シーズン2 第6話:氷の巨塔へ潜入、管理された街の綻び
いつもお読みいただきありがとうございます。『トラックに轢かれたのに異世界転生できませんでした。~現実世界で【才能鑑定】のチートが生えたので、隠れ天才たちをプロデュースして最高に面白い日常を作ります~』、北欧編が本格始動する第6話をお届けします。
完全管理された無機質な要塞「氷の巨塔」を舞台に、拓真たちが潜入作戦を敢行する今回。人間の感情をエラー扱いする傲慢なテック企業を相手に、天才たちの才能がどのように牙をむくのか、緊張感あふれる潜入劇をお楽しみください!
「――おい、何だこの街は。息が詰まりそうだな」
ノルウェーの首都オスロ。石畳の美しい街並みは一見すると穏やかな北欧の風景だったが、街を行き交う人々の表情は一様に硬く、誰もが手元の端末に縛られるように機械的な足取りで歩いていた。
上空を無数の自動監視ドローンが絶えず旋回し、街全体が巨大なコンピューターの管理下にあることは、素人目にも明らかだった。
超巨大テック企業「フェンリル・システムズ」の本社ビル――通称「氷の巨塔」は、その街の中心にそびえ立つ、完全防護のガラスと特殊合金で築かれた要塞だった。
「人間を効率的なデータとしてしか見ていないCEO、オーディン・ベルクマンの仕業よ。この街のシステムは、個人の感情の揺らぎさえも『エラー』として検知して排除するようにプログラミングされているわ」
九条奏はタブレットの画面を覗き込みながら、忌々しげに鼻を鳴らした。
「人間の個性をエラー扱いとはいい度胸じゃねえか。あたしたちの存在そのものが、あいつらにとっては特大のバグってわけだ」
蓮見は不敵に笑いながら、スプレー缶の感触を確かめる。
「まあ、退屈な管理社会をぶっ壊すには、これ以上なくやりがいのある相手だな。で、プロデューサー、どうやってあの鉄壁の巨塔に潜り込むんだ?」
如月蓮が両手を組み、佐藤拓真に視線を向けた。
拓真は冷徹な瞳で「氷の巨塔」を見上げながら、不敵に笑みを深めた。
「正面からパスを見せて入るわけねえだろ。あいつらは『完璧な算法』を過信しているからこそ、想定外のイレギュラーにめっぽう弱い。……お前らの才能を、最高のタイミングで噛み合わせるぞ」
潜入、そして仕掛けられた序幕
奏のハッキングによって街中の防犯カメラの映像を「平常時のループ映像」へと書き換え、蓮の微弱な磁場操作で警備ドローンのセンサーを完全に狂わせる。
一行は、フェンリル・システムズの厳重なセキュリティ網をまるで透明人間のようにすり抜け、ついに巨塔の地下メインデータルームへと足を踏み入れた。
「――よし、ここが中枢回路ね。この奥に、世界中の人々の感情データを監視・統制しているメインAI『フェンリル』のコアがあるわ」
奏がノートPCを高速で叩き、要塞の分厚いロックを次々と解除していく。
しかし、その瞬間、巨塔全体の警報ランプが一斉に禍々しい赤色の光へと変わった。
『警告。未承認のアクセスを検知。セキュリティ・プロトコル、フェーズ2へ移行します』
冷徹な機械音声がビル全体に響き渡る。管理者のオーディンは、すでに侵入者に気づいていた。
「ほう……流石に反応が早いな。だが、遅すぎた」
拓真は自分の【才能鑑定】を発動させ、巨塔のシステムに潜むわずかな「構造的慢心」を見つけ出す。
「九条、全てのデータ回線を解放しろ。蓮、蓮見、お前たちの全力でこの無機質な塔をぶっ壊せ。――ここからが、本当のショーの時間だ」
最後までお読みいただきありがとうございます!
北欧の冷たい空気の中、完全管理社会の象徴であるフェンリル・システムズの本社へ潜入を果たした拓真たち。奏の華麗なハッキングと、チームの連携によるスマートな侵入劇はスリル満点だったのではないでしょうか。
しかし、ここからが本当の勝負。AIによる完全管理を誇る敵のCEOオーディンに対し、彼らはどのような「予測不能のバグ」を見せつけるのか。巨塔を舞台にした壮大なプロデュース劇の結末へ向けて、物語は一気に加速していきます。
次回の第7話もお楽しみに!感想や温かい応援をいつも本当にありがとうございます!




