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第19話:溶ける氷と五人目の仲間

お読みいただきありがとうございます!


「氷の生徒会長」凛に譜面を渡し、選択を委ねた拓真。

フェス本番が目前に迫る中、生徒会室で固く心を閉ざしていた彼女がついに動き出します。

凛のバイオリンが加わり、ついに最強の5人パーティが結成される瞬間をお見逃しなく!

フェス本番まであと三日。


放課後の特別教室棟からは、連日のように激しい合奏の音が響いていた。美咲のピアノ、木村のトラック、長谷川さんの描く映像ビジュアル――だが、拓真の提示した新曲には、どうしても埋まらない「空白の旋律」が存在していた。


「たくま……本当に生徒会長、来てくれるのかな?」


ピアノの手を止め、美咲が心配そうにドアを見つめる。


「来るさ。あいつはもう、自分の嘘に耐えきれなくなってる」


俺がそう答えた瞬間、ガラリと音を立てて音楽室のドアが開いた。


そこに立っていたのは、黒いバイオリンケースを固く抱え込んだ神崎凛だった。制服の乱れ一つない凛とした立ち姿だが、その頬は微かに紅潮し、肩は激しく上下している。


「……身勝手な理由で練習を乱して、申し訳ありません」


凛はまっすぐに俺を見据え、バイオリンケースをテーブルの上に置いた。


「渡された譜面……そして音源を聞きました。……悔しいけれど、私の指が、頭が、あの旋律を拒否してくれませんでした。夜も眠れないほど……頭の中でずっと、あの音が鳴り続けていたのです」


「神崎会長……」


美咲が息を呑む。

凛はゆっくりとケースを開き、磨き抜かれた漆黒のバイオリンを取り出した。

その手は微かに震えていたが、顎に楽器を挟んだ瞬間、彼女の全身から溢れ出る雰囲気が一変した。


『才能:バイオリン演奏・絶対音感 潜在レベル:S』

『トラウマ:厳格な家柄による音楽の禁制(抑圧度:80% ⇒ 5%)』

『ステータス:覚醒度 15% ⇒ 90%(覚醒)』


凛が弓を滑らせる。


一閃。空気を切り裂くような高らかで情熱的な一音が、音楽室を満たした。

それは「氷の女王」という仮面の裏に隠されていた、彼女の魂の叫びそのものだった。


美咲が弾かれるように鍵盤へ指を走らせる。

ピアノとバイオリン、二つの重なり合う音色に、木村の重厚なトラックと長谷川さんの光の映像が完璧に噛み合った。


「……すごい。これが……私の弾きたかった音……!」


演奏を終えた凛の目から、一筋の涙が頬を伝って落ちた。

親の言われるがままに抑圧してきた感情が、今この場所で完全に解き放たれたのだ。


「これで……フェスの参加申請書は正式に許可します。いえ……」


凛は涙を拭い、照れくさそうに、だが誇らしげに胸を張った。


「プレイヤーの一人として、私も同行させていただきます……プロデューサー」


プロデューサーの俺、ピアノの美咲、技術の木村、視覚の長谷川、そしてバイオリンの凛。


(揃った……! 現実世界で集められる、最高のパーティだ)


「よし、全員フェスへ向けて最終調整だ! 世界中に俺たちの音をぶちかましてやるぞ!」


「「「「おおーっ!」」」」


熱気あふれる声が、放課後の校舎にどこまでも高く響き渡った。

第19話をお読みいただきありがとうございました!


ついに神崎凛がトラウマを打ち破り、バイオリンのSランク才能を完全に覚醒させました!

これで拓真率いる「最強の5人パーティ」が完成し、物語はいよいよ巨大フェス『メトロフェス』のステージへ!


次回、数万人の観客が詰めかける大舞台で、拓真たちが巻き起こす旋風とは――!?

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