最強?の話。
最強?の話。
年をとって筋肉が衰え、足腰が弱くなろうとも、我が家の最強は祖父です。
鋭い眼力、無口といってよい程多くを語らない祖父。
男には(何故か)厳しいが、女には優しい。私はそんな祖父が大好きです。
祖父は腕相撲が強い人でした。
幼い頃から弟は祖父に挑み続けるものの、いつも負けていました。父も祖父には勝てないと勝負はあまりしませんでした。
子供相手だろうと手を抜かないのが祖父でした。勝負は勝負。男と男の戦いである以上、負ける訳にはいかなかったのかもしれません。今にして思えばちょっと大人げない行為ですね。
勝つ度祖父は、にやりと不敵な笑みを浮かべていました。それが悔しくて弟は体を鍛えては、祖父に挑み、負けるを繰り返すのでした。
もうすぐ九十才を目前にしたある日、弟は勝負を挑みました。年寄りだからとかは関係ありません。負け続けてきた弟にとって、いつかは倒さねばならない大いなる壁、それが祖父なのです。
「いざ、勝負!」
闘志を燃やす弟とガシッと組み合った祖父は、
「……やっぱり衰えたなぁ」
としみじみと呟きました。
「……力が強い。衰えたってどこがだよ、じいちゃん」
弟はガックリ頭を下げました。
気を取り直して勝負を始めたのですが、やはり祖父が勝って終わりました。にやり。
「……マジか。流石にそろそろ勝てるんじゃないかと思ったのに。だってさぁ、もうすぐ九十才だぜ?おかしいだろ?じいちゃん強すぎだろう」
弟は落ち込みました。あまりのがっかり具合に可哀想になってきました。……かける言葉もありません。
やはり祖父は最強なのだなぁと再確認した日でした。




