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第11話:拡散された動画と大人たちの影

お読みいただきありがとうございます!


文化祭での伝説的なステージから数日。

美咲の覚醒によって大成功を収めた余韻も束の間、ネット上で思わぬ大事件が発生!

美咲の演奏動画がSNSで大バズりし、拓真たちの元に大人たちの影が忍び寄ります――

「たくま……大変なことになってるよ……っ!」


文化祭が明けて最初の登校日。朝の教室に入るなり、美咲が青ざめた顔でスマホを突きつけてきた。


「どうした? また文化祭の余韻で男子に囲まれたか?」

「そんなんじゃないよ! これ見て!」


画面に表示されていたのは、大手動画配信サイトのトレンドランキングだった。その第一位に君臨している動画のサムネイルを見て、俺は思わず目を見張った。


『【神回】高校の文化祭に本物の天才が降臨した件【ピアノSSS】』


再生数はすでに三百万回を突破しており、コメント欄は絶賛の嵐で埋め尽くされている。


『鳥肌がヤバい。これ本当に女子高生か?』

『音の深みがプロどころの騒ぎじゃない』

『横で演出変えてる眼鏡の男子(※木村)と、舞台袖で指示出してる男子(※俺)は何者なんだ?』


動画を投稿したのは文化祭に来ていた他校の生徒らしい。木村が組み上げた光の演出と、美咲の圧巻の演奏が見事なクオリティで収められていた。


「これ……バズってるなんてレベルじゃないぞ」


俺が呟いた直後、ガラリと教室のドアが開き、担任の教師が慌ただしく入ってきた。


「佐藤、高橋! 今すぐ職員室に来なさい! 芸能事務所やらテレビ局からの問い合わせの電話が鳴り止まないんだ!」


職員室に向かう廊下で、美咲は不安そうに俺の制服の袖をキュッと掴んだ。


「私……ただ楽しくピアノが弾ければそれでよかったのに。なんだか怖いよ……」


「大丈夫だ。お前を安売りさせるつもりはない」


職員室に入ると、そこには校長と黒岩先生、そして見慣れないスーツ姿の男が待っていた。


男は高級そうな名刺を取り出し、うさんくさい笑みを浮かべて美咲に差し出した。


「はじめまして、高橋美咲さん。私は大手芸能プロダクション『スターライト・プロ』のスカウト、鷹野(たかの)と申します。あの動画を見ましたよ! 素晴らしい才能だ。すぐにでも我が社でデビューし、プロの演奏家として世界を目指しましょう!」


鷹野と名乗った男の頭上を、俺はすかさず【才能鑑定】でスキャンした。


『才能:スカウト・利益追求 潜在レベル:B 覚醒度:75%』

『裏の顔:契約金での囲い込み・才能の使い捨て(危険度:高)』


(ちっ……やっぱり出やがったか。才能を金の卵としか見ていない金の亡者が)


鷹野はまくし立てるように言葉を続ける。


「学業のことは心配いりません。我が社の手厚いサポートで、すぐにでもプロとしてのキャリアを――」


「お断りします」


鷹野の言葉を遮ったのは、美咲ではなく俺だった。


「な……君は誰だね? 家族でもない部外者が口を挟まないでほしいな」


鷹野が不機嫌そうに目を細める。

俺は彼と美咲の間に割り込むように立ち、鷹野を冷たく見下ろした。


「俺は彼女のプロデューサーですよ。あなたの提示する『使い捨ての契約』に、美咲を売る気はありません」


第一章から積み上げてきた俺たちの日常に、大人の悪意が侵食し始めていた。

第11話をお読みいただきありがとうございました!


文化祭の演奏がSNSで大バズりし、ついに大手事務所のスカウト・鷹野が登場しました。

才能を食い物にする大人の影に対し、プロデューサー・拓真が毅然とした態度で立ちはだかります!


次回、スカウトの強引な勧誘に対し、美咲が下した決断と、拓真の熱い宣言をお見逃しなく!

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