古き傷痕
女の秘密・・知らないことはいいことだ
ダークは朝早く目が覚めた。そこらじゅうにすえたタバコの香りとお酒の匂いが混じったような部屋の中で目を擦りながらあたりを確認した。昨日の記憶があいまいなまま、ボーとしてると、いきなりダークの腹の上に女性のかかとが落ちてきた。あまりの痛さに、ダークは完璧に目が覚めた。足をどけ、すっきりとするためにタオルを持ち外のプールに向かった。すると、プールにも空瓶が浮いていた。ダークはあきれながら、プールからゴミや空瓶を拾った。拾った空瓶の中には怪しい小瓶があった。中身がかすかに残っていたが、明らかに媚薬だった。ダークは昨日の乱痴気騒ぎの原因が何となくわかった。でも、そのおかげで、いい思いもしたから、犯人捜しはやめようと思ったが、ゴミの中に明らかに怪しい紙が入った小瓶があった。それは淫乱呪符を入れた小瓶・・・ダークは、これ以上の詮索はやめておこうと誓った。
地球連合国の連絡書と指示書を確認して軽くプールを泳ぎ、すっきりした気持ちになったダークは、みんなの朝食を作るのであった。晩餐会からずーとお酒を飲みっぱなしの勇者一行の為に、新鮮な野菜と果物で作ったジュースとあったかい御粥を用意した。食器を並べて、コーヒーの香りが部屋中に立ち込め始めると、恥ずかしそうにエルザが起きてきた。
「おはよう。あたたた。少し飲みすぎちゃった。でも昨日の夜は素敵だったよダーク。」
「大丈夫かい。まず、目を覚ますためにもあったかい御粥でも食べてて。みんな起こしてくるから。」
「ありがとう。でも、少しダークと話をしたいな。」
「いいよ。何の話題がいいかな。」
すると、ふと、ダークは昨日、みんなに話す話題があったことを思い出した。
「やばい、昨日、勇者一行にも話さなければいけないことがあったんだっけ。ごめん、雰囲気を壊すようなこと言って。でも、君たちの将来にかかわることなんだ。」
「どうしたのダーク。昨日のクールで真面目で頑張り屋だったのに。いきなり情熱的になるなんて?」
「茶化さないでよエルザ。君の強さは感じ取ってるんだから。」
「ふふふ。何よダーク先に教えなさいよ。」
二人のだけの空気間をじゃまをするように、ほかのメンバーも次々やってきた。
「さすが我らの斥候戦士エルザ。朝から元気だな。こっちは4日酔いぐらい頭がグラグラするぞ。」
「ミモザ何いってんの。自分で状態回復魔法かければいいんじゃない。ついでにみんなにもかけてよ。」
「ミモザ、ミヒロには回復魔法もよろしく腰が痛いって騒いでたのよ。」
「チヒロに雷撃お灸の刑確定ね。ミモザ状態魔法と回復魔法は後でいいからね」
そのやり取りをみたエージェントたちは思わず笑ってしまった。ダークは場の雰囲気が壊れないように、あったかいコーヒーやスムージーをみんなに笑顔でくばった。
「はいはい。みんなおはよう。かなり親睦が深まったみたいだね。朝食作ってあるから食べながら聞いてくれ。みんな、キツネ狩りに行かないか。」
エージェントたちの動きが止まった。ルビーはダークの顔を見ながら口を開いた。
「キツネがいるの。ダーク?」
「間違いないようだ。連合国家に晩餐会の映像分析を再度依頼したら、他の異世界でのキツネと一致した人物が紛れ込んでたよ。」
チヒロが警戒感をあらわにしながら、ダーク達に言い放った。
「お前たちは何者だ!何が目的だ!」
ダークは唖然とした。
「ローズ、ルビー、アイズ・・・お前たち言ってなかったのか。あんなに親しげだったのに・・・はじめっから説明させてくれ。実は君たちの正体も知ってるんだ。地球から転生したってこともすべて!」
「!!!!」
勇者一行は驚きを隠せなかった。
「ミヒロもミモザ、エルザもこの異世界に召喚されてきたの?」
「そういう、チヒロもそうなの?」
「あの~すいません。ちょっといいですか?勇者様たちはみんな内緒にしてたんですか?」
「あー・・・あれだ。その・・・つまり、女の秘密って奴だ。」
「そーそー。女の嘘や秘密はたしなみってやつよね。」
「ははは。魅力の一種よ。女子力ともいうわね。ホホホ。」
ぜってぇー嘘だ!と思ったがこのまま、さっきの誤解も解けそうなのでダークはこのまま乗っかって話を進めた。
「まず、私達の事を話そう。チヒロ、ミモザ、ミヒロ、エルザ、聞いてくれ。俺たちは君たちを助けに来たんだ。君たちはこちらの異世界の神官や魔導士、祈祷師の類に呼ばれた。わかってると思うが、地球で君たちは不慮の事故などで一度死んだんだろう。」
