code07:vision08 Living
思い切って言ったものの。
恥ずかしさは拭えなかった。
まだ5日目。
早かったか、でも毎晩通るし。
などと、いろいろ考えてしまう。
はじめて自分の部屋に、
高桐を招いたのだった。
「綺麗じゃないですが……どうぞ」
顔も上げられず、玄関を開けた。
高桐が笑っているのが分かる。
「じゃ、遠慮なく」
入って左に洗面とトイレ。
正面にリビングに出るドアがある。
それらを説明しながら、廊下を進んだ。
リビングの電気をつけて、ドアを開く。
「ほんとに何もないんですが。
どこでも座ってください」
「じゃあソファでいい?」
うなずくと。
高桐は三朝の手を取って、中に入った。
一緒に座れという事らしかった。
「なにか飲み物とか……」
「いいよ、今は」
ソファの上で、静かに抱き寄せられた。
腕に力を込めて、髪に顔をうずめている。
まだ上手く慣れない自分を感じていた。
「来ていいって言うと思わなかった」
やっと聞こえるくらいの声で言う。
「思ったより早くて、嬉しかった」
高桐らしい、まっすぐな言葉だった。
「毎晩、前を通るので……」
「そうか……何もないって言ってたけど。
十分、立樹の部屋って感じたな」
やがて高桐が少し動いて。
少し湿った感触を唇に受けた。
はげしくない、優しい触れ方だった。
離れると。
腕は腰に回したまま、高桐が言った。
「一応、聞くけど」
答える代わりに、高桐を見上げた。
「気にしてないよな、北川の事」
「え?」
「ホントに友達だから。一度も」
「ああ……」
笑みがこぼれていた。
「疑ってませんよ、ぜんぜん」
「ならいいけど」
「壁のない人でしたね、すごく」
「誰にでもじゃないよ。滅多にない。
立樹の事は気に入ったみたいだな」
「だったら良かったです」
また、もう少し話してみたい。
過去一、面白い人の部類に入る。
そんな気がしていた。
「俺は」
同じ姿勢のまま、高桐がつぶやく。
「立樹には、まだ壁を感じるけどな」
目を見たまま、黙り込んでしまった。
どう返していいのか、分からなかった。
うっすらと笑っているから。
責めているのではない事は分かる。
「まだ付き合ってからは日が浅いけど。
ちょっとでも慣れてくれたらいいなと思う」
目線を外して、少し笑った。
「だって」
「なに」
「上官でもありますからね、高桐さんは。
いまだって」
「そうだけど」
「北川さんみたいに、キャスト・オフ。
できないです、うまくは」
考えるように、しばらく瞬きして。
少し笑って、また三朝を抱き寄せた。
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