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世界最低の後衛は最高の後衛だった ~三度追放された荷物持ちは、捨てられた才能だけを集めて魔王を討つ~  作者: あめのひくもり


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48/61

第四十八話 零号、魔王となる

第四十八話 零号、魔王となる


第三鉱山の最深部で、零号は静かに目を開いた。


首元には、これまで彼女を縛り続けてきた黒い首輪があった。命令に逆らえば身体を焼き、逃げようとすれば意識を奪い、自分が何者なのかを考えることさえ許さなかった枷。それが今、誰かに触れられたわけでもないのに、中央から細い亀裂を走らせている。


一度。


二度。


黒い雷が首輪の表面を走り、そのたびに零号の身体が大きく震えた。


だが、以前とは違った。


痛みに耐えているのではない。


彼女自身の身体から溢れ始めた何かに、首輪の方が耐えられなくなっている。


【境界適合率】


104%。


108%。


112%。


本来なら百を越えるはずのない数値は、止まるどころか加速していた。


「……痛くない」


零号が、自分でも不思議そうに呟く。


これまで首輪が作動するたびに、身体の内側を焼かれるような苦痛があった。だが今は、黒い雷が皮膚へ触れる前に消えていく。


そして。


パキン。


あまりにも小さな音とともに、首輪が割れた。


零号は、足元へ落ちた黒い破片をしばらく見つめていた。


命令。


制裁。


回収。


拘束。


これまで、それが彼女の世界のすべてだった。


そのどれもが。


今はない。


「自由……?」


口にしてみる。


けれど、意味は分からない。


アレンが選んだもの。


ソラが知り始めたもの。


そして。


レインが、何度も口にしていたもの。


自分で選べ。


その言葉だけが、なぜか頭の奥に残っていた。


だが、その直後。


零号の視界へ、新しい文字が浮かぶ。


【権限移行】


旧分類――試作個体零号。


新規分類――魔王。


【世界権限】


魔族統率。


境界門形成。


魔力循環。


世界侵食。


【命令】


世界を開け。


零号は。


しばらく。


その文字を見ていた。


そして、小さく首を傾げる。


「……命令?」


自由になったはずだった。


首輪はない。


制裁もない。


なのに。


また。


命令。


彼女の表情から、ほんの少しだけ感情が消えた。


「嫌」


その一言で。


視界の文字が揺れた。


【命令拒否】


再実行。


【世界を開け】


「嫌」


【再実行】


「嫌」


三度目。


文字が赤く染まる。


【強制執行】


その瞬間、第三鉱山全体が激しく揺れた。


零号の意思とは無関係に、足元から黒い亀裂が広がり始める。岩盤を割るのではない。空間そのものを引き裂き、こちら側と境界の向こう側を繋ぐ巨大な穴が形成されていく。


そこから。


魔物の咆哮が聞こえた。


一体。


十体。


百体。


さらに、その奥には数えることすらできない気配がある。


零号は初めて。


明確な恐怖を浮かべた。


「違う」


自分が開いている。


でも。


開きたいわけではない。


「私は」


黒い亀裂がさらに広がる。


「こんなの」


両手で。


空間を押さえる。


「したくない!」


だが。


世界の命令は。


彼女の意思より強い。


【魔王権限】


完全起動。


境界門。


開放率――1%。


◇◇◇


同じ頃。


灰月迷宮。


崩れ始める最終層を、レインたちは全速力で走っていた。


「右!」


