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世界最低の後衛は最高の後衛だった ~三度追放された荷物持ちは、捨てられた才能だけを集めて魔王を討つ~  作者: あめのひくもり


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第三十四話 片腕の神造鍛冶師

第三十四話 片腕の神造鍛冶師


「……怪しい宗教ですか?」


エマの返事に。


レインは固まった。


「違う!」


即答。


「そう言う人ほど怪しいです」


「違うって!」


後ろで。


アレンがまだ笑っている。


ガルドも肩を震わせる。


ミアだけは。


真剣だった。


「でも」


「本当にすごい才能があるんですよ!」


エマが。


さらに警戒する。


「今度は勧誘が二人になった」


「違います!」


「もっと怪しくなったな」


ノアが淡々と言う。


「ノア!」


「事実だ」


リリアが。


エマの前へ少し出る。


「すみません」


「突然こんなことを言われたら」


「不審に思いますよね」


「はい」


エマは即答した。


そして。


レインを見る。


「特にこの人」


「俺!?」


セラが。


小さく笑う。


「仕方ないですよ」


「初対面で」


「世界最高になれるって言ってますから」


レインは。


何も言い返せない。


確かに。


自分でも怪しい。


◇◇◇


エマは。


小さな荷物を抱え直した。


「それで」


「何の用ですか」


レインは。


少しだけ言葉を選んだ。


「君の作った武器を見たい」


「さっき」


「失敗って言われてた剣」


エマの表情が。


曇った。


「見る価値ないです」


「俺が決める」


「……」


レイン。


地面に落ちている剣を拾う。


見た目。


普通。


いや。


むしろ。


悪い。


刃。


歪み。


鍔。


少し傾いている。


握り。


巻き方も不均一。


鍛冶師から見れば。


確かに。


失敗作。


だが。


レインの視界。


【製作者】


エマ・ベルク。


【品質】


F。


その下。


【潜在特性】


――未覚醒。


さらに。


【所有者未設定】


【同調可能性】


極高。


レインの目が。


変わる。


「これ」


エマが。


レインの反応を見る。


「やっぱり」


「ひどいですよね」


「いや」


レインは。


剣を握る。


その瞬間。


表示。


【仮所有者】


レイン・アーク。


【同調開始】


1%。


「……?」


剣。


僅かに。


光る。


エマの顔が。


変わる。


「今」


「光った?」


「見えた?」


「はい」


レインも。


剣を見る。


【所有者同調】


1%。



2%。


そして。


剣の歪み。


ほんの少し。


戻る。


「……」


エマが。


完全に固まる。


「何ですか」


「これ」


レイン。


「俺が聞きたい」


エマは。


レインから剣を奪うように取る。


光。


消える。


「……」


もう一度。


自分で握る。


変化なし。


レインへ渡す。


光。


また。


僅かに。


戻る。


「何で……」


ミア。


目を輝かせる。


「すごい!」


「これ」


「持つ人に合わせて」


「形が変わってます!」


エマ。


混乱。


「そんな機能」


「付けてません」


レイン。


「でも」


「出てる」


「何がです?」


「……」


レインは。


一瞬。


迷う。


まだ。


自分の《潜在才能鑑定》について。


初対面の相手へ。


全部話す必要はない。


「この剣」


「失敗作じゃない」


エマ。


「どう見ても失敗です」


「普通の剣としてはな」


「……」


「でも」


レインは。


もう一度。


剣を握る。


【所有者同調】


4%。


5%。


歪み。


さらに。


少しずつ。


消える。


「この剣」


「持ち主に合わせて」


「成長してる」


エマ。


息を呑む。


「そんな……」


「あり得ません」


「実際」


「起きてる」


ガルド。


「俺にも持たせてみろ」


レイン。


剣を渡す。


ガルドが握る。


一瞬。


剣身。


僅かに。


厚くなる。


「お?」


【仮所有者】


ガルド・バルガス。


【同調方向】


耐久。


重量。


防御。


レイン。


目を見開く。


「やっぱり」


「何が?」


ガルド。


「お前が持つと」


「剣が盾寄りになる」


ガルド。


嬉しそう。


「いいじゃねえか!」


ミア。


「盾にしましょう!」


エマ。


「剣です!」


初めて。


少しだけ。


強い声。


全員。


エマを見る。


本人も。


自分で驚く。


「……すみません」


レイン。


少し笑う。


「謝る必要ない」


「鍛冶師だろ」


