京都にて、の話。4
京都にて、の話。4
「あーそれ、ウイルス性か、急性胃腸炎だね。胃が痛いんじゃなくて、腸が痛いんだよ」
お腹をぐいぐい押し、「ここ痛いでしょ」とお医者様は仰います。
昨日、宿に帰ってから最悪でした。ふらふらする。吐き気がする。熱がでる。他にもいろいろ。そしてお腹がチクチク痛むのです。
びっくりしたのは用意してもらったお粥が全く喉を通らないのです。料理人さんに申し訳なく思いながら、旦那様にそれを返してもらいました。
朝、昨日休みだった内科医院に行きました。自分の症状をすべて語り終えると、お医者様は私の病名を教えてくれました。
「具合が悪くなる前、何か生のものを食べた?それならウイルス性胃腸炎の可能性があるよ」
生のものは食べた記憶はありません。予め旅行会社を通じて、刺身などの生のものは食べられないと宿には伝えてありましたから。
何故全くお腹が空かないのかという疑問も解決してくれました。
「胃腸炎になると何も食べられなくなるんだ。だけど水分はとらなくてはいけない。脱水症状になって、熱がでる。でも、熱があがるのは1日目だけだから。
水もたくさん摂取すると吐いちゃうしね。一番いいのはスポーツドリンクとかかな。少しずつ摂取しないと体が受け付けないよ」
私はいつもお腹の具合が悪い時は水分をとるようにしています。嵐山にいた時もこまめに水分はとっていたのです。途中からはスポーツドリンクを飲んでいましたし。
それがよかったようで、ペットボトル二本程昨日飲んだと言ったら、点滴はしなくてもいいかな、とお医者様は仰いました。
「水分はまめにとりなさい。薬は必ず三日分飲むように。あと、油っぽいものは控えなさい」
と念押しされました。
宿に戻ると旦那様に病名を話しました。そして私は寝ているから、観光してきてと送り出しました。明日は帰る日です。京都にいるのに私に付き合って1日を潰すのは勿体ないのです。
……具合が悪くなったのが私でよかったな、と一人、部屋で休みながら思いました。旦那様がこんな目にあったらと思うと冷や汗が流れます。そう、私でよかったのです。
数時間おきに心配して電話をくれた旦那様は、夕方頃に帰ってきました。私が行ってみたかったパン屋さんのパンや、私の為に飲み物を買ってきてくれたのです。優しいのです。
その日の夕食には、昨日と同じくお粥を持ってきてもらいました。薬が効いたのでしょうね。お粥を時間はかけたけど全部食べました。梅干しとたくあんがいいアクセントになっていました。なんて美味しいのでしょうか。ああ、なんて優しい味でしょう。泣きたくなりました。
大変な目にあいましたが、とても楽しい旅行でした。行きたい所には行けたのですから。私はとても満足したのです。
旦那様は言いました。
「嫁さんが具合悪くなったからって訳じゃないよ。やっぱり遠出するのなら二泊三日か三泊四日がいいのだろうね。……いや、俺もなんか疲れたし。無難な日程ってやっぱりあるものだよ」
旦那様が疲れたのは、間違いなく京都を彼方此方と歩いたからです。適度にタクシーを使ったとはいえ、歩いたほうがいろいろ知ることができるからといつも言うけれども。限度ってありますよね。
それとやっぱり私が体調をくずしたからですね。心配かけてごめんなさい。と私は思ったのでした。
京都にて、の話。終わり。