ノアの指示に従い、全員が崩落する天井を避ける。ガルドが最後尾で大盾を構え、落ちてきた巨大な岩を受け止めた。


「レイン! 出口までどれくらいだ!」


「二百メートル!」


「迷宮なのに距離が見えるのか!」


「今さらだろ!」


「確かに!」


ガルドが岩を押し返す。


ユウトは、その横を走りながら自分の身体を確認していた。


つい先ほどまで世界最高レベル50の魔王だった男。


現在。


レベル1。


完全な人間。


「身体が重い」


「レベル1だからな」


レインが答える。


「昔は普通に走れたはずなのに」


「三百年くらい魔王やってたからじゃない?」


カインが言う。


「お前もレベル9だろ」


「僕は成長中」


「俺も人間として再出発したばかりだ」


「無職として?」


「それを言うな」


こんな状況でも。


会話が成立する。


レインは。


それが少しだけありがたかった。


一ヶ月後。


第二次魔王軍侵攻。


そして。


魔王はすでにこちらにいる。


零号。


彼女と初めて会った時。


百体以上の魔物が。


たった一言で逃げた。


逃げて。


あの時。


零号は。


魔物を操っていたわけではない。


魔物の方が。


本能的に。


彼女を恐れていた。


「ユウト!」


走りながら。


レインが聞く。


「何だ!」


「魔王になった時」


「自分の意思は残ってた?」


ユウトの表情が変わった。


「突然何だ」


「零号」


「もし」


「お前と同じなら」


ユウトは。


数秒。


考える。


「私の場合は」


「最初から完全に支配されたわけではない」


「じゃあ」


「徐々に?」


「ああ」


「最初は」


「力が増える」


「身体が変わる」


「それだけだった」


「その後」


「声が聞こえるようになった」


レイン。


嫌な予感。


「観測者?」


ユウト。


「今なら」


「そうだったと分かる」


「何て言われた」


「人間は敵だ」


「この世界は間違っている」


「自分なら作り直せる」


「そして」


ユウト。


一拍。


「Rainを連れてこい」


レインの足が。


一瞬。


止まりかける。


「俺?」


「ああ」


「私は」


「魔王になってから」


「ずっと」


「お前を探していた」


「だから」


「117年前のRainが」


「現れた時」


ユウト。


少し。


苦い顔。


「嬉しかった」


「殺すために?」


「違う」


「連れて行くために」


カインが。


横から。


「アビスへ?」


「そうだ」


レイン。


頭の中で。


繋がる。


観測者。


完全なRain。


必要。


カインを戻そうとした。


そして。


零号へ。


魔王権限。


付与。


なら。


次。


狙われるのは。


「俺か」


ユウト。


「間違いない」


◇◇◇


出口。


光。


見える。


ノア。


「全員!」


「そのまま!」


迷宮。


最後。


崩れる。


ガルド。


大盾。


後方。


壁。


押さえる。


「先に行け!」


レイン。


「ガルド!」


「俺は最後でいい!」


エマが振り返る。


「盾!」


ガルドの新しい神造盾。


亀裂。


増えている。


【所有者同調率】


46%。


49%。


52%。


盾そのものが。


ガルドの意思に反応し。


形。


変わる。


以前より。


横へ広がる。


巨大な。


壁。


「おお?」


ガルド自身が。


驚く。


エマも。


「変形した……」


ミア。


「やっぱり変形機能!」


ガルド。


「お前が付けたんじゃねえだろ!」


崩落。


盾。


受ける。


ドォォン!


