第25話:国家機関との交渉、そして「次の一手」
いつもお読みいただきありがとうございます。『トラックに轢かれたのに異世界転生できませんでした。~現実世界で【才能鑑定】のチートが生えたので、隠れ天才たちをプロデュースして最高に面白い日常を作ります~』、第25話をお届けします。
前話のラストで突如現れた国家の特務機関との緊迫の対面。今回は、主人公・拓真がその卓越したハッタリと肝の据わった交渉術でどう切り抜けるのかを描きました。現実世界を舞台にしたプロデュース活動が、いよいよスケールアップしていく展開をお楽しみください!
「――国家の特務機関、ね。いやぁ、お迎えが来るのがちょっと早すぎやしませんかね?」
目の前に座る白髪の紳士、内閣情報調査室の特命担当官を名乗る男――桐島を前に、佐藤拓真は臆するどころか、不敵な笑みを浮かべてコーヒーカップを傾けた。
隣では、如月蓮が青い顔をして固まっている。特務機関という響きだけで、彼の精神的ストレス値は限界突破寸前だった。
「君たちのやっていることは、ただの『ネットの悪ふざけ』にしては影響力が大きすぎた。……特に、君のその【才能】だ、如月くん」
桐島は冷徹な視線を蓮に向けた。その言葉に、蓮の体がビクリと跳ねる。彼らが昨夜の動画を単なる「高度なCG」ではなく、本物の超常現象の片鱗であると見抜いているのは明白だった。このまま連行されれば、二度と表の社会には戻れまい。
だが、拓真は慌てず騒がず、スマホを取り出してテーブルの上にスライドさせた。
「連行しようってなら無駄足だ。俺たちの手元には、今回の動画の『未編集ローデータ』と、もし俺たちが消された場合に自動で世界中に拡散されるバックアップファイルが仕込んである。……さて、国家機密として隠蔽したいのか、それとも別の落とし所を探したいのか、どっちだ?」
拓真のハッタリ交じりの交渉術に、桐島の眉がピクリと動いた。
もちろんそんな高度な予約投稿システムなど組んでいないが、ハッタリを本物に見せつけるだけの度胸と実績が、昨夜の爆発的なバズによって裏付けられていた。
静寂が支配するテーブル。数秒の沈黙の後、桐島はふっと肩の力を抜き、フッと微かに笑った。
「……大した肝っ玉だ、佐藤くん。君のそのプロデュース能力、上の連中も『変に圧力をかけて暴走させるより、監視下に置いた上でコントロールした方が得策だ』と判断したらしい」
新たな契約と、カオスな日常の加速
国家機関との交渉は、予想外の形で着地した。
秘密裏に政府の「特殊才能保有者保護・管理プログラム(ただし実態は拓真の自由なプロデュース活動が前提)」の枠組みに入れられること。そして、蓮の超能力の実験や公開は、すべて拓真のプロデュースする「エンターテインメント企画」の一環として偽装・管理されること。
「つまり、俺たちは公認の『やばい配信者』になったってことか?」
カフェを出た後、蓮はぐったりとした足取りで呟いた。
「そういうことだ。国のお墨付き(?)をもらったんだから、もう遠慮はいらん。次の企画は、いよいよあの天才画家・蓮見も巻き込んで、『リアルとファンタジーの融合個展』を開くぞ!」
拓真の瞳には、さらなる狂気とワクワクの色が宿っていた。
異世界には行けなかった。だが、目の前にあるこの現実世界を、誰よりも最高に面白い「ファンタジー」に染め上げてやる――。
トラブルと天才たちを乗せた拓真の暴走機関車は、今日もアクセル全開で次のステージへと突き進むのだった。
最後までお読みいただきありがとうございます!
国家機関との交渉をまさかの「公認(?)のエンタメ活動」に着地させた拓真。裏の圧力を逆手に取って自分たちのペースに持ち込む彼の強かさと、相変わらず振り回される超能力少年・蓮のコンビネーションも板についてきました。
政府の監視という新たなスパイスが加わり、次回からはさらにカオスで大掛かりな企画が動き出します。天才画家・蓮見との合流も含め、現実世界をファンタジーに染め上げる物語はまだまだ加速していきますので、今後の展開もどうぞご期待ください!
それでは、次回の第26話もお楽しみに!感想やレビュー、温かい応援をいつも本当にありがとうございます!




