正夢?の話。
正夢?の話。
正夢を見たことがありますか?
漠然としたものではなく、これから起こることを夢で体験するとか。私は一度だけほんの少しだとしても、あ、これ夢に見たわ。そのままだと実感したことがあるのです。
夢の中で私は車を運転していました。家の近くの交差点に、二台のトラックが並んでいました。
ただ、それだけ。
だというのに、そのトラックを見ているだけで異様な程の恐怖心が芽生えました。
これ以上は危険だと何故か考え、私は目覚めました。
冷や汗が流れました。私はお守りの指輪を嵌め、深呼吸すると出勤の準備に取り掛かりました。
いつものように車に乗り込み、夢で見た交差点に向かいます。何故か。それは通勤する時必ず通る場所だからです。
それに夢は夢。トラック二台並んでるだけで何故か恐怖を感じるとか、よくわからないものに振り回されるのも馬鹿馬鹿しいよね。とも思いました。
……夢で見たトラックが二台、赤信号で止まっていました。
偶然にしては出来すぎています。
マジか。正夢とかいうやつか。嫌な予感がするなと思いました。
会社への道すがら、トラックは何故か私と進行方向が一緒で、常に前を走るのでした。
越していく勇気も無く、ましてや別の道を行くには時間の余裕も無いのです。
やがてトラックは、工事現場の入り口から少し離れた場所で止まりました。
私は追い越す為に車を少し道路の真ん中の白線に寄せ、一時停車し、右のウインカーをつけました。対向車は来ませんでしたから、私はアクセルをゆっくり踏もうとしました。
ピッピッ。
突如トラックがバックしてきました。
「は?嘘でしょ?えーマジかー?」
私は呆然としました。予期せぬ状況に体が硬直しました。
エンジン部分がゆっくりバキバキと音をたてて潰れ、ガラスにひびが入り、足がフロントと座席に挟まれていくという恐怖を味わいました。私の車はゆっくり押されるまま後退しています。
何度クラクションを鳴らしても気が付いてはくれません。私は途方にくれました。
夢の嫌な予感はこれか、と半ば現実逃避しつつ思いました。
「何してるっ!止まれ!止まれって!」
工事現場のおじさんが叫び、トラックに走り寄りました。
あと少しで完全に足が挟まる前にトラックは止まりました。おじさんは顔を青ざめつつ、私のもとに近づき、
「無事か?」
と言いながらドアを開けてくれました。私は震える手でシートベルトを外し、外に出ました。
「ぶ、無事?です?」
取り敢えず怪我はありません。心臓がバクバクと煩いし、体が震えています。立っていられなくて、その場にしゃがみこみました。動けませんでした。
結局会社には事故にあって行けないと連絡しました。驚かれました。
いろいろ手続きを済ませ、保険会社に連絡して後のことを託し、母に迎えに来てもらい家に帰りました。
新車がたった二週間で破壊され、私の精神的ダメージはかなりのものでした。そんな私に、
「怪我が無くて良かった」
母はホッとしたらしく、ただそう言いました。




