危険な話。
危険な話。
確か四才か五才頃。
我が家から一分もかからない所に公園があります。ブランコ、鉄棒、滑り台に砂場。ご年配の方々がゲートボールをするくらいには広い場所です。
私は一人で遊んでいました。
人っ子一人いませんでした。
どこにでもあるような普通の滑り台に登り、落ちないように取り付けられた柵の中から周りを見渡します。見晴らしがいいのです。満足すると腰をおろし滑り降ります。
もう一回だと滑り台に登ります。
景色をを見ていたら、三才位の子供が滑り台の階段を登って来ました。この子も一人で、大人の姿は見当たりません。私は場所を譲ろうと思い、滑り降りようと腰をおろしました。
と、いきなりその子は私を右横にグイッと強く押し退けようとしてきました。狭い場所、そして突然過ぎて対処出来ませんでした。
やけにゆっくりと地面が近づいてくるな、と思いました。
……私は約二メートルの高さから突き落とされたのです。
頭をかばうことも出来ないまま、顎を地面に強打しました。うつ伏せのまま動けなくて、そのまま暫く立ち上がれません。
滑り台をズルズルと滑る音がし、目の前を先程の子供が走って行きました。何も言わず、逃げるように公園を出て行きました。
あの子が、突き落としたのか。あんな小さい子が。
私は声が出ませんでした。あまりのことに呆然としていました。心臓が早鐘を打っています。
いろいろなことを思いましたが、いつまでもこうしてはいられません。
立ち上がり顎を押さえてフラフラと家に帰りました。母の顔を見て、事情を話すと涙が止まりませんでした。
怪我は顎の擦り傷だけでした。それですみました。
今でもあの時走って行った子の後ろ姿が忘れられません。




