味噌汁の話。
味噌汁の話。
冬のある夜。
「あー。あれ頼む」
体が丈夫な祖父が、ちょっと具合が悪い時に母に作って貰うもの。
それは味噌汁です。
味噌を少しと、ニンニクと生姜のすりおろし、葱を細かく切ったものをお椀にいれます。和風だしの素も少し入れ、お湯を注ぎます。混ぜて出来上がりです。
お椀一杯分の味噌汁ですので、あまり味噌と和風だしの素を入れすぎてはしょっぱくなってしまいます。その辺の加減は必要です。
寒さ厳しい冬にこれを飲むと、体がカッカと暖かくなります。母がそれを作ると匂いにひかれて、
「あっ私も飲む」
「僕も!」
と台所にわらわらと家族が集まります。祖父はそれを飲むとさっさと布団に入るのでした。
私たちもニンニクと生姜、葱の香りがするお味噌汁を飲んで体を中から温めるのです。
寒がりな旦那様の為に、このお味噌汁を作ることにしました。
小さい密封容器に、五杯分の味噌汁のもとを作ります。混ぜておけば、いつでも出せるだろうと考えました。
試しに少しだけ味見をします。懐かしいあの味です。
……ふと何かに似ているが、それが何か分からないなと思いました。
旦那様に飲んで貰うと、
「普通に旨い」
との評価でした。
「そっか、良かった。これを飲むと体が暖かくなるからね。寒い日にはちょうどいいんだよ」
「でも何かに似てるな。何だろう?」
と言われたのです。その時、あっ!あれだと思い出したのです。
味噌ラーメンの味に近かったのです。流石に味噌ラーメンのスープには及びもつきません。が、この味噌汁に何らかのものを足せば、味噌ラーメンのスープそのものであると思ったのです。
味噌ラーメンの奥深さが垣間見えた瞬間でした。