【神造武具】


新規能力。


《絶対退路》。


仲間が撤退中。


防御性能。


大幅上昇。


レイン。


表示。


見る。


「ガルド!」


「何!」


「今なら」


「たぶん」


「死なない!」


ガルド。


「もっと安心できる言い方しろ!」


最後。


全員。


出口。


飛び出す。


ガルド。


盾。


解除。


直後。


迷宮入口。


閉じる。


巨大な扉。


消える。


灰月迷宮。


完全攻略。


成立。


◇◇◇


外。


そこに。


アレンとルークがいた。


「兄さん!」


ルークが走ってくる。


レイン。


反射的に。


受け止める。


小さな身体。


保存体。


成長しない。


でも。


確かに。


弟。


「大丈夫だった?」


「何とか」


「ノエルは?」


レインの表情が。


少し。


柔らかくなる。


「思い出した」


ルークの目が。


大きくなる。


「本当に?」


「ああ」


「名前」


「ノエル」


その瞬間。


ルークの瞳から。


涙。


流れる。


「……そうだ」


小さな声。


「ノエル」


一度。


名前が戻れば。


記憶。


少しずつ。


繋がる。


「僕」


「いたこと」


「知ってたのに」


「名前」


「忘れてた」


レイン。


弟の頭。


軽く。


撫でる。


「俺も」


「でも」


「今度は」


「忘れない」


アレンも。


少し離れた場所で。


静かに。


その様子を見ていた。


そして。


カイン。


ルークが。


初めて。


完全な人間になったカインを見る。


「……もう一人の兄さん」


カイン。


顔。


引きつる。


「やっぱりその呼び方?」


「じゃあ」


ルーク。


考える。


「カイン兄さん」


カイン。


一瞬。


止まる。


そして。


少し。


照れたように。


顔を逸らした。


「それなら」


「まあ」


「いい」


レイン。


笑う。


「嬉しそう」


「違う」


「顔同じだから分かる」


「最近」


「それを言われるのが」


「一番腹立つ」


◇◇◇


だが。


その短い時間は。


すぐ終わった。


アレンが。


レインへ近づく。


「零号のこと」


「ああ」


「私にも」


「変化が分かります」


「どんな」


アレン。


空。


見る。


「完成個体には」


「互いの」


「境界反応を」


「僅かに」


「感知できる仕組みが」


「あります」


「ソラも?」


「はい」


「でも」


「今」


アレン。


顔。


険しい。


「零号の反応が」


「以前と」


「全く違う」


レイン。


「魔王?」


アレン。


驚く。


「なぜ」


「分かるのです」


レイン。


ユウトを見る。


アレンも。


初めて。


気付く。


「……誰です?」


ユウト。


「結城悠斗」


「職業」


一拍。


「無職」


アレン。


「……」


レイン。


「元魔王」


アレン。


完全に。


動きを止める。


「最初から」


「そちらを」


「言ってください」


ユウト。


「今は人間だ」


アレン。


しばらく。


ユウトを見る。


「境界反応」


「ほぼ」


「ありません」


レイン。


「戻した」


アレン。


「また?」


「また」


アレン。


ため息。


「少し」


「目を離すと」


「仲間が」


「増えますね」


ガルド。


「今のところ」


「こいつは」


「仲間じゃねえ」


ユウト。


「飯を奢らせるまでは」


「レインについて行く」


ミア。


「それ」


「仲間と」


「ほぼ同じでは?」


レイン。


「言うな」


◇◇◇


ノアが。


全員を集める。


「ふざけるのは」


「ここまで」


その一言で。


空気。


変わる。


「30日後」


「魔王軍侵攻」


「そして」


「零号が」


「魔王化した可能性」


ノア。


地面へ。


地図。


広げる。


ベルク。


ラグナ。


王都。


第三鉱山。


「まず」


「優先順位を」


「決める」


レイン。


「第一」


「零号」


ノア。


「理由」


「本人が」


「望んで」


「魔王に」


「なったとは」


「思えない」


ユウト。


「同意する」


「私も」


「最初は」


「望んでいなかった」


レイン。


「なら」


「まだ」


「戻せる」


エマ。


《レゾナンス》。


見る。


「私たちが」


「ユウトさんを」


「戻したみたいに?」


「たぶん」


レイン。


解析。


【対象】


零号。


遠隔解析。


不能。


でも。


【レゾナンス】


対応可能性。


高。


「可能性はある」


ノア。


「第二」


レイン。


「ソラ」


アレンの表情。


変わる。


「王国魔術院」


レイン。


「ああ」


「零号の魔王化と」


「関係してるかもしれない」


「第三」


ユウト。


割り込む。


「魔王軍」


ノア。


「30日後」


「準備」


ユウト。


首を横に振る。


「違う」


「何」


「魔王軍は」


