道路をぶっ飛ばしたりするんですから。

でも、後ろに荷物を積んでると、感覚が変わるんですよね。



その日の施行は20代男性、バイクでの単独事故だったそうです。

斎場に着くと故人様のお母様は凛とした佇まいで私共にご対応くださいました。施行中も目を離さず、静かな時間でございました。そんな静かな時間の中、故人様を祭壇前にご安置させていただきました。


控室の扉にノックの音が響きました。その扉が開くとそこには、包帯に松葉杖、痛々しい姿の女性がいらっしゃいました。

『最後のご挨拶を…』


途端…



私の後ろに般若がいました。



『なんであんたがここにいるのぉぉぉぉ。出てけ、出てけ、出てけぇぇぇ』


先ほどまで悲しみを堪え、静かに故人様をしのばれていたお母様が、地下の霊安室にまで届きそうな声で叫ばれました。


私共はそのまま斎場を後にしました。


会社に戻った後、いつものようにバイクへ跨りました。

後ろは、妙に軽く感じました。

それでは、次の斎場へ参ります……。

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