第18話:氷の生徒会長と閉ざされたヴァイオリン
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巨大フェス『メトロフェス』への参加を目の前にして立ちはだかったのは、「氷の生徒会長」こと神崎凛。
規律を盾に申請を突っぱねる彼女に対し、拓真は彼女自身が隠し持つ『バイオリンSランク』の才能と、心の奥底に封印したトラウマを指摘します。
固く閉ざされた氷の心を、拓真はどう解きほぐすのか――!?
「な……なにを根拠のないバカなことを言っているのですか……っ!」
普段は感情を一切表に出さない凛が、わかりやすく動揺して声を荒らげた。白磁のような頬が朱に染まり、整った眉が不機嫌そうに跳ね上がる。
「根拠ならある。あんたの右側の首筋……ヴァイオリンダコが消えきってない。それに、指先のタコもな」
俺の言葉に、凛は弾かれたように右手を隠し、首元を制服の襟で覆い隠した。
『才能:バイオリン演奏・絶対音感 潜在レベル:S 覚醒度:15%』
『トラウマ:厳格な家柄による音楽の禁制・挫折(抑圧度:95%)』
(抑圧度95%か……。美咲のとき以上にガチガチに固められた呪いだな)
「神崎家は代々、官僚や実業家を輩出してきた厳格な名家だろ? ヴァイオリンなんて『くだらないお遊び』として親に禁じられた……ってところか?」
「黙りなさい……! あなたに私の何がわかるというのです!」
凛はデスクに両手を突き、射殺すような鋭い視線で俺を睨みつけた。
その瞳には、隠しきれない激しい怒りと、深く悲しい痛みが渦巻いていた。
「私は……家の期待に応えるためにヴァイオリンを捨てたの! 音楽なんて何の役にも立たない、ただの娯楽よ! そんなものにうつつを抜かすあなたたちを許すわけにはいきません!」
「嘘をつくなよ」
俺は静かに一歩、凛へと近づいた。
「本当に捨てられたなら、どうしてそんな悔しそうな顔をするんだ? どうして今でも他人の演奏を聞いて胸を痛めてるんだ?」
「くっ……」
「あんたは音楽を捨てたんじゃない。『親の言われるがままに諦めさせられた』んだ。自分の本音から逃げて、規律っていう仮面をかぶって自分を誤魔化してるだけだろ」
「出て行きなさい!!」
凛の叫び声が生徒会室に響き渡る。
激しく上下する彼女の肩。
だが、俺は引き下がるどころか、ポケットから一枚の紙を取り出してデスクの上に置いた。
「フェスの申請書と一緒に、もう一枚置いておく。……フェスで使う新曲のヴァイオリンパートの譜面だ。木村が作った練習用の音源データもQRコードで載せてある」
「こんなもの……!」
「破り捨てたければ捨てればいい。だがな、神崎」
俺はドアに手をかけ、振り返って不敵に笑ってみせた。
「俺たちのチームには、最高のマエストロが必要なんだ。あんたのSランクの音色……フェスのステージで、俺たちと一緒に解放してみないか?」
ドアを閉める直前、凛がデスクの上の譜面を、吸い寄せられるように見つめていたのを俺は見逃さなかった。
『トラウマ:厳格な家柄による音楽の禁制(抑圧度:95% ⇒ 80%)』
(よし……氷に亀裂は入った)
最強の『ヴァイオリニスト』を仲間に加え、俺たちはフェスの頂点を目指す。
第18話をお読みいただきありがとうございました!
「氷の生徒会長」凛の過去と、彼女がヴァイオリンを捨てざるを得なかった背景が明らかになりました。
拓真の鋭い指摘によって心の氷に亀裂が入り、渡された譜面を前に彼女の心が揺れ動き始めます!
次回、フェス本番が迫る中、凛が下した決断と、ついに揃う「最強の5人パーティ」をお見逃しなく!