「自分の作った物くらい」


「守れ」


エマの表情が。


僅かに変わった。


◇◇◇


そこへ。


先ほどエマを追い出した鍛冶師が。


再び現れる。


「まだいたのか!」


エマの身体が。


僅かに縮こまる。


「すみません」


「すぐ出ます」


「その剣も置いていけ!」


男が。


ガルドの手の剣を指す。


「工房の材料で作った物だ!」


「俺の物だ!」


エマ。


俯く。


ガルド。


眉をひそめる。


「待て」


男を見る。


「これ」


「こいつが作ったんじゃないのか」


「材料は俺の工房だ!」


「腕も」


「道具も」


「全部使わせてやった!」


「片腕しかない見習いを」


「雇ってやっただけでも」


「ありがたく思え!」


空気が。


変わる。


リリアの表情。


曇る。


セラ。


目。


冷たくなる。


ミア。


怒っている。


アレン。


何も言わない。


だが。


レイン。


一歩。


前へ。


「材料代」


「いくらです」


男が。


見る。


「何?」


「この剣の」


「材料代」


「払います」


エマ。


「待ってください!」


レイン。


振り返らない。


「いくら」


鍛冶師。


少し考え。


そして。


明らかに高い金額。


「金貨三枚」


エマ。


顔を上げる。


「そんな!」


「材料だけなら」


「銀貨七枚くらい――」


「黙れ!」


レイン。


男を見る。


「金貨三枚ですね」


「払うのか?」


「ああ」


財布。


金貨三枚。


出す。


男。


驚く。


受け取る。


「これで」


レイン。


剣を指す。


「エマの物ですね」


「好きにしろ」


男は。


鼻で笑う。


「そんな失敗作」


「金貨三枚で買うなんて」


「馬鹿な奴だ」


レイン。


答えない。


ガルド。


剣を。


エマへ返す。


「お前のだ」


エマ。


受け取れない。


「でも」


「三枚も……」


「気にするな」


レイン。


「気にします!」


「じゃあ」


レイン。


少し考える。


「返してくれ」


エマ。


「どうやって」


「うちの装備」


「作って」


ミアが。


手を挙げる。


「私も手伝います!」


ガルド。


「余計な機能は付けるなよ」


「必要な機能だけです!」


「車輪は必要じゃない!」


エマ。


六人。


いや。


七人を見る。


何が起きているのか。


分からない。


「あなたたち」


「何なんですか」


レイン。


「パーティー」


「それは見れば分かります」


「変なパーティー」


ガルド。


「それは否定できねえ」


リリア。


笑う。


「みんな」


「一度は」


「役立たずって言われた人たちです」


エマ。


少し。


驚く。


セラ。


「私も」


「弓使いなのに」


「矢が当たらないって」


「追放されました」


ガルド。


「俺は五回」


ミア。


「私は爆発ばっかりで」


「工房を追い出されました!」


ノア。


「俺は資格停止」


アレン。


少し考える。


「私は」


「処分されかけました」


エマ。


「……最後だけ」


「重くないですか?」


アレン。


「そうですね」


淡々。


レイン。


「俺は三回」


「無能って言われて追放」


エマ。


全員を見る。


そして。


最後に。


レイン。


「だから」


レイン。


「片腕だから」


「無理だって言われたくらいで」


一拍。


「俺は信じない」


エマの瞳が。


揺れる。


「でも」


「私は」


左肩。


見る。


そこには。


何もない。


「片腕です」


「見れば分かる」


「大きな武器は打てません」


「方法を考えればいい」


「力も足りません」


「道具を使えばいい」


「細かい調整も」


「片手じゃ」


「できない時があります」


レイン。


「ミアがいる」


ミア。


「はい!」


「手伝います!」


エマ。


戸惑う。


「でも」


「他人に手伝ってもらったら」


「私の仕事じゃ――」


「違う」


レイン。


「一人で全部やる必要はない」


「俺も」


「一人では何もできない」


エマ。


レインを見る。


「攻撃できない」


「防御も弱い」


「それでも」


仲間。


見る。


「こいつらがいるから」


「俺は冒険者をやれてる」


少し間。


「足りないなら」


「仲間に借りればいい」


エマ。


何も言えない。


その瞬間。


レインの視界。


【エマ・ベルク】


【覚醒条件】


自己完結への執着を捨てる。


仲間との共同制作を受け入れる。


進捗。


72%。


「……やっぱり」


レイン。


呟く。


「何がです?」


「いや」


「何でもない」


ガルド。


小声。


「またそれか」


◇◇◇


ベルク。


鍛冶師街。


レインたちは。


