第12話:プロデュース宣言「お前の隣は俺の場所だ」
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バズった動画をきっかけに現れた、才能を金儲けの道具としか思っていない悪質なスカウト・鷹野。
強引な契約で美咲を囲い込もうとする大人に対し、拓真と美咲が出す「答え」とは――!?
「プ、プロデューサー……? 君のようなガキが何を冗談を言っているんだ」
スカウトの鷹野は鼻で笑い、不快感を隠そうともせずに名刺を胸ポケットにしまい直した。
「高橋さん、よく考えなさい。SNSで少し話題になった程度の素人が、大人やプロのサポートなしでこの先やっていけると思うかね? 才能を潰したくなければ、正しい道を選ぶべきだ」
鷹野の言葉には、巧みに不安を煽る圧力が込められていた。校長までもが「うむ……プロの助言を聞くのも手ではないか?」と日和り始めている。
美咲は俺の制服の裾を強く握りしめ、一度ぎゅっと目を瞑った。
そして――ゆっくりと目を開けると、鷹野をまっすぐに見つめ返した。
「断らせていただきます」
「……なっ?」
鷹野が素で驚きの声を漏らす。
「私は、たくま――佐藤くんと一緒にピアノを弾くのが一番楽しいんです。どれだけすごい事務所でも、たくまが隣にいないなら、そんなプロなんて全然魅力的じゃありません」
「美咲……」
ブレない美咲の言葉に、胸の奥が熱くなる。
鷹野は顔を真っ赤にし、忌々しそうに捨て台詞を吐いた。
「ハッ、子供のままごとにお付き合いする暇はないんでね! 後悔しても遅いぞ、ネットの熱なんてすぐに冷めるんだからな!」
バタンと激しくドアを叩きつけて去っていく鷹野。
静まり返った職員室で、俺は腕を組み、ニッと不敵に笑ってみせた。
「言わせておけば好き勝手言ってくれたな。……ネットの熱が冷める? 冗談じゃない」
俺は美咲に向き直り、その両肩をしっかりと掴んだ。
「美咲。大人の都合で囲い込まれる必要なんてどこにもない。俺たちが作るステージで、世界中を驚かせ続けてやろう」
「……うん! たくまとなら、どこまででも行ける気がする!」
美咲の頭上に浮かぶ文字――『潜在レベル:SSS』が、温かく、力強い黄金の光を放っていた。
その日の放課後、俺と美咲、そして木村の三人は部室に集まっていた。
「佐藤くん、鷹野の言ってた『スターライト・プロ』について調べてみたよ」
木村がノートPCの画面を俺たちに見せる。彼の手際により、事務所の裏の評判や、過去に所属して使い捨てられたアーティストの情報がずらりと並んでいた。
「やっぱり黒いな。……木村、俺たちの『公式チャンネル』を開設するぞ」
「公式チャンネル……?」
「ああ。他人に買い叩かれるくらいなら、自分たちで発信基地を作ればいい。美咲の演奏、木村の音響と映像演出、そして俺のプロデュース。この三人で、既存の音楽業界をひっくり返してやる」
木村は眼鏡の奥の目を輝かせ、キーボードを力強く叩いた。
「いいね、すごく面白そうだ。……アカウントの開設とセキュリティの構築、3分で終わらせるよ」
異世界で勇者パーティを組む代わりに、俺は現実世界で最強の「チーム」を作り上げた。
「美咲、覚悟しとけよ。お前の才能、世界中に届けてやるからな」
「ふふ、望むところだよ!……私の隣は、ずっとたくまの場所なんだからね」
照れくさそうに微笑む美咲を見て、俺の胸の中の情熱が静かに燃え上がっていた。
現実世界を舞台にした俺たちの「プロデュース無双」は、ここから新たな次元へと突入する!
第12話をお読みいただきありがとうございました!
悪質なスカウトを突っぱね、拓真・美咲・木村の三人で「公式チャンネル」を開設し、自分たちの力で世界を目指す決意を固めました!
美咲の「たくまが隣にいないなら魅力的じゃない」というデレも炸裂した熱い回となりました。




