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クリスマスケーキの話。

 クリスマスケーキの話。


 今年もこの時期が来た、と私は思いました。我が家の周囲には大小様々ではありますが、菓子屋が多いのです。となると何処のケーキを買うかで迷います。

 彼処のは一昨年食べた。あっちは去年。じゃあ今年は?

 しかしこのケーキを選ぶ権利を有するのは私ではありません。


 そう。旦那様であります。


 私はあまり拘りがありません。美味しければ何処のだって構わない私は、食べ物関連で喧嘩するのが嫌いです。

 ご飯にせよ、お菓子にしても仲良く美味しいねと笑いあえるのが一番良いと考えます。

 長女だからでしょうか。まず選ぶ権利は弟たちに譲り、自分が大好きなお菓子等も独占せず分けるのが当たり前です。どうやら私は誰かと食べ物を分かち合い、幸せを共有するのが好きらしいのです。

 それは結婚した後も変わりませんでした。選ぶ権利は弟たちから旦那様に代わっただけです。

 勿論旦那様が面倒であれば、私が好きに選びます。

 しかし旦那様はクリスマスケーキに関しては、面倒などとは思わないようです。選べるのであれば私にそれを任せることはしません。よって最終的に権利は旦那様のものなのです。


 さて、選ぶにあたり一つだけ条件がありました。これは二人ともに共通の見解でした。


『十五センチ以下のケーキは論外だ』ということ。


 クリスマスケーキという特別な菓子だというのに、何故小さなケーキを買わなくてはならないのか、と。数ある商品の中で食べてみたいと思ったケーキは大概小さいのです。

「クリスマスケーキが小さいのは駄目だ。大きくなければクリスマスケーキではない」

 旦那様は言い切りました。私も同じ意見です。夢と希望は大きなケーキにこそ詰まっているのです。


 最近は大きなケーキの需要が減っているのだろうと推測します。食べきれるサイズが十五センチ以下なのでしょう。仕方のない現実なのかもしれません。


 しかしながら十二センチのホールケーキなど一人で食べてしまえるのです。ましてやそれを切り分ければ間違いなく、普段買うショートケーキより小さい筈。嬉しさより悲しみが増し、怒り狂うのが目に見えます。

 何故クリスマスに絶望せねばならぬのか。そんな未来は御免なのです。


 そうして悩みに悩んだ結果。今年も拘りの大きいクリスマスケーキが選ばれ、ささやかな幸せを享受するのです。


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