とりあえず。


宿を取った。


その後。


エマも。


一緒に。


「どうして私まで」


「工房ないだろ」


レイン。


「……はい」


「なら」


「借りる」


ミア。


「私」


「宿の裏でやれます!」


レイン。


「お前は何をする気だ」


「錬金!」


「宿を爆発させるな」


「しません!」


アレン。


「その発言」


「信用度が低いですね」


ミア。


「アレンさんまで!」


少しずつ。


アレンも。


パーティーに。


馴染んでいる。


◇◇◇


午後。


街の共同鍛冶場。


有料で。


炉。


金床。


道具。


借りられる。


エマ。


自分の道具。


ほとんどない。


ミア。


錬金道具。


山ほど。


ガルド。


壊れた盾。


いや。


金属板。


持ってくる。


ドン。


「これ」


「直せるか?」


エマ。


見る。


「……」


長い沈黙。


「これは」


「盾ですか?」


ミア。


「元盾です!」


ガルド。


「お前が壊したみたいに言うな!」


エマ。


金属板。


触る。


傷。


亀裂。


魔力痕。


「普通には」


「直せません」


ガルド。


「やっぱりか」


「でも」


エマの目。


変わる。


職人。


その目。


「作り直すなら」


「できます」


ミア。


「おお!」


ガルド。


「どう違う」


エマ。


金属板を。


指で。


叩く。


音。


聞く。


「素材が」


「死んでません」


「死ぬ?」


「金属にも」


「癖があります」


「何度も」


「攻撃を受けた」


「何度も」


「魔力を通した」


「だから」


「普通の新品より」


「ガルドさんに」


「馴染んでる」


レイン。


表示。


【旧装備】


ガルドの大盾。


【所有者同調】


41%。


エマ。


見えていない。


それなのに。


同じことを。


感じ取っている。


レイン。


確信。


本物。


「どうする」


ガルド。


エマ。


「全部溶かします」


「……」


ガルド。


「俺の盾を?」


「はい」


「思い出が」


「残ってるんだぞ」


「だからです」


エマ。


初めて。


迷わず。


言う。


「形は」


「捨てます」


「でも」


「積み重ねたものは」


「残します」


ガルド。


黙る。


その言葉。


レインにも。


妙に。


響く。


形を捨てる。


積み重ねたものは。


残す。


アレンも。


少し。


反応していた。


十二号。


という形。


実験体。


という形。


捨てた。


でも。


十八年。


生きた経験は。


残っている。


「頼む」


ガルド。


大盾。


いや。


旧盾を。


エマへ渡す。


「今度は」


「もっと」


「仲間を守れる盾にしてくれ」


エマ。


両手。


ではない。


右手だけで。


受け取る。


重い。


だが。


落とさない。


「はい」


その瞬間。


レインの視界。


【覚醒条件】


共同制作。


開始。


【エマ・ベルク】


潜在才能解放率。


0%。



1%。


◇◇◇


作業開始。


まず。


盾を。


炉へ。


ミア。


魔力炉の調整。


「温度上げます!」


エマ。


「待って!」


「え?」


「急に上げたら」


「金属が割れます」


ミア。


「爆発は?」


「しません!」


「残念」


「残念じゃない!」


ガルド。


「気が合いそうだな」


レイン。


「危険な意味でな」


アレン。


「この二人を」


「同じ工房に入れて大丈夫ですか?」


ノア。


「生還経路は出ている」


ガルド。


「工房なのに生還確認が必要なのかよ」


エマと。


ミア。


共同作業。


ミア。


温度。


魔力。


材料。


エマ。


金属。


音。


色。


変化。


片腕。


足りない。


ハンマーを。


固定。


特殊治具。


使う。


でも。


途中。


どうしても。


必要。


同時に。


二か所。


押さえる。


エマ。


手が止まる。


「……」


昔。


何度も。


ここで。


失敗した。


右手で。


押さえる。


なら。


叩けない。


叩く。


なら。


固定できない。


だから。


歪む。


だから。


笑われた。


片腕では無理。


やっぱり。


そうかもしれない。


その時。


「どこ」


ミア。


横。


立つ。


「え?」


「どこ押さえます?」


「……」


「ここ?」


「違う」


エマ。


反射的に。


ミアの手を。


少し右へ。


「ここ」


「力は?」


「強すぎないで」


「これくらい?」


「もう少し弱く」


「はい!」


ミア。


押さえる。


エマ。


ハンマー。


握る。


カン!


