第22話:危険すぎる原石と、初対面のスカウト作戦
いつもお読みいただきありがとうございます。『トラックに轢かれたのに異世界転生できませんでした。~現実世界で【才能鑑定】のチートが生えたので、隠れ天才たちをプロデュースして最高に面白い日常を作ります~』、第22話をお届けします。
前話で不穏な影として登場した超能力少年・如月蓮と、主人公・拓真がいよいよ接触を果たしました。現実世界を舞台に、ファンタジーの領域へ踏み込んでいく拓真の破天荒なプロデュース活動。今回はスカウトの裏で早くもエンジン全開の彼らのやり取りをお楽しみください!
「おいおい、冗談だろ……」
如月蓮の背中を追って雑踏を抜けた佐藤拓真は、古びた雑居ビルの裏手にある薄暗い公園に足を踏み入れた途端、冷や汗を拭うことになった。
蓮の頭上に浮かぶ【才能鑑定】の数値が、先ほどよりも明らかに跳ね上がっている。周囲の空気が微かに歪み、地面に落ちていた空き缶や小石が、重力を無視して数センチほど宙に浮き始めていた。
(これ、完全に暴走の予兆じゃねえか。下手なダンジョンボスよりよっぽどタチが悪いぞ!)
脳内で警報が鳴り響く中、拓真は一歩を踏み出す。
一般人であれば悲鳴を上げて逃げ出す光景だが、数々の面倒くさい天才たちをプロデュースしてきた拓真の肝は、こういう時こそ座りがいい。
「おっと、そこまでだ、未来のスター」
拓真が声をかけた瞬間、ピキィンと空気が張り詰めた。
蓮がびくりと肩を震わせ、殺気立った目で振り返る。その瞳の奥には、周囲への不信感と、自分でも抑えられない力に対する恐怖の色が浮かんでいた。
「……誰だお前。関わるな、危ないから」
「危ないのは君の頭の上だ。今のままだと、この公園ごと綺麗に消し飛ぶぞ。ほら、見てみろよ」
拓真はスマホの画面をサッと蓮の目の前に突きつけた。そこには、先ほどスキャンした蓮のステータスウィンドウがそのまま映し出されている。
一般人には見えないはずの文字が空中に浮かぶように表示されているのを見た蓮は、目を見開いた。
「なんだ、これ……俺の頭の中が、全部透けて見えるのか?」
「ああ。君のその『常軌を逸した超能力』の芽生えもな。……安心しろ、怪しい宗教の勧誘でも、秘密組織の者でもない。俺はただの、世間の埋もれた才能を引っ張り出すプロデューサーだ」
蓮は警戒を解かないまま、宙に浮いていた小石をそっと地面に落とした。現象が収まり、公園の空気がわずかに戻る。
「プロデューサー……? こんな危険な力を持っていて、俺がどうなるっていうんだ。化け物扱いされて終わりだろ」
「世間一般じゃあな」
拓真はニヤリと笑い、ポケットに手を突っ込んだ。
「だが、俺のプロデュースにかかれば話は別だ。隠し通す必要なんてない。そのヤバすぎる超常現象を、最高の『エンターテインメント』に仕立て上げてやるよ」
ネットを揺るがす「第一歩」
「……正気かよ。人間が空を飛んだり、物を粉々にしたりするショーなんて、炎上して終わりだ」
「炎上? 上等じゃねえか。昨今のネット社会、ちょいと綺麗にまとまった優等生より、ぶっ飛んだ異物の方が圧倒的に数字を稼げるんだよ」
拓真は蓮の肩にポンと手を置いた。
「いいか、如月蓮。君のその力、俺に預けてみろ。誰も真似できない、最高にスリリングな日常を見せてやる。――もちろん、ギャラも弾むぞ」
蓮はしばらく拓真の顔をじっと見つめていたが、やがてフッと自嘲気味に息を漏らした。
「……面白い人だな。普通なら怖がるか、気味悪がって逃げるはずなのに」
「怖がる暇があったら企画書を書いてるさ。決まりだな? じゃあ、さっそく明日の夜、最初の『撮影』を始めるぞ」
こうして、トラブルメーカーの画家・蓮見に加え、世界を揺るがすかもしれない超能力少年・如月蓮までを抱え込むことになった拓真。
現実世界をファンタジーに染め上げる彼の無謀なプロデュース計画は、いよいよ牙を剥き始めようとしていた。
最後までお読みいただきありがとうございます!
無事に(強引に?)如月蓮をスカウトし、プロデュースの網にかけることに成功した拓真。現実世界を異世界にしてしまおうという彼の目論見通り、いよいよ次回からはその「第一回目の撮影(=ヤバすぎる実験)」が始動します。
絵画の天才・蓮見との絡みや、常識を無視した超能力がネット社会にどう受容されていくのか、今後さらにカオスな展開になっていきますのでご期待ください。
それでは、次回の第23話もお楽しみに!感想やレビューもぜひよろしくお願いいたします!