「ダークなぜそんなことまで知ってるんだ。勇者の私は、元気だったのに突然、交通事故にあって死んでしまったのよ。でも死を受け入れずにいたとき、神様みたいな人がありえないほどの能力をくれて異世界に転生したのよ。最初はわからくて、死後の世界に旅立ったと思ったら、ある貴族の娘としてこの世界で生を受けたの。でも、成長するにつれて、神様が与えてくれた能力が開花してきたの。でも、そんなとき、この世界の両親が盗賊に目の前で殺されたの。私は必至で抵抗したら、いつの間にか盗賊すべてを駆逐してしまったの。その時思ったの、私は勇者になるって・・・実は仲間のみんなにも内緒だけど・・・ゲームの世界みたいに、私だけ見えるコマンドが出て・・・職業レベルや特技や魔法詠唱なしに使えたりするの・・ありえないでしょ。」
「それ、ミヒロもコマンドが出るの。私もよ。もしかして、エルザもミモザも出るの?」
「実は私も出るの。みんな、遠からず似たような境遇かもしれないね。エルザもそうでしょ?」
「なんだ、みんな出るんだ。良かった。チート能力は私だけだろ思って内緒にしてたのよ。」
「これで何となくわかったでしょ。裏でこの異世界を君たちに攻略してもらいたい奴らがいるって事を。」
「なんで?なんでなのよ?そんな回りくどいことしないで。こっちの世界のゴリマッチョにでもやらせればいいんじゃないの?」
「理由はあると思うが・・・たとえば、過去に異世界からきた勇者が魔王を倒したななんて伝説がこの異世界にあったとしたら・・・こぞって別の異世界から召喚するよね。そんなところで納得しないといろいろな思惑も考えられそうだよ。たとえばなぜ女を召喚したとかね!勇者の血を引く子がほしい、男系の王国があったとしたら・・・それも、この世界でかなり有力な国とかね。」
勇者一行は顔を見合わせた。そして、パイの次の言葉で怒りを覚えるの感じた。
「おやおや、なんか心あたりがありそうだね。君たち全員のこの世界の両親がいないことも関係してたらどうする・・」
ローズはパイをしかりつけた。
「いい加減にしなさい。憶測で物を言うもんじゃありません。勇者様たちが動揺するでしょ。」
「いいんだ。ローズ。君たちは私達の味方なのよね。私達はどうしたらいいの。お願い!教えてよ!」
ダークはミヒロの両肩に両手をかけ言い聞かせるように話し始めた。
「安心しろ。俺たちエージェントがついてるぞ。これからは俺たちは君たちの影にも盾にもなってやるからな。」
「どういうこと?魔王を倒した私たちに敵が現れるの?なんでダーク?」
「子供でもわかるぞ。魔王がいなくなった今、君たちを利用するものや君たちを排除したがる連中が現れることをな。でもなミヒロ、そしてエルザ、チヒロ、ミモザ、中には君たちを本当に心の中から尊敬する子供たちもいるって事をな!だから、生きなければならないんだぞ。」
エルザが重い口を開けた。
「排除したがってるやつってさ、もしかして魔王の代わりでもやろうと思ってるのか?」
「似たようなものさ。たとえば、君たちと政略結婚でもして、いつの間にか君らの子孫が魔王になってるなんてこともあり得るぞ。」
「キツネっていうのは何よ。」
「この異世界に侵略しようとしてる異世界人がいるって事さ。俺たちも似たようなものかもしれないがな。でも、君たちに接触をまだしないってことは、他の奴らと一緒に企んでる可能性が大だね。たとえば、君たちの両親を殺したりしてね。おっと憶測、憶測。でも、次の一手を企んでることは確かだね。」
「侵略って大袈裟にいって!もー信じられないわよ。」
「難しく考えなくてもいいぞ。単なる利権争いを考えればわかりやすいだろ。君たち勇者一行を自分たちの駒のように動かしたいはずだからね。」
「ダーク達もそうなの?」
「ちょっと違うかな。俺たちはこの異世界を変えたいだけかもしれないな。だって、地球にダンジョンなんてないだろ。おかしいと思わないか?」
「そうだけど・・・難しくてわかんないや。でもダーク達、エージェントを信じるわ。いいよねみんな。」
「信じるわ。ダーク。でも、一つだけお願いがあるの。地球に戻れる?」
「戻れるよ。今すぐ地球に行く?」
「いけるの~!友達に会いたいだ。会える。」
「友達が生きてれば会えるよ。ミモザ。」
「うれしい。でも我慢する。今はね。ダーク!キツネ狩りしましょう。みんなもいいわね。この狩りはゆずれないわ。」
エージェントたちと勇者一行は利害が一致したことにより、前より仕掛けた罠を有効に利用することにした。今日も、昨日もたらせた情報をさらに精度を高め、より狡猾に仕込むように行動をするはこびとなったことは言うまでもない。ダークの諜報活動はますます、異世界を変えようとしていた。
ぼちぼち更新します。