一打。


金属。


響く。


エマの目。


大きくなる。


今まで。


一人で。


できなかった。


音。


理想。


カン!


二打。


カン!


三打。


「ミア」


「はい!」


「次」


「左!」


「はい!」


「少し上!」


「はい!」


「魔力」


「流して!」


「分かりました!」


二人。


息。


合う。


レインの視界。


【エマ・ベルク】


潜在才能解放率。


1%。


3%。


7%。


12%。


急上昇。


「……」


レイン。


笑う。


ガルド。


「どうした」


「覚醒してる」


「エマが?」


「ああ」


その瞬間。


金床。


光。


エマ。


ハンマー。


振り下ろす。


カァァァン――。


澄んだ音。


工房全体。


響く。


魔力。


集まる。


金属。


自ら。


形を変え始める。


エマ。


「……え?」


ミア。


「触ってません!」


「私も!」


盾。


新しい形。


縦。


大きい。


だが。


以前より。


少し細い。


中央。


一本の。


光る線。


【新規装備生成】


名称。


未登録。


【製作者】


エマ・ベルク。


ミア。


【共同制作】


成立。


【品質】


A。


「……A?」


レイン。


声。


出る。


まだ。


覚醒率12%。


なのに。


A品質。


ガルド。


盾を見る。


「持っていいか?」


エマ。


「待って」


最後。


調整。


右手。


盾へ。


触れる。


「ガルドさん」


「何」


「何を」


「一番守りたいですか」


ガルド。


迷わない。


仲間。


見る。


「こいつら」


エマ。


頷く。


盾。


光。


【所有者設定】


ガルド・バルガス。


【同調開始】


1%。


5%。


12%。


一瞬で。


伸びる。


そして。


【特殊能力生成】


《仲間防衛》。


効果。


パーティーメンバーへの攻撃時。


防御性能上昇。


ガルド。


目を見開く。


「……」


盾。


持つ。


軽い。


「軽すぎる」


「強度は?」


エマ。


不安。


ガルド。


盾。


地面。


軽く。


叩く。


ドン!


