第八話 見えない支援
翌日の朝。
ギルド訓練場。
レインはガルドへ言った。
「全力で盾を構えて。」
「分かった。」
ガルドは巨大な盾を構える。
その姿を見つめながら、レインはふと手をかざした。
特別な詠唱はない。
魔法陣も現れない。
ただ、「守れ」と心の中で強く願った。
その瞬間。
ガルドの身体を淡い銀色の光が包んだ。
「……?」
本人は気付いていない。
レインだけには見えていた。
【支援成功】
防御補正+2%
レインは目を見開く。
(今のは……。)
(支援魔法?)
もう一度試す。
今度はリリアへ向かって。
「魔法を撃ってみて。」
「はい!」
《ファイアボルト!》
炎が的へ飛ぶ。
昨日より少しだけ大きい。
【支援成功】
魔力効率+3%
(見える。)
(数値まで見える。)
リリアは首を傾げた。
「何だろう……。」
「今日は魔法が撃ちやすい。」
ガルドも驚いていた。
「盾が軽い。」
レインは確信した。
自分の支援は、意識しなくても仲間を強くしている。
しかも、その効果は少しずつ積み重なっている。
◇◇◇
その日の午後。
受付嬢ミリアが慌てて駆け寄ってきた。
「レインさん!」
「緊急依頼です!」
「森でゴブリンが群れを作り始めました!」
通常ならEランク以上の依頼。
三人だけのパーティーには危険すぎる。
周囲の冒険者が笑う。
「Dランクが行く気か?」
「昨日薬草採っただけだろ。」
「すぐ逃げ帰ってくるさ。」
しかしレインは依頼書を見つめながら、小さく微笑んだ。
彼の視界には、新しい文字が浮かんでいた。
【推奨依頼】
ゴブリン討伐
成功確率:98%
推奨理由:
・ガルド覚醒条件まで残り1戦
・リリア熟練度上昇
・支援スキル成長
レインは依頼書を手に取る。
「この依頼、受けます。」
リリアは驚きながらも頷いた。
ガルドは静かに盾を背負う。
こうして《リベレーション》は、初めて本格的な魔物討伐へ向かう。
そしてこの戦いが、ガルドの運命を大きく変えることになる。




