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おにぎりの話。

 おにぎりの話。


 おにぎりは面白いと思うのです。

 作る人によってかなり個性がでます。形や具材、塩の付け方も様々ありますし。

 いつも自分が握ったものより、他人が握ったおにぎりの方が美味しいと私は思います。ちょっと悲しいですが仕方ありません。


 私の中で一番美味しいおにぎりは祖母のおにぎりです。

 母方の祖母の家には休みの日はよく遊びに行っていました。しかし祖母は忙しい人でした。朝早く仕事に出掛け、帰ってきたら畑仕事とかすることが多いのです。


 ですがちょっとした休憩時間等に

「お腹空いてない?」

 と私に聞くのです。少し、と言うと祖母はいつもおにぎりを作ってくれました。

 しかもかなり大きいのを。それにともない中の具材もたっぷりでした。絶妙な塩加減がまた良くて本当に美味しかったのです。



 旦那様の仕事が忙しく、残業前に食べるからとおにぎりを所望されました。

 普通サイズのを一つ作って持たせたら、

「物足りないから、二個はいらないがもう少し大きいのにしてくれ」

 と言われました。帰宅してから晩御飯も食べるのです。食べすぎではなかろうかと思いはしたものの、腹が減っては戦は出来ません。そして、一生懸命働いてくれる旦那様の頼みを無下にもしたくありません。

 普通サイズとはいえ、ご飯茶碗一杯分はあったのです。仕方ないので更に多めにご飯を足しました。明らかに手に余ります。なんとか握りました。

 しかし時間がたつと海苔の隙間から割れていくのでした。私は慌ててラップにくるみ、見なかったことにしました。食べてしまえば同じさ、なんて言い訳を心の中で呟いて。


 握りながら祖母のおにぎりを思い出したのです。祖母の手より大きくて、でも崩れることもないあのおにぎりを。

 祖母にどうしたら大きいおにぎりが割れること無く作れるのか、と聞きました。

 祖母は首を傾け、困ったように言います。

「……どう、と言われてもねえ。普通に作るとしか……ねえ?」


 普通って実は一番難しいのではないだろうか、と私は思ったのです。

 おにぎり。されどおにぎり。とっても奥が深いのです。


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