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今日も異世界ライフを満喫中  作者: ツヴァイ
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 ふと目を覚まし、何度か瞬きしながら『此処は何処だっけ?』『今、何してたっけ?』『お腹減ったな』『起きる?』と取り留めも無い事を思い浮かべ、直後に昨日の事を鮮やかに思い出し、勢い良く起き上がった。


「おはよう…じゃないですね。おそようございます、ユーリ」


「え?あ、おは?おそよう?」


 ユーリのベッドの縁に腰掛け、此方へと振り返るアンリ。高く登った太陽に照らされキラキラと輝く銀色の髪。優しくユーリを見詰める紫色の瞳の麗しい青年がいた。

 こんな綺麗な人が自分の婚約者で良いのかな?と、思い首を傾げるとアンリは一瞬目を見開いて嬉しそうに笑った。


「私の妻はとても可愛らしいですね」


「え?婚約者でしょ?いつから妻に?」


「婚約者と言うことは、いずれ結婚するんですよ?今から妻と読んでも差し支えないでしょう?」


「ん?んん、無い?のか?いや、あるよ!」


 ユーリのツッコミを楽しそうに笑うと立ち上り、ベッドの上にいたユーリをひょいっと抱き上げて床へと下ろすと正面から抱き締めると腰に腕を絡め、空いた手でユーリの頭を撫でる。自分とは違う体温の暖かさに心地よくなり、瞳を閉じた。


「今日も一日健やかで」


「?うん」


 アンリはユーリの寝乱れた前髪を上げると額に柔らかくキスを落とす。驚いて閉じていた目蓋を持ち上げると間近にアンリの顔があった。銀の睫毛は長く上を向いている。アーモンド型の目の縁を銀色が縁取り、、真ん中の紫色の瞳は宝石のように吸い込まれてしまいそうになる程、澄みきっている。美しく整った柳眉に薄く色付く唇は吸い付きたくなる程に艶かしく、これだけ近付いても毛穴の一つも見付けられないキメ細やか肌は真っ白だ。非の打ち所がない美貌はまさに神が創りたもうた芸術品に他ならなかった。


「ユーリは私の事は怖くありませんか?」


 アンリの美貌に見惚れていたユーリはアンリの形の良い唇が動くのを見て、我に返った。


「え?怖くないよ?」


「私も男ですよ」


「うん、でもなんでだろ?怖くないし、むしろ安心する」


 アンリの暖かく優しい腕に抱かれ、今も、しなやかな筋肉に覆われた体に密着しているが、不思議と恐怖感や不快感は無い。


「きっとユーリが私と二つで一つだからですね」


 甘く囁くテノールが耳から侵入し、脳を刺激し、ゾクゾクっとした高揚感が体に広がる。


「どういうこと?」


「番とも言われますが、私とユーリの魂が引かれ合っているんです。魂の半分とも言いますね」


「そうなの?」


「運命の相手である私だからユーリは安心して身を委ねられるのではないでしょうか。他の男性が今みたいにしたら…」


「無理。想像だけで拒否感が凄い。なんか吐きそう」


「すみません」


 アンリの手が頭を撫でつつ、自分の体の方へと持っていく。完全に密着したユーリは恥ずかしそうに押し返すが、びくともしないのを悟り、抵抗を諦めた。


「では少し遅い朝食にしましょう。ガンツとナンシーが待っていますよ」


「うん、着替えたら直ぐ行くね」


 アンリの言葉に素直に頷くと優しく拘束されていた腕が外れた。それを寂しく、心に穴が開いたような喪失感がユーリの心を襲う。ブルッと身震いすると着替える為にクローゼットを開けた。


「今日も白黒ですか?たまには色味のあるのを身に付けてみて下さい」


「似合わないから」


「そんな事無いですよ。昨日の薄桃色のドレスはとても似合っていました」


「そ…なんで、いるの?」


 出ていったと思ったアンリが不思議そうに小首を傾げてユーリの背後に立っていた。


「婚約者ですからね。ユーリの身に危険がないか心配なんです」


「無いから、出てってくれないと着替えられないでしょ」


「いずれ全てを見るのに?」


「アンリ!?」


 顔を真っ赤にさせるユーリが可愛くてアンリの胸がきゅんっと鳴る。ユーリの反応が可愛くて堪らなくて、また抱き締めたいという欲求に襲われるが、強行してユーリに嫌われたくないので耐えた。


「はいはい、では私はリビングでガンツとナンシーと一緒に待っていますね」


 ニコニコしながら扉から出ていったアンリ。バタンと扉が閉まると顔を未だに真っ赤にさせたユーリがその場にへたりこむ。


「うう、身の危険が…」


 子供のアンリでも好き好きアピールがあったが、大人になったアンリからはダイレクトだ。これまで見知らぬ異性や知人から向けられてきた好意は受け入れがたかったが、アンリの素直に示す愛情がなんとも幸せな気持ちにさせてくれる。このままぐずぐずになってアンリと溶け合ってしまえたら良いのにと思ったりもした。

 ただ、それではいけないだろうとなんとか、その欲求を弾く。ただ、このままアンリからの甘い攻撃が続くと近い将来、ユーリはアンリ無しでは生きられないようになるかもしれないと懸念した。

 名実ともに妻となった自分の未来はどんなだろうと考えを巡らせた。








 


読んでいただきありがとうございます。

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