第七話 初めての勝利
アルトの街へ戻る頃には、夕日が石畳を赤く染めていた。
「薬草の納品ですね。」
受付嬢ミリアは採取袋を受け取ると、目を丸くした。
「えっ……?」
一つ一つ薬草を確認していく。
「品質が……全部高品質?」
薬草には品質がある。
普通、採取依頼で集まるのは一つ星か二つ星。
三つ星があれば十分優秀。
だが、レインたちが持ち帰った薬草は、ほとんどが四つ星以上だった。
「こんなの初めて見ました……。」
鑑定士まで呼ばれる騒ぎになる。
結果は変わらなかった。
「すべて高品質です。」
ギルド内がざわつく。
「薬草採取で高品質ばかり?」
「偶然だろ。」
「いや、あの森でそんなことはあり得ない。」
受付嬢は笑顔で報酬袋を差し出した。
「通常報酬に加えて、品質加算が付きます。」
「銀貨三枚……ではなく、銀貨八枚です。」
リリアが驚いて声を上げる。
「倍以上です!」
レインも少し驚いた。
(品質でも報酬が変わるのか。)
この世界の知識は、まだ知らないことだらけだった。
◇◇◇
酒場。
初めての報酬で乾杯する。
「お疲れさまでした!」
リリアは果汁水を掲げる。
ガルドはジョッキを持ち上げた。
「乾杯!」
三人だけの、小さな祝宴。
豪華な料理ではない。
パンとスープ、それに肉の煮込み。
それでも、三人とも笑顔だった。
「こんなに楽しい依頼は初めてだ。」
ガルドが呟く。
「今までは怒鳴られてばかりだった。」
「もっと前へ出ろ。」
「攻撃しろ。」
「盾役なんだから倒せ。」
そんな言葉しか掛けられなかった。
レインは首を横に振る。
「違う。」
「盾役は敵を倒す仕事じゃない。」
「仲間を守る仕事だ。」
ガルドは黙ってレインを見つめた。
その言葉は、初めて自分を認めてもらえたようで、胸の奥に深く響いた。
◇◇◇
その頃。
レインを追放した勇者パーティー。
「おかしい。」
勇者カイルが剣を振る。
ゴブリン一匹。
以前なら一撃だった。
しかし今日は二撃かかった。
「疲れているのか……?」
魔法使いも首をかしげる。
「火力が落ちています。」
聖女も不思議そうな表情を浮かべる。
「回復魔法の効きも悪い……。」
誰も理由が分からない。
ただ一人抜けただけ。
荷物持ちがいなくなっただけ。
そのはずだった。
だが、彼らはまだ知らない。
本当に失ったものが何だったのかを。
◇◇◇
翌朝。
レインはギルドの掲示板を見上げていた。
「次は一段階上の依頼を受けよう。」
リリアとガルドが頷く。
こうして、《リベレーション》の初めての成功は終わった。
しかし、それは世界最強への第一歩に過ぎなかった




