6話 シング・ア・グッバイ(2)
突如飛来したジェヌヴとその僚機が連邦と共和国の両軍機を攻撃し、次々と撃破していく。超大型ビーストの出現と、吹き出し続ける黒霧に視界を飲み込まれ、戦場は大いに混乱していた。
「帝国が裏切った! 最初から、罠だったんだ!」
広域の通信阻害が発生する直前、誰かの叫んだその言葉は、ごく短距離間だけに許された無線を伝い伝播していく。
誰もが抱いた疑念を振り払えず、迫る恐怖に怯えていた。
そのような心理状態のなかで、連邦軍機が帝国軍機に向かい発砲し、反撃することは誰にも止めようのないことなのかもしれない。
「落ち着いてください。味方同士で撃ち合ってる場合なんかじゃないでしょ。すぐ横に、バカでかいビーストもいるんですよ!?」
少し離れた先の空域で、ドールズ同士での戦闘が起きている。
聞こえていないことは分かっていたが、必死に叫んだ。ノイズ混じりとはいえ、言葉の断片でも届いてほしいと願って。
出現した超大型種は天を仰ぐかのように微動だにせず、他の中型種は上空へと退いていったようだが、いつまた襲ってくるかは分からない。本当に、こんなことをやっている場合ではないのだ。
それに、せっかく手を取り合って出来た部隊が、こうやっていとも簡単に崩れ去ってしまう光景を信じたくはなかった。
「無駄だよスレイ。もう、誰も聞いちゃくれない」
ルルの声だった。いつのまにか、両機の装甲が触れ合えるほどの距離まで来てくれたらしい。彼は沈んだ声で続ける。
「あれは、確かにジェヌヴだった。追従してた僚機は知らないけど、外見からみても帝国製に違いないよ。エレオラさん、何を考えてこんなことを」
原型機ジェヌヴは、あの鉄仮面をした女将軍、エレオラの専用機であり、彼女しか操縦できない。このクルセイダと同じく。
「じゃあ、やっぱり帝国が仕掛けた罠だって言うんですか。俺、何も聞かされちゃいませんよ」
「僕だって、こんなこと知らない。それに、約束を反故になさるなんて陛下は絶対にしない。これは、陛下の御意志じゃないんだ。……まさか反逆?」
何の装飾もない、鈍色をしたのっぺりとした仮面。暗い覗き穴から、金色の瞳が妖しく光る。深紅の軍服を纏う長く伸びた腕が、ゆっくりと首を締めあげていく。
——ふと思い描いた情景に、身震いした。
「とにかくまずはレンファと合流しよう」
ルルの乗機であるシミューンは、情報収集や後方指揮を目的に建造された専用ドールズで、機動性はあるものの装甲は薄く、武装も最低限のものしかない。乱戦の最中に突っ込んでいくなど、危険極まりない行為だった。
「俺が行きます。重装甲で速度もでるクルセイダなら、多少の攻撃じゃ墜とされないし、スピードで振り切れますから」
「僕の心配をしてくれてるんだ。ありがとう、君は優しいね。でも、それ以上に僕はレンファを心配してるんだ。この目で、彼女の無事を確かめたい」
はっとした。ルルにとって、レンファがどのように映っているか。
今まで眺めてきた二人の後ろ姿に、見えなくとも繋がっている絆がきらきらと光を放っているように思えた。
「……いったい、どこが良かったんです?」
思わず、そう呟いていた。
ルルは、一拍置いてから笑った。困ったようにして笑う、優しい声色だった。
「レンファはね、あれでいて可愛げがあるんだよ。普段はそんなの、おくびにも出さないけどね。意外と、乙女なんだ。
ああ、でも、本人には内緒にしておいてよ。僕が言ったことがバレたら、手がつけられないほど怒り出すに決まってるからね」
ルルは気を遣ってよく声をかけてくれていたが、これまでこんな話をしたことはなかった。数歳年上なだけの、この線の細い男性が等身大の一面をさらけ出してくれたような気がして、また少し、彼のことが好きになっていた。
「あらあら。暢気だこと」
赤く輝く双眸を携え、ぬぅとジェヌヴが現れた。数メートルの間隔もない、ほぼ真横の位置だ。
何も反応できる間もなく、ドンと機体に衝撃が走った。ジェヌヴが放った蹴りを受け、バランスを崩したのだ。
「あら。防ぐなんて、良く反応したものね。良いわね坊や。やっぱり面白い」
言っている意味が分からなかったが、クルセイダが胴体の前で腕部を交差し、一撃を捌いたのだと感覚では理解していた。
ブースタを吹かせ、踏ん張らせる。ジェヌヴは、反りのある刀剣を模した漆黒の実体剣を振り、シミューンの頭部を斬り落としていた。
「戦場に痛みはつきものだものね。これで、あの娘もより実るでしょう」
——やめろ!
