鳥の話。
鳥の話。
ある日コンビニのガラスに、何かがぶつかってきました。物凄い音でした。
気になって外に出ると、丸々とした雀が座っていました。デフォルメされた人形のような可愛らしさです。
雀は人が座るように腰をおろして、嘴をあけ、虚ろな眼差しをしていました。そして、ゆるりと体が揺れていました。明らかに目をまわしています。恐らく脳震盪だろうなと思いました。
うわ、可哀想に。……でもどうしたらよいのだろう?こんなに無防備なまま放置したら……!
想像力とは恐ろしいもの。最悪の状況が色々浮かびました。
買い物に来た人が気付かず蹴ってしまうとか。
敵に襲われるとか。
どちらにしても私がどうにかしなくては。このままフラフラしてるようなら病院に、と覚悟を決め、ハンカチを広げ持ち上げようと手を伸ばしました。
パタパタと羽ばたく音がしたかと思うと、一羽の雀が、脳震盪の雀の近くにやって来ました。鳴くわけでなく、仲間を気にかけつつ、私を見つめてきました。私は思わず一歩後ろに下がりました。
おい人間、近付くな。
と、言われた気がしました。こんな、可愛らしい小鳥に威圧されるとかどうなのよ、と少々複雑な気持ちになりましたが、雀からしたら私こそ敵でしょう。
暫くして脳震盪をおこした雀が意識を取り戻したらしく、慌てたようにパッと立ち上がると近くにあったトラックの荷台に飛び乗りました。そして、トラックとともに、何処かへと旅立ちました。因みにもう一羽も共について行きました。
……パニックになってるな、というのが見てとれました。私も呆気ない終わりに、そっと広げたハンカチを何事も無かったかのようにしまいました。
何にしても、もう私にはどうすることも出来ないのですから。




