シーズン2 第12話:砂漠の幻想、そして新たな地平へ
いつもお読みいただきありがとうございます。『トラックに轢かれたのに異世界転生できませんでした。~現実世界で【才能鑑定】のチートが生えたので、隠れ天才たちをプロデュースして最高に面白い日常を作ります~』、中東・ドバイ編の完結を迎える第12話をお届けします。
オイルマネーと最新鋭のAIで街を支配していたエネルギー王ザキールを完膚なきまでに打ち破り、黄金の要塞を鮮やかな幻想のステージへと変貌させたドバイ編のフィナーレ。不正を暴かれ失脚した独裁者の末路と、次なるステージへ向けて世界を股にかけ飛び立つ彼らの旅立ちをどうぞお楽しみください!
「――ば、馬鹿な……! 私が築き上げたオイルマネーの帝国が、こんなガキどもの悪ふざけごときに……っ!」
サン・タワー最上階の統制室。豪華なペルシャ絨毯にひざまずき、ザキール・アル=ガジは目の前で崩壊していく自分のすべての富と権力の証を呆然と見上げていた。
彼の不正蓄財のデータ、そして市民を冷徹に管理・搾取していた全記録は、すでに九条奏の手によって世界中のメディアやSNSへと強制配信され、地球の裏側にまでその醜態が晒し出されている。
「お前の帝国を支えていたのは、金と権力じゃない。ただの恐怖と退屈だ。だが、それもここまでだな」
冷徹な声とともに、佐藤拓真は圧倒的な敗北に打ちひしがれるエネルギー王を見下ろした。
彼の瞳に宿る【才能鑑定】の光は、すでにこの街からすべての「淀み」が綺麗に洗い流されたことを正確に捉えていた。
「プロデューサー、ザキールの隠し口座から回収した資金の洗浄、完璧に完了したわ。慈善団体への寄付はもちろん、今回の遠征にかかった経費もしっかり差し引いておいたから安心して」
奏はノートPCをパタンと閉じ、満足げに微笑んだ。
「いやぁ、砂漠の真ん中で派手に暴れまくったな! あの警備ドローンども、俺の磁場で全員まとめてスクラップにしてやったぜ」
如月蓮が両手を組み、爽快な笑みを浮かべる。
「私の描いた色彩、あの成金趣味の黄金都市を一番イカしたアートに染め上げてあげたわ。芸術の価値も知らない連中に、最高のお灸を据えられた気分よ」
蓮見もスプレー缶をクルクルと回しながら、誇らしげに胸を張った。
砂漠の都に刻まれた伝説
数日後、ドバイのエネルギー王ザキールの失脚と、メガシティの管理システムの崩壊のニュースは、世界中に衝撃と大きな笑いをもたらした。
人々は恐怖するどころか、世界中の不正な権力者を次々と「エンターテインメントの生贄」にしていく謎の天才集団の噂に熱狂し、次に彼らがどこへ現れるのかを心待ちにしていた。
ドバイの国際空港。灼熱の太陽が沈みゆく中、プライベートジェットのタラップを軽快に登りながら、拓真は夜空に輝く星々を見つめた。
「異世界には行けなかった。だが、俺たちは現実の地球を、どんなファンタジーよりも最高に面白い世界に染め上げている」
拓真の呟きに、天才たちは不敵な笑みで応じた。
プライベートジェットは轟音を響かせ、砂漠のオアシスを後にして、さらなる混沌と退屈を知る新たな大国へと向けて漆黒の夜空へ飛び立っていくのだった。
(シーズン2・中東編 完 / 次章へ続く……!)
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!
バチカン、ラスベガス、北欧を経て、灼熱の砂漠都市ドバイを舞台に繰り広げられたシーズン2「中東編」。ザキールの傲慢な管理社会を、拓真の采配と、奏・蓮・蓮見の天才的な才能のシナジーで見事にぶち壊す、最高にスリリングで痛快なエピソードとなりました。
金や権力で世界を退屈に縛る者たちに対し、自分たちの圧倒的な面白さとエンターテインメントで牙をむいていく佐藤拓真たちの暴走劇は、ここでシーズン2の大きな節目を迎えます。しかし、退屈な大国や眠れる天才たちは世界中にまだまだたくさん存在しています。
中東編を応援してくださった皆様、本当にありがとうございました!さらなる混沌とワクワクに満ちた次章の幕開けも、ぜひ心待ちにしていてください。それでは、また新たなステージでお会いしましょう!




