シーズン2 第5話:新たなステージ、凍てつく北欧の巨塔
いつもお読みいただきありがとうございます。『トラックに轢かれたのに異世界転生できませんでした。~現実世界で【才能鑑定】のチートが生えたので、隠れ天才たちをプロデュースして最高に面白い日常を作ります~』、シーズン2の新章開幕となる第5話をお届けします。
ラスベガスでの大騒動を終え、次なる舞台として一行が降り立ったのは凍てつく北欧ノルウェー。人間の感情や個性を「無駄なバグ」と切り捨てる超巨大テック企業を標的に、新たなグローバル暴走劇が幕を開ける北欧編のスタートをどうぞお楽しみください!
「――で、今度はどこに向かっているのよ、プロデューサー。バチカンとラスベガスの次は、まさか南極のペンギンでもプロデュースするつもり?」
プライベートジェットの革張りのシートに深く腰掛け、九条奏は冷ややかな目を佐藤拓真に向けた。
ラスベガスのカジノ王を完膚なきまでに沈めてから数日。世界を股にかけた大掛かりな「バグらせ劇」を終えたばかりだというのに、拓真の手元のタブレットにはすでに次のターゲットのデータが表示されている。
「ペンギンをプロデュースする暇があったら、もっと退屈で仕方のねえ超大国をバグらせるぞ。今回の目的地は――北欧、ノルウェーの首都オスロだ」
拓真の言葉に、窓の外の雲海をぼんやりと眺めていた如月蓮が、ぴくりと反応して振り返った。
「北欧……? おい、あそこって確か、世界最高峰のセキュリティを誇る超巨大テック企業の本社がある場所じゃなかったか? たしか名前は……『フェンリル・システムズ』とかいう」
「よく知ってるな、如月。その通りだ」
拓真は不敵に笑い、一枚の写真データを全員の前に放り投げた。
そこに写っていたのは、雪景色の中にそびえ立つ、一切の隙がない無機質な超高層ビル――通称「氷の巨塔」。
フェンリル・システムズは、世界中の人工衛星や防衛ネットワークの基幹システムを牛耳る、現代科学の要塞だった。そのCEOである男は、「人間の感情や個性なんてものは無駄なバグにすぎない。すべてを完全管理されたAIの算法通りに動かすべきだ」と豪語する、極度の合理主義者であり、世界を最も退屈な「管理社会」に染め上げようとしている危険人物だった。
「AIの算法がどうとか、人間の個性がバグだとか……私の描く色彩も、蓮の超能力も、あんな無機質な連中に言わせりゃ『排除すべきエラー』ってわけね」
蓮見はスケッチブックを強く握り締め、その瞳に冷たくも美しい闘志の炎を宿した。
「おもしろいじゃない。あんな氷の要塞、私の圧倒的な色彩で凍りついた心を丸ごと溶かして……いや、もっと盛大にぶっ壊してやろうじゃないの」
「賛成だぜ。管理社会のルールなんて、俺の磁場でスクラップにしてやるよ」
蓮が両手をバキバキと鳴らし、不敵な笑みを浮かべる。
北欧の夜空に走る雷鳴
飛行機がオスロの国際空港に静かに着陸したとき、外の世界は肌を刺すような凍てつく冷気に包まれていた。
だが、彼らの胸の内にある熱量は、これまでのどのステージよりも高く燃え上がっていた。
「準備はいいか、お前ら。世界を管理しようとする退屈なエリートどもに、人間が持つ最大の『予測不能なバグ(才能)』を見せつけてやるぞ」
拓真の号令のもと、天才たちの新たなグローバル暴走劇――シーズン2「北欧編」の幕が、今まさに凍てつく大地の底で静かに、そして盛大に振り下ろされるのだった。
最後までお読みいただきありがとうございます!
バチカン、ラスベガスを経て、いよいよ舞台は北欧の要塞都市オスロへ。今回の相手である「管理社会の化身」のような超巨大テック企業に対して、拓真たち個性豊かな天才たちがどう挑んでいくのか。無機質なシステムをいかにして鮮やかなファンタジーへと書き換えるのかが最大の見どころとなります。
世界を退屈から救うためのプロデュース劇は、さらなる冷気と熱気を帯びて加速していきます。次回の第6話もお楽しみに!感想や温かい応援をいつも本当にありがとうございます!




