code07:vision07 キャスト・オフ
違和感の正体。
「あ……」
「実は、
『はじめまして』じゃありませんでした」
即座に思い出していた。
クラブ・アリアでは遠目に見た。
高桐と仲良く話していた女性だった。
「解除って、お前」
高桐は、あの夜と同じく笑っている。
「だってモードオフすんだよ?解除だろ」
「振り幅が極端なんだよ、いつも」
「当然だろ。こんな魔窟で仕事すんだから」
つまり、どういう知り合いなんだろう。
知り合いという温度ではないが。
「ごめんね、立樹警部補。わかんないよね。
高桐とは同期でね。大学から一緒なんだ」
思わず、ふたりを交互に見てしまう。
早く言ってくれよ、そういうことは。
「怒らないであげてね。監査だから。
いきなり友達って言うと、ね?」
すまん、と言うように北川が手をあげる。
「アリアにもね。張り込みしてるって聞いて。
視察に行ったんだ。だって入ったことないし、
あんな店。高桐も久しぶりだったよね」
「事件が入って時間もなくなったからな」
「立樹警部補が来るまではね。
飲みにも行ってたんだよ。奈守もだけど。
また行こうよね。次は立樹警部補も一緒に」
人が変わったように明るく笑いかけてくれる。
「付き合いはね、もう12年?かな」
「わりと何でも話せる友達なんだ」
高桐が言う。
北川警部が「そうそう」とうなずいた。
たしかに空気感が似ていると感じた。
分からないなりに、かなりの仲だと。
「長い友達。だから安心してね」
「え」
つい高桐を見てしまった。
――それって。
「こいつは人を見る鬼だからな。
それを買われて警務にいるんだ」
北川警部は「はは」と笑い。
「ま」
机に両手をついて軽く伸びをした。
「これからもよろしくね、立樹警部補。
あ、みーちゃんて呼んでいいかな。いいよね。
後輩だし」
「距離感おかしいんだよ、いつもいつも」
監査室を出て。
エレベーターに乗ると高桐が見下ろした。
「黙ってて悪かったな。ああいう奴だから」
「いえ。お会いできてよかったです」
「何かの時は頼ったらいい。同じ庁舎だし」
「はい。遠慮なく」
階数表示を見上げて、言った。
「今夜も来るだろ?」
三朝は、いつもの勢いで返事しかけ。
つと思いとどまり。
目を向けた高桐に、決意して告げた。
『LOVERSコード』および関連作品に掲載されている文章・画像・動画・ロゴ・キャラクター・設定等の権利は、作者・蒼貴みかげに帰属します。




