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誉めてくれないかな、の話。

 誉めてくれないかな、の話。


「美味しいよ」

 というのは主婦にとって最高の誉め言葉ではないでしょうか。旦那様がそう言ってくれるだけで、幸せになれそうな気がします。

 心がこもっていれば直のこと良く、その日を気持ち良く終えることができるのではないでしょうか。

 ましてや喧嘩して怒っていても許してしまいそうな程に。

 その一言は偉大であると思うのです。


 しかし我が旦那様は滅多に言ってはくれません。『いただきます』『ごちそうさま』はいつも言ってくれるものの、『美味しい』の一言を聞くことは殆どありません。

 こうなると私が作る料理は、あまり口にあわないのでは無いかと思ってしまうのです。ならばどこら辺が駄目なのか知りたくなるのが人情というもの。

 考えてみれば、市販の菓子や私が作った菓子の時はその言葉を聞くなぁと思ったのでした。


 新婚当初、

「美味しくなかったかな?」

 と意を決して聞きました。

「普通」

 ……。それはどういう意味でしょうか。可もなく不可でもない。が妥当でしょうか。普通というのが何を指すのか。

「不味かったらちゃんと美味しくないと言うよ、僕はね。だから『あえて美味しいとは言わない』のだよ」


 ……。天の邪鬼さんが現れた!

 じゃない、そうじゃないのだ旦那様!ただ、『美味しかったよ』とさらりと言って欲しいだけなんだ、私は!

 私の心の叫びを、言葉にしました。

「言ってくれたら嬉しいな」

 と。しかし考えを変えるつもりがない旦那様は頑固でした。

 私のちょっぴり不機嫌オーラを感じたらしい旦那様は、その後いろいろ語りました。

 要約するとこういうことでした。

『言葉の重みが無くなるから言わないだけで、普通に美味しいとは思っているんだよ』


 ……あれから数年たちますが、相も変わらず旦那様は滅多に言ってはくれません。

 最近は、表情から満足度を察することが出来るようになりました。多分これはお義母さんと私だけが、何となく気付く程度のささやかなものでしょう。

 いつまでも私の料理は『普通』のままなのか、と時々考えるのです。でも『普通に美味しい』ならいいよね、とも思うのでした。


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