ユーリンチー?の話。
ユーリンチー?の話。
「これ作れない?」
そう言って、旦那様はパソコンの画面を指さしました。
とある方が投稿された豪快な料理動画でした。その方は大きい肉の塊に味付けし、片栗粉をまぶして油で揚げ、切り、タレをジュワっとかけていました。
作れるかと言われれば作れると断言できます。ですがこの動画の料理は、明らかに独り暮らしの方限定の、自分に対する御褒美料理だなと思ったのです。つまり、採算度外視の料理だと。
「?ユーリンチーっていうの、これ。美味しそうね」
私は即答を避けました。よくよく考えてみると、とんでもないと言いたくなるような豪快さでした。財布を預かる身として、あっさりとは決断できません。
主婦目線で見、思わず金額を計算してしまいました。そして一人が口に出来る量に考えが及んだ時、旦那様は今見た豪快な肉を食べたいのだろうかと思ったのです。
「同じものは作れないよ。唐揚げくらいの大きさを揚げるなら、なんとか出来るけど」
「いいよ、食べられるならそれで」
その言葉で豪快さは薄れ、一気に庶民的になりました。
しかし問題はそれだけではありません。
私は『これがユーリンチー』だという料理を食したことはありません。つまり未知の料理でした。
作り方は今見た訳です。味も大体予想はつきます。やり方は理解しましたし、後は本などでレシピを探し出せば作れる筈です。
そうして私は決断を下しました。
「じゃあ、旦那様が休みの日に作るよ」
私の言葉に旦那様はにっこりと微笑みました。
たまにはこういう未知な料理を作るのも面白いですね。美味しいならなおのこと良いです。
おまけ。
ちゃんと作り、旦那様が満足そうに食べ終わった後、彼は言いました。
「ほら、うまく出来たじゃないか。嫁さんが作れるだろうと思ってたから、あの動画を見せたんだよ」
信頼が重いです。




