第10話:SSSの覚醒、伝説の5分間
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機材トラブルでポッカリと空いたメインステージ。
体育館を埋め尽くす観客を前に、ついに高橋美咲がグランドピアノの前へと進み出ます。
潜在レベルSSS、世界を揺るがす規格外の才能が、ついに完全覚醒する瞬間を目撃してください!
「ただいまより、プログラムを変更いたしまして―有志演奏を行ないます」
生徒会のうろたえたアナウンスが響き、体育館に集まっていた大勢の生徒たちから不満気なざわめきが起こる。
「なんだよ、メインのバンド遅れてんの?」「ピアノソロ? 地味じゃね?」
白けかけた空気が会場を包む中、スポットライトが静かに舞台中央のグランドピアノを照らし出した。
ステージに上がった美咲は、一瞬だけ緊張に肩を揺らした。
舞台袖で親指を立てる俺と、PCを操作する木村の姿を目にすると、小さく息を吐いて深く頷いた。
美咲がゆっくりとピアノの椅子に腰を下ろし、鍵盤の上に指を滑らせる。
(木村、合図と同時に照明と音響を叩き込め!)
『了解、佐藤くん。演出スタート』
ポロン――。
一音目、美咲の指が鍵盤を叩いた瞬間、木村の手によって体育館の照明が一気に暗転し、幾重もの幻想的な青い光線が美咲を包み込んだ。
それと同時に、会場のスピーカーから重厚な立体音響の効果音が鳴り響く。
「な、なんだ……!?」
ざわついていた生徒たちが思わず息を呑み、ステージへと視線を奪われる。
美咲の指先が動き始めた。
最初は繊細で儚い水滴のような旋律。
曲が進むにつれてその音色は圧倒的な熱量を帯び、まるで激しい嵐のように体育館全体を支配していく。
『才能:音楽的才能 潜在レベル:SSS』
『覚醒度:35% ⇒ 50% ⇒ 80% ―― 100%(完全覚醒)』
美咲の頭上に浮かぶ文字が、爆発的な眩い光を放ち始めた。
トラウマの鎖から完全に解き放たれた美咲の演奏は、もはや「高校生の演奏」という枠組みを遥かに超えていた。
一音一音が聴く者の心を直接揺さぶり、感情を強制的に揺さぶってくる。
「すごい……なんだこれ……っ」
「鳥肌が止まらない……!」
誰かが呟いた声を最後に、体育館から私語が完全に消え失せた。
数百人の生徒、教師、保護者全員が、金縛りに遭ったかのように美咲の指先と、そこから紡ぎ出される奇跡のような音色に釘付けになっていた。
舞台袖で見守っていた黒岩先生も、目を見開いたまま絶句している。
曲はクライマックスへと向かい、圧巻のフィナーレを迎える。
美咲が最後の和音を力強く打ち鳴らすと同時に、木村の操作で光の粒子のような紙吹雪がステージ上に舞い散った。
あまりの衝撃に、数秒間、誰も声を出すことができなかった。
そして――
ドォッ!!!!
割れんばかりの歓声と、体育館が揺れるほどの大きな拍手が巻き起こった。
「すっげえぇぇぇ!!」「アンコール! アンコール!」
立ち上がって惜しみない拍手を送る観客たち。
美咲はゆっくりと立ち上がり、信じられないというように自分の手を見つめた後、舞台袖の俺に向かって飛び切りの笑顔を弾けさせた。
その瞳には、かつての恐怖など微塵も残っていない。
『トラウマ:完全克服』
『ステータス:覚醒度100%(開花)』
俺は胸の奥から湧き上がる熱い感情とともに、口元をニッとほころばせた。
(見たかよ、世界。これが俺のプロデュースした『最強のヒロイン』だ)
異世界に行かなくても、チート能力でモンスターを倒さなくても――この現実世界は、最高に熱くて、最高に面白い。
俺の本当の冒険は、ここから本格的に始まるのだ。
第10話をお読みいただきありがとうございました!
ついに美咲の『SSSランク』の才能が100%完全覚醒を果たしました!
体育館全体を飲み込む圧倒的な演奏と、拓真・木村・黒岩先生が一つになった最高のステージとなりました。
次回、美咲の演奏動画がSNSで世界中に拡散され、大人の悪意や大手プロダクションの影が押し寄せてきます。才能を守り、さらに輝かせるため、拓真のプロデュース無双は新たなステージへ!




