お子様ランチの話。
お子様ランチの話。
私がまだ幼い頃なのであまり記憶が定かではないのですが、その日はたまたま母が家にいませんでした。
私は母がいないからと泣き叫ぶことはしませんでした。なぜいないのかを、きちんと父が話しをしたからです。
弟と遊んでいると、仕事から帰ったばかりの父が台所で夕食を作っていました。
暫くして父が皿を2つ持って現れました。
「ご飯だ」
父はニヤッと笑いました。私たちも笑顔で駆け寄り、腰をおろします。父は机にそっと置きました。
目の前にはお子様ランチがありました。可愛い皿にでっかいオムライスとウインナーにプリンが配置されています。そしてオレンジジュースが置かれました。
おおっ!!何だかわからないけどすごいのがきた!私はびっくりしてジーッと皿を見つめてしまいました。
私は子供用のスプーン片手に食べました。オムライスが美味しくて、何だか幸せでした。
その時祖父や父が何を食べたのか記憶にありません。
しかし今にして思えば、家にお子様ランチ用の皿があったことに驚きます。それまで見た記憶はありませんでした。もしかしたらわざわざ父が買ってきたのかもしれません。
私たちが母がいないと泣かないように、楽しませようとしてくれたのならば。父は頑張りました。
私は楽しく食事しましたから。
……しかし父はいつオムライスを習ったのでしょう。常に母が料理していたのです。それまで父の料理は食べた記憶はありません。
私の中でこの時のお子様ランチは謎にみちているのです。