工房。


床。


亀裂。


全員。


「……」


ミア。


「強いですね」


レイン。


「宿じゃなくて良かった」


エマ。


盾を。


見つめる。


自分が。


作った。


片腕で。


いや。


違う。


片腕だけでは。


作れなかった。


ミアと。


一緒に。


だから。


できた。


その瞬間。


レインの視界。


【覚醒条件達成】


自己完結への執着。


解除。


共同制作。


受容。


【職業進化】


鍛冶師見習い。



《神造鍛冶師》。


エマの身体。


光。


「……何?」


エマ。


自分を見る。


冒険者証。


持っていない。


でも。


職人組合証。


光る。


【職業】


神造鍛冶師。


工房。


静寂。


エマ。


読んで。


固まる。


「……神造」


ミア。


叫ぶ。


「すごい!」


ガルド。


「お前」


「本当に」


「世界最高の鍛冶師になるんじゃねえか?」


エマ。


レインを見る。


最初。


言われた。


君は。


世界最高の鍛冶師になれる。


怪しい。


そう思った。


でも。


「……どうして」


「何」


「どうして」


エマ。


涙。


「分かったんですか」


レイン。


少し。


困る。


「それは」


まだ。


全ては。


話せない。


でも。


一つだけ。


「俺は」


「見捨てられた奴を見るのが」


「得意なんだ」


エマ。


泣きながら。


笑う。


「変な特技」


「よく言われる」


◇◇◇


その時。


共同鍛冶場の。


入口。


拍手。


一回。


二回。


ゆっくり。


全員。


振り返る。


男。


一人。


五十代。


白髪。


鍛冶師。


腰。


巨大なハンマー。


周囲の職人。


全員。


姿勢を正す。


エマ。


顔色。


変わる。


「……ギルド長」


ベルク鍛冶師組合。


最高責任者。


《鉄王》ドレイク・ベルク。


男が。


完成した盾を見る。


そして。


エマを見る。


「神造鍛冶師」


静かな声。


「二百年ぶりだな」


レインたち。


表情が変わる。


エマ。


「二百年……?」


ドレイク。


頷く。


「最後の神造鍛冶師は」


「二百十三年前に死んだ」


「その男が」


「最後に作った武器」


一拍。


「勇者の聖剣だ」


リリア。


息を呑む。


ガルド。


新しい盾を見る。


ドレイク。


続ける。


「そして」


「神造鍛冶師が現れる時」


「必ず」


「世界に」


「大きな災厄が起きる」


空気が。


変わる。


レイン。


「どういう意味です」


ドレイク。


レインを見る。


「古い記録だ」


「神造鍛冶師は」


「世界が」


「通常の武器では対処できない敵を」


「認識した時に」


「現れる」


エマ。


顔。


青ざめる。


「私が」


「なったから」


「災厄が?」


「逆だ」


ドレイク。


「災厄が来るから」


「お前が必要になった」


レイン。


アビス。


零号。


王国魔術院。


境界。


全て。


頭をよぎる。


ドレイクは。


盾を見る。


「その盾」


「まだ完成していない」


ガルド。


「これで?」


「ああ」


「A品質だぞ」


「神造武具に」


ドレイク。


「Aも」


「Sも」


「関係ない」


エマ。


見る。


「神造武具は」


「所有者と」


「共に成長する」


レインの目。


変わる。


《成長武具》。


エマの才能。


「つまり」


ガルド。


「俺が強くなれば」


ドレイク。


「盾も強くなる」


「そして」


「盾が強くなれば」


「お前も強くなる」


レイン。


少し。


笑う。


また。


循環。


自分と。


仲間。


同じ。


「なら」


ミア。


目を輝かせる。


「みんなの武器」


「作りましょう!」


エマ。


「え?」


「リリアさんの杖!」


「セラさんの弓!」


「ノアさんの罠道具!」


「アレンさんの――」


アレン。


「私は」


「武器を使いません」


ミア。


「じゃあ」


「包丁!」


アレン。


「なぜです?」


レイン。


「まな板を壊さないやつにしてくれ」


アレン。


「それは私ではなく」


「包丁の問題だったのですか?」


「違うと思います!」


リリア。


笑う。


ドレイクだけが。


その様子を。


静かに見ていた。


そして。


最後に。


レインを見る。


「お前」


「何者だ」


レイン。


「Dランク後衛です」


ドレイク。


一瞬。


完全に。


呆れた顔。


「……」


「何です」


「いや」


ドレイク。


深く。


ため息。


「最近のDランクは」


「神造鍛冶師まで」


「拾って歩くのかと思ってな」


ガルド。


笑う。


「こいつだけです」


レイン。


「おい」


その時。


外。


鐘。


一回。


二回。


三回。


街の警鐘。


セラ。


顔。


変わる。


「来ました」


「何が」


「昨日」


「未来で見た人」


街の入口。


ノア。


地図。


見る。


「人数は?」


セラ。


未来視。


「一人」


レイン。


解析。


街。


入口。


一名。


黒いローブ。


ゆっくり。


こちらへ。


歩いてくる。


【対象】


解析。


一秒。


二秒。


【解析不能】


レインの表情が。


変わる。


また。


規格外。


そして。


アレン。


その人物を。


遠くから見て。


初めて。


明確な恐怖を浮かべた。


「……レイン」


「何」


「逃げてください」


「誰だ」


アレン。


声。


震える。


「一号です」


全員。


止まる。


零号。


試作。


アレン。


十二号。


完成個体。


その。


最初。


「一号は」


レイン。


「強いのか」


アレン。


首を横に振る。


「強い」


「ではありません」


一拍。


「完成個体の中で」


「唯一」


「私たち全員を」


「停止できる個体です」


レインの視界。


新しい警告。


【世界規格外存在】


接近。


【個体識別】


――一号。


そして。


街の入口。


黒いローブの人物が。


顔を上げた。


少女だった。


年齢。


十三。


十四。


その程度。


少女は。


レインを見つける。


そして。


笑った。


「見つけた」


その瞬間。


アレンの身体が。


崩れ落ちた。


「アレン!」


レインが支える。


【アレン】


全能力。


強制停止。


少女。


一号が。


静かに告げる。


「十二号」


「回収します」


そして。


レインを見る。


「あなたも」


「一緒に来てください」


レイン。


アレンを抱えながら。


立ち上がる。


「断る」


一号。


笑顔。


「そうですか」


小さな手。


上げる。


「では」


「止めます」


ベルクの街から。


音が。


消えた。


――第三十四話 了――

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