菊のおひたしの話。
菊のおひたしの話。
ある日テレビを見ていたら、海外の旅行番組で花を使ったデザートが紹介されていました。
花を食べるのか。凄いなと思いましたが、はた、と我に返りました。食べてるじゃないの毎年、と。
黄色い菊はもとより、『もって菊』あるいは『もってのほか』という名の、赤紫色をした綺麗な食用菊を食べていました。他にも別名があるそうですが、この菊を我が家では毎年植えています。
『皇室の御紋にもなっている花を食べるなんて以ての他だよね』
というのが名前の由来らしいです。
菊の御紋はきっと大輪の見事な黄色の菊でしょう。それこそ観賞するに値する素晴らしい花をこそ、御紋にしたのだろうと想像します。
間違っても食用菊ではない筈。
でも『菊』ではあるしなぁ、と由来を思い出す度に、昔の人は色々葛藤があったのだろうと想像してしまうのです。
まして雪深い地方に於いて、晩秋に手に入る新鮮な食材を食べないという選択肢はないと考えます。
故に、
『思うところは多々あるけど、取り敢えず食べようか』
と、そうして今に至るのではないかと思ったりするのです。
結局食べるのかよ、という突っ込みはさておいて。由来ができたのはおそらく明治の頃ではなかろうかと、私は勝手に推測しています。菊自体はそれこそ古の昔から彼方此方で食べられてきたようですし。
言い訳は多々あれど結局食材は食材。何の問題があるでしょうか。……これを開き直りというのでしょうね。
実際食卓に並べば美しく映えるのです。美味しいかは脇に置いておくとしても。好き嫌いがはっきりするなぁ、これはと毎回思うのですよ。
ちなみに食べるのは花びらだけです。
沸かしたお湯にお酢を少し入れ、花びらをさっと茹でます。ざるにとり、水にさらします。ざるにあげて水気をきります。
実のところ、私はこの菊の味が苦手でありました。菊特有の苦味があるのです。酢の物などもありますが好みではありません。
ですが嫁ぎ先では、この菊のおひたしにニンニクのすりおろしを添え、醤油をかけて食べるのでした。
食べてみますと中々に美味でした。なぜかそれ以来ニンニク無しのおひたしも美味しく感じるようになりました。
……歳をとった、ということなのでしょうか。まあ何はともあれ、この菊のおひたしは好物の一つになったのです。
秋に何処かでこの菊を見つけたら、一度食べてみてはいかがでしょうか。好き嫌いはあるかもですが、とある地方の特産品でもあります。と、宣伝してみたり。