叫びも空しく、切先がコクピットを深々と貫く。
「レンファ」掠れた声がエーテルの風に乗って聞こえた。
かと思うと、背部の装備が火を吹いた。ジェヌヴは素早く引き抜いた刀剣を切り返し、袈裟斬りにシミューンを両断した。
ふふ、と女の嗤う声が響いた。
ダメだ、と理性が命じても、身体は言うことを聞かなかった。激しく白熱する衝動に任せ、クルセイダを突っ込ませる。乱暴に上段から振られたヒートソードを、ジェヌヴは機体をくるりと翻して躱す。
「だめよ。そんなんじゃ。それじゃ、獣と変わらないわ」
シミューンが爆散する。爆風で塞がれた視界が晴れると、ジェヌヴは距離を取った上空から見下ろしていた。
追撃しようとして、左右前方の斜め上空と、右後方の低空の三方向から囲まれていることに気がついた。向けられた銃口には、青白い光が灯り始めている。
やられる。撃墜される予感が胸を衝いた時、再び衝撃が襲った。
同時に発射されたビーム・ライフルを潜り抜け、クルセイダに何かが体当たりをしてきたのだ。ぶつかってきた何かに押し出されるようにして、ぐんぐんとジェヌヴとの距離が開いていく。
「スレイ! おい、無事だよな!」
ロック兄さん——!
クルセイダに体当たりをかけたのは、ロックロックの乗機、ドラケーンだった。
灰色をした機体のところどころには被弾損傷した箇所があり、ラッパを模したパーソナルマークも半分ほどが黒く焼けている。
「これ以上ない、どんぴしゃりのタイミング。嫌な予感がしたもんだから、お前を探しといてよかったぜ。……俺様に感謝しろよ、スレイ」
追ってくる様子はない。あれだけ煮えたぎっていた怒りは鳴りを潜め、安堵が胸に浸り広がっていくのが分かった。しかし、それと同時に感じる自分自身への情けなさ。
「……すいません。結局、俺は誰かに助けられてばかりだ。我が儘を言って、こうやって迷惑をかけてる」
「迷惑ぅ? 誰もそんなふうに思っちゃいねーさ。そりゃ、驚かされたにことに違いないが、お前がそうしたいって決めたんだろ」
「俺は……護る為に戦いたい。あの人の為に、強い俺になりたい」
本心だった。すべてをあの人の為に、クーナの為に捧げても良いとすら思う。だがその一方で、心が感じた小さな動きも無視して、なりふり構わぬような真似をすることは、どこか違うのではないかと思っている。
「なぁ、兄弟。前に話したことがあったろ、戦う理由についてさ。お前は復讐の為だって言ってたけど、あれからだいぶ変わったようだな。いいじゃねか。俺様は、そっちの方が好きだぜ」
レーダーは乱れたまま。色濃く漂う黒霧も相まって、いよいよどこを飛んでいるのか分からない。ロックロックの先導に従い、高度を上げていく。
「あの時教えなかった、俺様が戦う理由な。お前とだいたい一緒なんだよ。俺は、好き合った女の為に戦ってる。お互いに生きて、何度でも愛を確かめられるようにな。
