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第13話:謎の絵師『ILLUST-X』の正体

お読みいただきありがとうございます!


悪質スカウトを突っぱね、自分たちの公式チャンネルを開設した拓真たち。

チャンネル登録者数は順調に伸びるものの、動画の「顔」となるメインビジュアルやジャケットイラストが足りないという課題にぶち当たります。

そんな中、ネットで絶大な人気を誇る謎のイラストレーターの正体が判明し……!?

「チャンネル登録者数、もう10万人突破したよ」


部室のパイプ椅子に深々と腰掛けた木村が、ノートPCの画面を覗き込みながら淡々と告げた。


「マジか……! たった一週間で!?」


美咲が身を乗り出して画面を注視する。


文化祭の演奏動画をきっかけに立ち上げた公式チャンネル『Takuma Produce Project(仮)』は、木村の超絶的なSEO対策と動画編集も相まって、恐ろしいスピードで成長を続けていた。


だが、プロデューサーである俺には一つ、大きな悩みがあった。


「動画のクオリティも音も完璧だ。だが……『アイコン』と『ジャケット絵』が圧倒的に足りない」


現状、チャンネルのアイコンは俺がスマホで撮った美咲の適当な写真だし、動画のサムネイルもフリー素材を組み合わただけの素っ気ないものだ。

世界観を確立し、さらなるファンを獲得するには、一目で惹きつけられる「神絵師」の存在が不可欠だった。


「絵かぁ……。ねえ、たくま、SNSで大人気の『ILLUST-X』さんって知ってる? 最近投稿されてる美咲(私)のファンアート、すごく素敵なの!」


美咲が自分のスマホを差し出してくる。


画面に映し出されていたのは、光と影のコントラストが美しい、息を呑むほど幻想的な美咲のイラストだった。

フォロワー数は五十万人を超え、ネット上では「正体不明の神絵師」として連日話題になっている人物だ。


(……待てよ?)


そのイラストのタッチと、独特の色彩感覚に見覚えがあった俺は、脳裏に浮かんだ「ある人物」を確かめるべく、放課後、美術室へと足を運んだ。


美術室の奥。放課後の夕日が差し込むキャンバスの前で、黙々と油絵の具を混ぜ合わせている女子生徒がいた。


図書委員で、いつも静かで大人しいクラスメイト――長谷川(はせがわ)しずくだ。


俺は静かに近づき、彼女の頭上に視線を送る。


『才能:デジタルアート・イラストデザイン 潜在レベル:S 覚醒度:88%』

『裏の顔:総フォロワー50万人の神絵師『ILLUST-X』(隠蔽度:95%)』


(ビンゴだ……! まさかクラスの大人しい長谷川さんが、あの『ILLUST-X』だったとは……!)


「あ……さ、佐藤くん? 美術室に何か用……?」


俺の存在に気づいた長谷川さんが、筆を止め、おどおどとした様子でメガネの奥の目を泳がせた。


俺はスマホの画面――『ILLUST-X』の最新イラストを表示させた状態で、彼女にスッと差し出した。


「長谷川さん。うちのチャンネルの『専属イラストレーター』になってくれないか?」


「え……っ!? な、なんで……それを……っ!?」


顔を真っ赤にしてガタガタと震え出す長谷川さん。


また一人、俺の目の前に「最強のクリエイター」が舞い降りた瞬間だった。

第13話をお読みいただきありがとうございました!


公式チャンネルの拡大に伴い、新たな仲間(候補)として総フォロワー50万人の神絵師『ILLUST-X』こと長谷川しずくが登場しました!

クラスの大人しい女子生徒が実はネットの超有名クリエイターという、胸熱な展開です。


次回、自分の絵に自信が持てず、正体を隠し続けていた長谷川さんの心を、拓真はどう解きほぐすのか――!?

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