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24時間スーパーですが。  作者: 猫又


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3品目

「馬鹿野郎! 熱くらいで休むな! 根性で這ってでも来い! 舐めてんのか!」

「す、すみません。ですが、陽性なので会社や取引先には行けませ……」

「ならもう来なくていい! クビだ! 無断欠勤でクビになるんだから、今月の給料はなしだ!」

 耳も鼓膜が裂けるかと思うほどの大声で怒鳴られ、次の瞬間には電話は切れていた。

 どうしよう、行くか? と一瞬思ったが、熱は40度近くあり、頭もくらくらしていた。

 身体を起こすのさえ出来なくて吉田は諦めて、敷き布団の上で脱力した。

「マジか、よ、給料なしとかそんなの許されるのかよ……」 

 枕元の水を飲んで、寒気と間接の痛み、頭痛を我慢しながら布団に潜り込んだ。

 また電話が鳴り、見ると会社からだった。

 吉田が腕を伸ばして出るといきなり怒号が聞こえて来た。

 クソだとかバカだとか、興奮しただみ声で怒鳴っているのは上司だった。

 先程の電話は吉田の先輩で、彼から欠勤を聞いて怒り心頭な様子だ。

 本来ならば小心な吉田が電話ででもこれほど罵られたなら謝り倒して急いで飛んでいく所だが、行きたくても起き上がる事も出来ないほど弱っていた。

 おかげで心が苦しくて不安になる事もなく、吉田はその電話を切る事が出来た。

 そして今は何も考えたくない、と布団を被った。

 二、三日して熱が下がったので吉田は会社へ顔を出した。まだふらふらとしながらも無理をして出社したが、結局無視されて廊下に放り出されていた私物を持ってすごすごと帰るしかなかった。

 いつだって一生懸命やっているつもりなのにうまくいかない。拍子が悪いとでも言うのか、良かれと思ってやったことの評価が悪く、バカにされる。社会に出ても快活で口が上手い奴には敵わない。いい奴もいるし、仲良くなれそうな奴もいるが、結局そういう人間から病んで退職してしまうのが現状だ。

 荷物を持って部屋へ戻り、上着を脱いでそのままフローリングの板の間に横になる。

 また熱が出そうなだぁと思いながら目を瞑り、吉田はそのままウトウトと寝入ってしまった。

 はっと目が覚めると、窓の外は真っ暗でもちろん電気もつけていない部屋の中も真っ暗だった。

「え、眠ってしまったのか」

 携帯を手に時間を見ると、もう夜の10時だった。

 板の間の上で直接眠ってしまったので、身体中が痛い。

「イテテテテ、腹も減ったなぁ」

 ネクタイを取り、汗だくのワイシャツとズボンを脱ぐ。 

 シャワーを浴びると少しだけすっきりし、楽な部屋着に着替える。

「何か食うもんあったっけな?」

 寝込んでからずっと買い物にも行けず、助けてくれるような者もいなかった。

 味の濃い出前を頼んで無理矢理食うしかなく、胃もやられていた。

「なんか買いに行くか。胃に優しい物が食いたいなぁ」

 外へ出て通りを歩くとラーメン屋やコンビニがあるが、吉田はそれらへは入る気にならなかった。少し歩くが同級生のいた24時間スーパーに行くことにした。

 あれから何度か会社帰りに来たが、同級生は見かけなかった。

 深夜の枠なのだろう、と思い気にもしなかった。

 今日はいるかな、と思いスーパーに入った。

 やはり薄暗く、人も少ない。

 総菜コーナーで白飯のパックと、一人前用の煮込みうどんのパックをカゴに入れた。

 会社をクビになってしまった今、散財は避けたいが今夜くらいはいいだろう。

 腹一杯食って寝れば、明日には元気になるに違いない。

 自分を叱咤激励して、吉田はレジに向かった。


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