第4章完結 第7話 嫌がらせ?爆誕秘話
天才(変態)たちによる【勘違いブラックコメディ】の幕開けへようこそ!
※本作はカクヨミでも同時連載中ですが、そちらの方が数話ほど物語の更新が先行しています。
「牢獄を脱出した二人の、悪ふざけの続きが早く読みたい!」という方は、ぜひ先行しているカクヨミ版のページでも一気読みしてみてください!
▼カクヨミ版『牢獄のアルティザン』
https://kakuyomu.jp/works/2912051606683262649
第4章完結 第7話 嫌がらせ?爆誕秘話
教会総本山によって「クスターフ領、および全領民は異端である」との公式宣言が下された、わずか数日後のことである。
領地への嫌がらせは、日を追うごとに陰湿さを増していった。
総本山は、クスターフ領内におけるすべての宗教活動を禁止する『聖務停止』を即座に執行したのだ。
これにより、領内では子供が生まれても洗礼が受けられず、結婚式も挙げられず、人が死んでも教会にお葬式をしてもらえないという、中世の人間にとっては死よりも恐ろしい極限状態に。
総本山の狙いは明確。
領民たちの不安を煽り、領主ジョナスに対する内部分裂や暴動を起こさせること。
作業場の門前にも、教会の息がかかった狂信的な修道士たちが大量に押し寄せ、「異端の芸術家どもに災いあれーーー!」と大声で呪いの言葉を叫び続ける精神攻撃が夜通し始まっていた。
「……ねえ、ルッカ。外の呪いのビブラートのせいで、お尻の蝋を盛る手元が狂うんだけど。早くあいつらの口をラードで塞いできてよ」
「俺に言うな。それより経済封鎖のせいで新しい真鍮のネジが届かねえから、等身大人形の股関節のバネが作れねえんだよ」
相変わらず自分たちの作業の邪魔としてしか教会の嫌がらせを捉えていない変態バディの元へ、ロベルタが文字通り血相を変えて飛び込んできた。
「あんたたち! 大変さ! 街の様子がおかしいんだよ!」
「ああ、お葬式をしてもらえなくて領民たちが暴動でも起こしたのか? 姐さん」
ルッカがのんびりと尋ねると、ロベルタは激しく首を横に振った。
「逆だよ! 逆! 領民たちがね……『教会の強欲どもが葬式をしてくれないなら、俺たちはクスターフの地に現れた真の女神――アリアお嬢様を神として崇める新しい教会を作るからいいもんねーーー!』って開き直りやがったんだよ!」
「「…………え?」」
お葬式を拒否された遺族たちは、教会の十字架の代わりに、爆速で量産された『10年後全裸メダル』を遺体の胸にそっと乗せ、「アリア様、どうかこの魂を10年後の楽園へお導きください……」と涙ながらに独自の祈りを捧げ始めていた。
さらに若者たちは「教会の冷たい神より、温もりのあるアリア様の方が信じられる!」と、外で呪いを唱える修道士たちを完全に無視し、メダルを掲げて新宗教【アリア教】の発足を高らかに宣言。
街中にアリアの全裸シルエットの小旗が乱立する事態になっていた。
教会の仕掛けた強力な嫌がらせは、民衆の狂暴なパッションによって完全に吸収され、独自のカウンター宗教へと進化してしまったのだ。
「……なぁルッカ。これ、私たちの作ったお守りが、新宗教の『御神体』になっちゃってないか?」
ロッシュが血の気が引いた顔で、制作中の等身大蝋人形を見つめた。
「ああ……。しかも外の呪いの声が、いつの間にか『アリア様ァァァ!』っていうアリア教の賛美歌にかき消されていってるな……」
外ではヨーロッパ全土を巻き込む大宗教戦争の火種が爆誕しているというのに。
世界の中心となってしまった変態ふたりは、勝手に増えていく信者たちの熱すぎる視線に怯えながら、今日も「どうか寝させてくれ……」と切実に神に祈るのだった。
第4章 〜新教爆誕編〜 完
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