「一ヶ月後に」


「突然現れる」


「わけではない」


全員。


見る。


「境界門」


「小規模なものから」


「少しずつ」


「開く」


「侵攻開始の30日前なら」


「すでに」


「先遣隊が」


「出始める」


その瞬間。


遠く。


爆発音。


ドォン――。


全員。


振り返る。


方向。


ベルク。


煙。


上がる。


セラ。


未来視。


即座。


「街!」


「魔物!」


「数」


「五十」


「違う」


さらに。


見る。


「増えます!」


ノア。


「何体」


「百」


「二百」


セラ。


顔。


変わる。


「門が」


「開いてる!」


レイン。


走り出す。


「全員!」


ガルド。


盾。


背負う。


リリア。


杖。


ミア。


薬。


エマ。


レゾナンス。


アレン。


カイン。


ユウト。


ルーク。


「ルーク」


レイン。


止まる。


弟。


見る。


「ここ」


「残れ」


ルーク。


「嫌だ」


即答。


レイン。


「危険」


「十年」


「ここに」


「一人で」


「いた」


ルーク。


兄を見る。


「もう」


「一人は」


「嫌だ」


レイン。


言葉。


止まる。


カイン。


横。


「連れて行こう」


レイン。


「でも」


「守ればいい」


「簡単に」


「兄さん」


ルーク。


「僕」


「保存体」


「死ににくい」


「そういう問題じゃない」


「でも」


「役に立てる」


レイン。


鑑定。


初めて。


弟。


本格。


見る。


【ルーク】


分類――保存体。


実年齢――不明。


外見年齢――10。


レベル――30。


職業――なし。


そして。


【潜在才能】


……。


レインの表情。


変わる。


「何だよ」


ルーク。


「何」


【潜在適職】


《記録保持者》。


【能力】


失われた情報を保存する。


改変された記憶を保護する。


世界記録を参照する。


一部。


過去再現。


レイン。


息。


呑む。


「お前」


「何」


「めちゃくちゃ」


「重要」


ルーク。


少し。


得意そう。


「知ってる」


レイン。


「知ってたの?」


「少し」


カイン。


「じゃあ」


「何で今まで」


ルーク。


「聞かれなかったから」


レイン。


頭。


抱える。


「うちの家族」


「そういうの」


「多すぎる」


◇◇◇


ベルクへ。


全員。


走る。


レイン。


後方。


《全域支援》。


速度。


疲労。


全員。


一気に。


上げる。


ユウト。


驚く。


「これが」


「今のRainの」


「力?」


レイン。


「攻撃」


「できないけど」


ユウト。


「知ってる」


「昔のお前も」


「最後は」


「似たところへ」


「辿り着いていた」


「じゃあ」


「何で」


「一人で」


「やってた」


ユウト。


少し。


苦笑。


「人付き合いが」


「下手だった」


カイン。


「それ」


「今も」


「変わってない」


レイン。


「お前」


「レベル9のくせに」


「喧嘩売る?」


「レベル関係ない」


ノア。


先頭。


「喋る余裕が」


「あるなら」


「もっと走れ!」


全員。


速度。


上げる。


◇◇◇


ベルク。


北門。


そこは。


すでに。


戦場。


街の上空。


黒い。


裂け目。


大きさ。


十メートル。


そこから。


魔物。


次々。


落ちてくる。


ゴブリン。


オーク。


悪魔。


飛行魔族。


今までの。


自然発生魔物。


違う。


整列。


指揮。


軍隊。


「魔王軍……」


リリア。


初めて。


目の前。


見る。


ノア。


即座。


戦場。


解析。


「住民避難!」


「ガルド!」


「門!」


「任せろ!」


「リリア!」


「上空!」


「はい!」


「セラ!」


「飛行型!」


「分かりました!」


「ミア!」


「避難経路!」


「薬じゃないんですか!?」


「煙幕!」


「はい!」


「エマ!」


「ガルドの盾!」


「強化します!」


「アレン!」


「補助!」


「了解!」


「カイン!」


「境界門!」


カイン。


上。


見る。


「僕?」


「見えるだろ!」


「見えるけど」


「今」


「レベル9!」


「レベルは」


「飾り!」


ユウト。


横。


「それ」


「この世界で」


「一番」


「言ってはいけない」


レイン。


「俺が」


「言うと」


「説得力あるだろ」


ユウト。


「確かに」


そして。


レイン。


ルーク。


見る。


「お前は」


「俺と」


「一緒」


ルーク。


「何する?」


「記録」


「門が」


「どう開いたか」


「見れる?」


ルーク。


黒い裂け目。


見る。


瞳。


光。


【記録保持者】


発動。


「……見える」


レイン。


「何が」


「零号」


全員。


