うどんの話。2
うどんの話。2
あれは小学校高学年の頃。たまたまその日は家に私と祖父しかいませんでした。
昼食は私が作らねばと意気込みました。作れるのは私だけですし、出来るだけ頑張ろうと。
「何がいいかな」
と私は呟きました。
「……うどんだな」
と祖父は即答しました。
……うどん!!?
私は躊躇いました。お汁はどうやって作るのだろう、と。
私がかなり困っているのに気がついたのでしょう。祖父は黙って台所に向かいます。私も慌ててついて行きました。
「……肉はあるか?薄揚げと、葱、椎茸。うどんは?」
祖父は鍋に水を入れ、火にかけました。祖父に椎茸を渡すと切って鍋に入れました。
私は混乱しながら冷蔵庫から肉と薄揚げ、茹でられている玉うどんを二袋取りだし、葱を探しだしました。
祖父は私に食材を切るように言いました。
私は肉や薄揚げを切ります。言われたまま、ただひたすら一生懸命切りました。
最後に葱を切り終え祖父を見ます。
祖父は着々とうどんのお汁を作っていました。葱を鍋に入れ、最後に玉うどんを入れて少し煮ました。
二人で祖父が作ったうどんを食べました。美味しかったのです。とっても。
私はほとんど何もしなかった訳です。私の意気込みは空回りしましたが、祖父が作ってくれたことが嬉しかったのも事実です。
その夜。夕飯を作る母に私は、
「じいちゃんが作ってくれたんだよ。美味しかったー」
と話しました。良かったねと母は微笑みました。
私は今まで祖父が料理をしているのを見たことはありませんでした。母がいつも料理を作っていましたから、まさか祖父が料理を作れるとは思いもよらなかったのです。
「お母さん、私ね。じいちゃんが料理出来るなんて思わなかったから驚いちゃったよ。すごいね、うちのじいちゃんは」
「じいちゃんは料理出来るけど、私が来てからは作らなくなったからね」
と母は言いました。
考えてみれば魚を捌けるのです。そんな人が料理出来ない筈は無いのです。
私が頑張って作らないとじいちゃんが食べられないなんて、意気込まなくても大丈夫だった訳です。
それから時々、また祖父の手料理が食べられたらいいなと思うようになったのは内緒なのです。