でもよ。個人的に見える理由かもしんねーけど、意外とみんな、そんなもんなんだぜ。そしてその小さな積み重ねがあって、一日一日が続いていくんだ。
我が儘だってなんだっていいじゃねーか。好きなようにやりゃあいい。その積み重ねが、生きているってことで、誰かの道になっていくもんなんだからよ。俺様は、応援するぜ。兄弟」
いいこと言っちまったな、と鼻を鳴らすロックロックに、返事をすることができなかった。涙が盛り上がって、口の端が震えている。何か喋った途端に、声を上げて泣き出してしまいそうで……。
「まぁでも、なかなか難しいと思うぜ。副官殿は色恋沙汰なんぞ、考えたことなさそうだしな。だが、そこに勝機はある。懐に飛び込むことができれば、イチコロよ。接近戦は、お前の十八番だろ?」
あまりにも軽い口調に、思わず笑いがこぼれた。——ロック兄さんには、敵わない。
黒霧をつき抜け、上空に出た。濃い青空が広がるその空間では、数多くのドールズとビーストが入り乱れ、敵も味方もない乱戦を繰り広げていた。
「ようし、こっからは気合入れてくぜ。無事に帰ったら、レドナも巻き込んで作戦会議だな。アイツの煮込み料理は絶品なんだぜ? お前にも喰わして」
あまりにも突然だった。
先行していたドラケーンの背部が火を吹いたかと思うと、瞬く間に装甲が盛り上がり、破裂するようにして機体が爆散する。
——光が閃った。
懐深く広がるはずの青空をいくつもの兵器とビーストが埋めるなか、伸ばせばすぐ手が届く近さで、橙色の花が瞬く。
それは、人の命が終わった瞬間。驚くほどあっけない別れだった。
(……ロック兄さん)
声も出なかった。
崩れたクルセイダの姿勢を無意識に制御しながら、眩く照らす炎をただただ見つめていた。最後に聞こえた言葉だけが、耳の奥で静かに響いている。
やがて爆発が収まり、残った黒煙が気流に乗って薄れていくと、まっさらになった心に怒りが満ち溢れてきた。
理不尽で非情極まりない世界への憤り。護る為に戦うと誓っておきながら、眼前で起きた悲劇に成す術のない自分自身の不甲斐なさ。その両方が、胸の内でおどろおどろしく渦を巻く。
全身の筋肉が強張り、見開いた眼の皮が張る。浅く荒い呼吸が肩を震わせ、はっきりとした憎悪が、今すぐにでも機体を激しく弾かせようとしていた。
身を焦がさんばかりの熱は……しかしすぐに小さく萎んだ。
護る為に戦い、正しいと信じた道を突き抜ける。
目を背けるのではなく、覚悟をして、そう誓ったのではなかったか。ロック兄さんは、その背を押してくれたじゃないか。
何度も歌い聞かされたフレーズが、格納庫にじんと響くギターの音色が、脳裏に色鮮やかに蘇る。
(……誰も笑いはしません。俺が、その光を拾っていきます)
ひとつ大きく息を吐き、ぐいと手の甲でこぼれた涙をぬぐう。
傷つけるのではなく、護り戦うその為に。信じる道を往くために。
俺は、クルセイダを飛ばした。
◆ ◆ ◆
(どこなの、スレイ。どこなの……?)