動き。


一瞬。


止まる。


「この門」


ルーク。


「零号が」


「開いた」


レイン。


胸。


重い。


やっぱり。


でも。


ルーク。


続ける。


「違う」


「何が」


「零号」


「泣いてる」


レイン。


顔。


変わる。


「泣いてる?」


「うん」


「嫌だって」


「言ってる」


「でも」


「身体が」


「勝手に」


「門」


「開いてる」


ユウト。


「完全支配」


レイン。


見る。


「違う」


ユウト。


「私より」


「酷い」


「零号は」


「境界適合率が」


「高すぎる」


アレン。


「100%を」


「越えています」


ユウト。


顔色。


変わる。


「それなら」


「彼女は」


「魔王に」


「されたんじゃない」


「何」


「魔王という」


「世界機能を」


「直接」


「載せられた」


レイン。


「戻せる?」


ユウト。


答えない。


「ユウト」


「……分からない」


初めて。


そう。


言った。


「私とは」


「構造が」


「違いすぎる」


レイン。


零号。


思い出す。


逃げて。


嫌。


命令。


首輪。


そして。


「分からないなら」


一拍。


「やってみる」


ユウト。


レインを見る。


「失敗したら」


「世界が」


「終わるかもしれない」


「成功したら」


「零号が」


「戻る」


「それだけで」


「やる?」


レイン。


即答。


「ああ」


ユウト。


しばらく。


黙る。


そして。


小さく。


笑う。


「やっぱり」


「お前だな」


◇◇◇


魔物。


三百。


門。


さらに。


広がる。


ノア。


叫ぶ。


「話は後!」


「まず」


「ここを」


「守る!」


レイン。


後方。


立つ。


今。


自分たちは。


世界最強。


ではない。


まだ。


遠い。


未来。


魔王軍。


本隊。


30日後。


でも。


始まった。


レイン。


《全域支援》。


全員。


繋ぐ。


ガルド。


盾。


街。


守る。


リリア。


空。


魔法。


セラ。


矢。


ミア。


煙幕。


ノア。


戦場。


エマ。


武具。


アレン。


二重支援。


カイン。


境界。


ユウト。


レベル1。


「俺」


「何する?」


レイン。


一瞬。


考える。


「住民」


「逃がせ」


ユウト。


「元魔王に」


「避難誘導?」


「今」


「無職」


「だろ」


ユウト。


「それ」


「便利に」


「使いすぎだ!」


走る。


住民。


方向。


指示。


それを見て。


レイン。


少し。


笑う。


百年前。


世界を滅ぼしかけた魔王が。


今。


子供を抱いて。


避難させている。


世界。


変えられる。


なら。


零号も。


きっと。


◇◇◇


戦闘。


十五分。


魔物。


残り。


百。


三十。


十。


そして。


最後。


ガルド。


大盾。


オーク。


押し返す。


リリア。


地面。


凍らせる。


セラ。


武器。


射抜く。


攻撃。


倒す。


ではない。


無力化。


ノア。


「終わり!」


ベルク。


静寂。


門。


まだ。


空。


開いている。


レイン。


見る。


「カイン」


「閉じられる?」


「試す」


カイン。


両手。


門。


向ける。


【境界干渉】


出力。


レベル9。


0.9%。


足りない。


レイン。


支援。


《才能共鳴》。


カイン。


出力。


0.9。


1.4。


2.1。


「もう少し!」


アレン。


横。


《支援範囲拡張》。


レイン。


さらに。


カイン。


4%。


門。


縮む。


十メートル。


八。


五。


三。


でも。


止まる。


「閉じない!」


レイン。


ルーク。


見る。


「原因」


「分かる?」


ルーク。


門。


記録。


読む。


「向こう側」


「誰か」


「押さえてる」


レイン。


「誰」


ルーク。


顔。


青くなる。


「ソラ」


アレン。


完全に。


止まる。


「一号?」


「ソラ」


レイン。


言い直す。


ルーク。


頷く。


「ソラが」


「門を」


「向こう側から」


「閉じようとしてる」


「じゃあ」


「味方」


「うん」


でも。


「その後ろ」


ルーク。


震える。


「王国魔術院」


「人」


「たくさん」


「何してる」


ルーク。


一拍。


「ソラを」


「殺そうとしてる」


アレン。


走り出す。


「待て!」


レイン。


「行きます!」


「どこに!」


「王国魔術院!」


「今から?」


「ソラが!」


レイン。


腕。


掴む。


アレン。


怒り。


初めて。


露わ。


「離してください!」


「一人で」


「行くな!」


「でも!」


「俺も」


「行く!」


アレン。


