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第7話:覚醒度12%の理由

お読みいただきありがとうございます!


鬼教師・黒岩先生の再起を経て、物語はついに幼なじみ・高橋美咲のエピソードへ。

『潜在レベル:SSS』という規格外のピアノの才能を持ちながら、なぜ彼女の覚醒度は「12%」で止まっているのか?

その裏に隠された美咲の過去とトラウマに、拓真が切り込んでいきます!

黒岩先生が市民マラソンに向けて走り始めてから数日。

放課後の校内に、どこからか切なくも美しいピアノの音色が風に乗って聞こえてきた。


つられて特別教室棟の音楽室へと向かうと、少し開いたドアの隙間から、誰もいない室内のグランドピアノに向かう美咲の姿が見えた。


夕日を浴びながら指先を滑らせる姿は、まるで絵画のように幻想的だ。

その頭上には、あの日から変わらず燦然と輝く文字。


『才能:音楽的才能(ピアノ) 潜在レベル:SSS 覚醒度:12%』


だが、鍵盤を叩く彼女の表情は硬い。

曲がサビに差し掛かろうとしたその瞬間、美咲の指がピタリと止まった。


「……やっぱり、ダメだ」


美咲は鍵盤に突っ伏し、ぽつりと呟いた。抑え込んだような小さな溜め息が部屋に落ちる。


「美咲」


俺がドアを開けて中に入ると、美咲は弾かれたように跳ね起き、慌ててピアノの蓋を閉めた。


「た、たくま!? いつからそこに……っ」

「最初から。相変わらず上手いじゃん、ピアノ」


俺の言葉に、美咲は悲しげに目を伏せ、首を振った。


「上手くなんてないよ。途中で止まっちゃったし……もう、昔みたいには弾けないんだ」


「昔?」


俺の問いかけに、美咲は自嘲気味に微笑んだ。


「たくまは覚えてないかもしれないけど……私、小学校のとき、大きなコンクールで途中で演奏をやめて逃げ出したことがあるでしょ?」


(あ……)


脳裏にうっすらと記憶が蘇る。

小学5年の冬。ドレスを着た美咲が舞台の途中で泣き出し、そのままピアノをやめてしまったあの日のことだ。


「あのときね、周りの大人たちの期待が凄く重くて……失敗したらどうしようって怖くなっちゃったの。それ以来、最後まで弾こうとすると指が固まっちゃうんだ。趣味でポロンと弾くくらいはできるけど……本気で弾くのは、もう無理」


美咲が胸元をギュッと握りしめる。


その瞬間、彼女の頭上のステータスに変化が現れた。


『トラウマ:コンクールでのトラウマ・他人の評価への恐怖(抑圧度:90%)』


(抑圧度90%……黒岩先生よりも重いじゃないか)


覚醒度12%。

それは彼女が自分の才能に鍵をかけ、恐怖から逃げるために作った「壁」の数値だったのだ。

SSSという世界を揺るがすほどの才能を持ちながら、彼女自身がその力に押し潰されていた。


「美咲」


「……なあに?」


俺は美咲の前に歩み寄り、閉じられたピアノの蓋にポンと手を置いた。


「文化祭の有志発表、一緒にエントリーしよう」


「……え?」


美咲が呆然と目を見開いた。


「何言ってるの? 私、途中で弾けなくなるって言ったじゃん! 舞台なんて絶対無理だよ!」


「一人で弾けって言ってるんじゃない。俺が最高の舞台を作ってやる」


俺はまっすぐに美咲の目を見つめた。


「他人の評価なんてどうでもいい。お前がピアノを好きだった頃の音を、俺に聴かせてくれ」


「たくま……」


揺れる美咲の瞳。


現実世界という最高のステージで、最強のヒロインを覚醒させる――俺のプロデューサーとしての真価が、今試されようとしていた。

第7話(通算第7話)をお読みいただきありがとうございました!


幼なじみ・美咲の覚醒度が12%に留まっていた理由、そして重いトラウマの存在が明らかになりました。

挫折を乗り越え、彼女の『SSS』才能を開花させるため、拓真が提案した「文化祭ステージ」の作戦とは……!?

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