早鐘を打つかのような焦燥感に駆り立てられ、愛機であるファルコンⅡを飛ばす。
鈍い頭痛は強まり、耳鳴りすらしている。機体操作はなんとか行えているが、争っている連邦軍機と帝国軍機に巻き込まれないように距離を取っているから、捜索は思ったようには進まなかった。
それに加え、視界が利かない。噴き出し続ける黒霧によって空域は支配されつつあり、レーダーなどの電子装備類は頼りにできないでいる。
……もしかして、撃墜されてしまったのか。混沌とした戦場の様相に、嫌な想像が駆り立てられる。
そんなことはない。必死に暗い思いを振り払っても、どうしても後ろ髪を引かれてしまう。
ぴくりと、操縦桿を握る右手が震えた。はっとする間もなく、右側面から連邦のドールズが飛び出してきて、機体が衝突した。
「うわぁ!」若い男性パイロットの声だった。
連邦軍機はろくにこちらを確認することもなく、やたらめったらにライフルを撃ち始める。恐怖に正気を失い、錯乱状態に陥っていることは明らかだった。
「友軍です! 攻撃しないで!」
距離を取りながら、どうか被弾しませんようにと祈る。肩部の先端を弾が掠ったが、射撃はまだ続いていた。
ざわ、と胸の内が波打った。左腕部に装備された重マシンガンの標準が、自然と連邦軍機に定まっていく。
(……だめっ!)
遅かった。抑えきれない感情のまま、トリガーを引いた。
低く唸る射撃音と、モニターに奔る閃光。連邦軍機はあっという間に装甲が剥がれ、内部フレームを砕かれて沈黙し、落下していく。
唖然としたまま見送り、自分のしでかした事実に手が震えた。
一見すれば、味方部隊を脅かす危険存在となった友軍を、部隊保全の為に制圧したように判断されるだろう。任務を遂行する為に、必要な措置だったと。
だけど私はいま、敵意を抱いて撃った。その自責が震えとなって現れ、変わっていく自分にどうしようもない恐怖を感じた。
——スレイ。
自然と湧きあがった思いに「身勝手な女」と冷ややかな声がかけられる。その声は、聞きなれた自分自身のものだった。
冷えた指先で操縦桿を握りなおし、機体を上空へと飛ばした。黒霧のなかに囲まれていると、今以上にどうにかなってしまいそうで。
逃げるように踊り出た黒霧の上空、ダークブルーの空にクルセイダはいた。撃ち合うドールズの合間を縫うようにしてビーストと対峙し、一匹、また一匹と屠っていく。
黒霧から脱したからだろうか、少し離れていても無線の声は聞こえていた。
その声は、泣きじゃくる子供のように悲壮なものだった。
「やめてくださいっ! おかしいですよ、俺たちが戦うなんて! 戦う相手は、ビーストだけでいいんです!」
「スレイ!」
接近するこちらに気がついたのか、機体動作は止めないまま、クルセイダの双眸が見つめる。
「……クーナさん。良かった。無事だった……」
「貴方こそ、よく無事でいてくれたわ……良かった。さぁ、長居は無用よ。早くこの場を退避しましょう。レイルズ艦長から、貴方を保護するよう命令があったの」
命じられたのは回収だったが、かまうまい。艦長は、無事に連れ帰れと言ったのだ。
「……クーナさん。ロック兄さんが、死にました」
予想もしていなかった言葉に、返答に詰まった。
「それに、ルルさんも。ルルさんを襲ったのは、帝国の機体です。赤黒い色をしたアーキタイプ。……ルルさんは、これは罠なんかじゃない。皇帝陛下の策略ではないと言いました。エレオラさんの、反逆だと」
「……証明できるものはあるの?」
「クルセイダのガンカメラを確認してくれれば、すぐにでも分かるはずです。俺は、それを見ていたんですから……」
その後の言葉をぐっと飲み込んだ様子のスレイに、分かりましたと伝える。
「では、やはり一刻も早く退避するべきです。もうこれ以上できることはない。こんな状況では、いつ撃墜されるかも分からない。ロックロックのことだって、みんなに伝えないと……」