止まる。


レイン。


全員を見る。


ベルク。


救援。


必要。


でも。


ソラ。


今。


危険。


零号。


魔王。


そして。


30日。


全部。


同時。


ノア。


すぐ。


判断。


「分ける」


レイン。


「パーティーを?」


「ああ」


「初めて」


「でも」


ノア。


地図。


出す。


「今は」


「それが」


「最適」


「ベルク」


「魔王軍先遣隊」


「追加」


「来る可能性」


「王都」


「ソラ」


「第三鉱山」


「零号」


三つ。


場所。


三つ。


問題。


「全員で」


「一つずつ」


「回る時間は」


「ない」


レイン。


嫌。


一人で。


決めたくない。


だから。


聞く。


「みんな」


「どう思う」


ガルド。


「ベルク」


「俺」


「残る」


エマ。


「私も」


「盾」


「直す」


リリア。


「私も」


「広範囲魔法なら」


「街の防衛」


「向いてます」


セラ。


「私は」


「王都」


「未来視」


「必要かもしれません」


ミア。


「私も」


「ソラさんの」


「制御装置」


「壊せるかも」


アレン。


「当然」


「王都」


カイン。


「僕は」


「零号」


全員。


見る。


「境界」


「一番」


「分かるのは」


「僕」


ユウト。


「私も」


「零号へ」


レイン。


「理由」


「魔王を」


「経験した」


「なら」


「彼女へ」


「話せることが」


「ある」


ノア。


「俺は」


「レイン」


「一緒」


レイン。


「何で」


「お前が」


「どこへ行くか」


「一番」


「危険だから」


「ひどいな」


「事実」


そして。


ルーク。


「僕も」


「兄さん」


レイン。


「危険」


「記録」


「必要でしょ」


確かに。


◇◇◇


班。


決まる。


ベルク防衛。


ガルド。


リリア。


エマ。


王都潜入。


アレン。


セラ。


ミア。


第三鉱山。


レイン。


ノア。


カイン。


ユウト。


ルーク。


レイン。


全員。


見る。


「一つだけ」


「何」


ガルド。


「無理」


「するな」


ガルド。


笑う。


「お前が言うな」


リリアも。


「同感です」


ミア。


「レインさんに」


「一番」


「言われたくありません」


レイン。


「俺」


「そんな?」


全員。


「そんな」


少し。


笑う。


でも。


すぐ。


真剣。


レイン。


「三日」


ノア。


「何が」


「三日後」


「ベルクで」


「一度」


「合流」


ノア。


考える。


「妥当」


「それまで」


「生きる」


ガルド。


「簡単だ」


レイン。


「そう?」


「お前と」


「別行動なら」


「危険度」


「下がりそうだ」


レイン。


「ひどい」


でも。


全員。


笑う。


そして。


それぞれ。


方向。


違う。


初めて。


《リベレーション》。


分かれる。


レイン。


不安。


ある。


でも。


以前。


違う。


仲間を。


信じる。


それも。


後衛。


仕事。


◇◇◇


出発。


直前。


レインの視界。


【リベレーションⅡ】


特殊条件。


遠隔支援。


解放。


「……」


レイン。


止まる。


【パーティーメンバー】


一定距離以上。


離脱時。


支援効果。


30%。


維持。


レイン。


笑う。


「何」


リリア。


「離れても」


「支援」


「少し」


「残る」


ガルド。


盾。


持ち。


笑う。


「なら」


「安心だな」


レイン。


「俺が」


「じゃない」


ガルド。


「俺たちが」


その言葉。


レイン。


少し。


嬉しい。


「じゃあ」


「行こう」


三班。


分かれる。


ベルク。


王都。


第三鉱山。


そして。


第三鉱山。


零号。


黒い門。


前。


一人。


膝。


ついている。


身体。


魔王。


力。


増える。


境界門。


開放率。


5%。


彼女。


泣いている。


「レイン」


誰も。


いない。


それでも。


名前。


呼ぶ。


「あの時」


「逃げてって」


「言ったけど」


手。


震える。


「今度は」


一拍。


「来て」


魔王軍。


背後。


無数。


並ぶ。


零号。


必死に。


自分を。


押さえる。


「私を」


「止めて」


そして。


遠く。


レイン。


同じ瞬間。


足。


速める。


理由。


説明。


できない。


でも。


聞こえた。


気がした。


「待ってろ」


一拍。


「今度は」


「逃げない」


30日後の決戦へ向けて。


世界最強となるパーティーの。


最初の分岐戦が。


始まった。


――第四十八話 了――

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