うどんの話。
うどんの話。
前回、お刺身の話の中で修学旅行の話をしました。あの時は思い出せませんでしたが、当時の私が学校の文集に書いた『修学旅行の思い出』にとある場所でうどんを食べたとありました。
そういえばそうだった。食べたなぁ、と思い出しました。
京都で自主研修という、班単位で好きな所に行ける日がありました。
私たちは清水寺に行きました。
近くの店で休憩しようという話しになりました。その店では甘酒や蕎麦、きつねうどんやその他の商品を扱っていました。
ちょうど昼頃でしたし、私たちはそこで昼食にしようと決めました。
大きな三角形のお揚げがのっているきつねうどんを食べました。十一月のちょっと涼しい風の中で、温かいうどんがとても美味しかったのです。もちろんお揚げも。
私は修学旅行中の食事でかなりげんなりしていた為、その優しい味に感動したのです。とてもあっさりしていました。濃くはないそのお汁がとても旨かったのです。
私のあまりの感動っぷりに友人たちは引きました。何でそこまで、と呟かれました。が、旅行中一番美味しいものを食べている私にはどうでもいいことです。
東北生まれの為か、それまで京都近郊の薄い、あっさりとした味付けにあまり馴染めませんでした。
ふっ、あの頃は子供だった。と大人になって京都に遊びに行った時に思いました。味わって食べると美味しさがよくわかります。
いかに高校生の私が切羽詰まっていたか、理解していただけるのではないでしょうか。
旨さを噛み締めて食すよりも、取り敢えず食べきらなければならない。あの時はただそれだけを必死に遂行したのです。
残すのは料理人さんに失礼です。
まあ、苦虫を噛んだような顔をして食べるのもかなり失礼ですけれども。あの時の私にそんなことを気にする余裕はありませんでした。
……全てお刺身に対する恨みから、かのうどんは記憶の彼方に霞んで消えてしまっていました。
時々そういえば、とうどんを食べる時にふと思い出すことがたまにあります。美味しかったなって。