わかりますね、と念を押す。スレイはなんとしても混乱状態にある戦場を鎮め、味方同士の争いを止めたいのだ。
その想いが、尊いものであることは違いない。だが、既に個人がどうこうして沈静化できる状態ではなくなっているのだ。
一度抱いてしまった疑念は、蓄積された不満と恨みの留め具を簡単に吹き飛ばし、消しようのない業火となって燃えさかっている……。スレイも、分かっているはずだ。
「……了解です」
ぽつりと小さくつぶやくと、一機の連邦軍ドールズがクルセイダにライフル射撃を浴びせた。互いにパッと距離を取り、射線を辿る。
「共和国軍機が敵機と何をしている!? 帝国は、我々を罠に陥れたのだぞ!」
もう一機が、挟み込むようにしてクルセイダへの攻撃位置に着いた。さっと血の気が引く。クルセイダは識別信号では、帝国軍所属機となっている。スレイは、敵と判断されているのだ。
「落ち着いて! 彼は敵じゃない!」
「なにを言ってる!? 帝国軍機だろうが」
「私は、共和国軍ソング・バード隊所属のクーナ・キサラギ少尉。そのドールズは、元々共和国に所属する機体です。故あって帝国軍の指揮下にあったのですが、現在は既に返還されることが決定しています。彼は、味方なんです!」
「……信じられないね」
「本当です! 信じてください!」
そこへ、もう一機別の機体が現れた。その連邦軍機は迷うことなく、ファルコンⅡに向けて攻撃を仕掛けてきた。
「騙されるな! 俺は見たぞ。その青いドールズが、パープル7を撃墜したんだ。コイツは帝国と通じてる敵だ。共和国も、帝国とグルになってんだ!」
(パープル7……さっきの、錯乱したドールズのこと?)
「違います! あれは、彼が先に私を撃ったんです。話を聞いてください!」
「黙れっ! お前たちの話など信じられるか! アイツはまだ二十歳にもなってなかったんだ。帝国が攻めて来なけりゃ、前線なんぞに飛ばされることもなかったんだぞ!」
続くライフル射撃を回避しながら、スレイの方向を見る。彼もまた、二機編成の攻撃をなんとか持ち堪えているが、いつ被弾してもおかしくない。
(ここで撃たなくちゃ、スレイが危ない)
攻撃姿勢を敏感に察したのか、スレイが割り込むような軌道を取り、連邦軍機との間をすり抜けた。
「クーナさん、撃っちゃだめだ! ここは逃げましょう。あっちだって、残弾は少ないはずだ!」
「そうかもしれない。けど確証もありません。その前に撃墜されたら、元も子もない」
標準システムを呼び出し、回避運動を取りながら狙いを定める。
クルセイダは二機のうち一機のライフルを腕部ごと切断し、僚機の方へと蹴り出した。その後すかさずこちらへ向かってくる。
連邦軍機のライフル射撃が止むと同時に、標準がぴたりと重なった。相手は、弾切れのようだった。
「クーナさんっ!」
右横から滑り込むようにクルセイダが割って入る。大きく腕部を開かせ、庇うように滞空する。
激しい頭痛と、耳鳴りが襲った。そのクルセイダを通して見えるスレイの姿に、キサラギ研の前所長の姿がチラついて見えた。彼に銃を向ける、ミドリ所長の姿も……。
「愛しい私の娘」
「私の生涯をかけた傑作。私を証明する、叡智の結晶」
「星を救う可能性。星の申し子よ」
しわがれた声に、眼前の私ではなく、どこか遠くを見つめる眼差し。
白衣を通した両手を大きく広げた様は、ミドリ所長の向ける銃口を受け入れているようだった。
———貴方が生み出したのは、バケモノです。
一発の銃声と、揺れる瞳。冷たい磨き石の床に広がる、赤い血……。
過去と現在が混ざり合う、蕩けるような意識のなかで、私は忘れていたはずの自分の過去を思い起こしていた。
俯瞰した視点は、狂ったように歯を鳴らし、身体をさすっている自分自身を捉える。
そして、私によって撃たれ、黒霧へと墜落していくクルセイダの姿を眺めていた。




