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第23話:第一回・超常エンタメ撮影、開幕

いつもお読みいただきありがとうございます。『トラックに轢かれたのに異世界転生できませんでした。~現実世界で【才能鑑定】のチートが生えたので、隠れ天才たちをプロデュースして最高に面白い日常を作ります~』、第23話をお届けします。


前話でスカウトされた超能力少年・如月蓮と、主人公・拓真がいよいよ最初の動画撮影に挑む今回。廃工場を舞台に繰り広げられる規格外のアクションと、ネット社会を巻き込んでいくバズの瞬間を描きました。現実世界が徐々にファンタジーの色を帯びていく爽快感をお楽しみください!

翌日の夜、東京都心の立ち入り禁止区域となっている廃工場の屋上。冷たい夜風が吹き抜ける中、佐藤拓真は手持ちのジンバル付きカメラを構え、三脚の角度を念入りに調整していた。


「おい、本当にこんなことやるのかよ……」


カメラのファインダーの向こうで、如月蓮が青ざめた顔で呟く。その足元には、廃材や打ち捨てられた鉄パイプが転がっていた。

昨日の今日でいきなり「撮影だ」とここに連れてこられた蓮は、未だに戸惑いを隠し切れない様子だった。しかし、拓真の目は本気だった。


「当たり前だ。鉄は熱いうちに打て、才能は暴走する前にバズらせろ、これが俺のプロデュース信条だ」


「信条が胡散臭すぎるだろ……! そもそも、これ誰に見せるんだよ。ネットに上げたら即座に公安とかが動くんじゃねえのか?」


「心配すんな。今の世の中、いくらリアルでも『すげえCGの特撮パフォーマー』って思われればこっちのもんだ。お前の超能力を、究極の『インディーズ・アクション映画』として偽装して配信する」


拓真の肝が据わった言葉に、蓮は苦笑いを漏らすしかなかった。

しかし、心のどこかで――この退屈で息苦しい日常を何とかしてほしかったという渇望が、拓真の無茶な提案を受け入れさせていた。


「わかったよ。……その代わり、もし炎上して人生詰んだら、一生あんたのパシリだからな」


「上等だ。じゃあ、カメラ回すぞ。――3、2、1、アクション!」


拓真の合図とともに、蓮がふっと息を吐き出し、その瞳に鋭い光が宿った。


次の瞬間、周囲の空気が重く沈み込む。

蓮が右手を軽く握りしめると、足元に転がっていた数トンの鉄骨やコンクリートの破片が、まるで無重力空間にいるかのようにふわりと宙へと浮き上がった。


「すげえ……」


カメラを構えながら、拓真は思わず息を呑んだ。

CGでもVFXでもない、正真正銘のリアルの超常現象。微かに青白い光を帯びた磁場の歪みが、夜の闇の中で異様な美しさを放っている。


蓮はその浮遊する鉄の塊を、まるで自分の手足のように自在に操り始めた。

ビュン、と唸りを上げて夜空を引き裂く鉄骨。蓮が腕を振るうたびに、廃工場の壁面が風圧だけで抉り取られ、轟音と共に崩れ去っていく。それは危険極まりない破壊衝動であると同時に、見る者を圧倒する凄まじいまでのエンターテインメントだった。


「もっと派手にいけ、蓮! カメラのフレームに収まるように軌道をコントロールしろ!」


「指示すんな、これでも必死なんだよ!」


少年たちの息の合った(あるいは拓真が無理やり合わせた)狂気のセッションは、深夜の廃工場を完全に異世界の闘技場へと変えていた。


配信の夜、世界が揺らぐ

その数時間後。

拓真の手によって編集され、限界まで誇張されたアオリ文句と共に、動画配信サイトに一本の動画が投稿された。

タイトルは――『【実写】素人が本気でサイコキネシス使ってみた結果wwwwww』。


最初は冷やかしのコメントや、「どうせ巧妙なCGだろ」という反応が並ぶ。

しかし、動画の再生時間が進み、あまりにもリアルな物理法則の無視と、コンクリートが粉砕される生々しい破壊描写が映し出されるにつれて、コメント欄の空気が一変していった。


『……待て、これVFXのメイキングとかじゃないよな?』

『影の落ち方と光の反射が完全に本物なんだが』

『え、何これ、どこのインディーズ映画? いや、マジの超能力者……?』


拡散のスピードは、拓真の予想すら遥かに超えていた。

投稿からわずか一時間でトレンドのトップに躍り出たその動画は、ネットの海を瞬く間に飲み込んでいく。


スマホの通知音が鳴り止まないディスプレイを見つめながら、拓真は満足そうに口角を上げた。

――よし、第一段階はクリアだ。

現実世界をファンタジーに染め上げるための歯車は、今、確実に最高回転で回り始めたのだった。

最後までお読みいただきありがとうございます!


無事に第一回目の「超常エンタメ撮影」を終え、ネットの海へと放たれた如月蓮の動画。予想通りの大反響を引き起こし、拓真のプロデュース計画は順調滑り出し……と思いきや、ネットのバズは現実世界へも強烈な波紋を広げることになりました。

一気に世界を揺るがし始めたことで、次回第24話ではいよいよ「あの組織」が動き出します。加速していくカオスな日常と、拓真の次なる一手にご期待ください!


それでは、次回の第24話もお楽しみに!感想やレビューも引き続きお待ちしております!

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