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悪役令嬢、断罪をする

王の間。

 そこには現王ヴァレンチーノ2世と皇太子クリストファー。そしてコーデリウス男爵の3人がいた。


「バハンの実 100キロ

フォサファサの羽根 29羽 

タートタートの甲羅 35キロ ……」

「バハンの実は1キロが金1キロに相当するのじゃろう? それが100キロとな?!」


 ヴァレンチーノ2世が驚いた声を上げた。すかさずクリストファーが笑いながら答えた。


「それだけではありません、王よ。フォサファサの羽根とタートタートの甲羅は神聖霊薬(エリクサー)の原料です。これらはもう価値のつけようがないほど貴重なものですよ」

「はい、皇太子閣下のおっしゃる通りです。まさに、フォルガナンは宝の山です」

「まったく、そちたちがフォルガナンのことを言い出した時は何を馬鹿なことを言っているのかと思っておったが、こんなにも実入りがあるとは、余は思いもしなかったぞ。

こうなったら、もっと大々的にやるのはどうじゃろうか」


 王の提案にコーデリウス男爵の顔が少し曇る。


「いえ、あまり大々的にやりますと、元老院の大貴族たちがうるさいことを言ってきます。

なんといってもあそこは魔族との不可侵条約で触れてはならない聖地でありますから」

「何を言っている。朕は王であるぞ。元老院の大貴族だろうが王である朕が良いと言ったら良いのだ」

「いや、しかし、魔族も黙ってはいないかと……」

「まあ、まあ、王の言われることももっともです。

ちまちま夜に紛れて狩りをするより、拠点を作って腰を据えて狩りをしたほうが効果的。

なに魔族など、結界と砦があります。

フォルガナンは人間の領域にあるのですから我らのものです。どうしようと我らの自由」


クリストファーが口元をゆがめて笑う、その背後の空間がぐにゃりと歪んだ。


「ああ、ここです。こちらが王の間です。

あ、紹介いたします。 あちらに居ますがのヴァレンチーノ2世、そして、隣がクリストファー皇太子。

その横が……すみません。存じ上げません」


 振り向くと、エリシアがいた。クリストファーは目を大きく見開き、次に怒りがこみあげてきて怒鳴った。


「な……、お前はエリシア。なんでお前がこんなところに、お前は魔族領に追放したはずだぞ!」

「あら、申し訳ありません。いろいろありまして、まだ追放になっておりません。

本日は、魔王様をお連れ致しました。魔王様が王様とお話をしたいとのことですから。

紹介いたします。こちら、第92代魔王、デクリファス様です」

「ま、魔王だと?!」


 その場にいた三人が一斉にデクリファスへ目を向けた。身の丈、2メートル近く。濃い紫色の髪から2本の角が生え、禍々しい瘴気がくじくじくと染み出てくるような威圧感があった。


「ま、魔王だと。魔王がなんでこんなところにいるというのだ。ま、まさかお前、裏切ったのか!

この性悪女が!!」


 クリストファー皇太子が唾を飛ばしながら面罵した。と、デクリファスの腕がエリシアの体を掴み、そっと自らの後ろへ下がらせる。


「王と話にきた。お主は王か?」

「え、いや、私は……、ちがいます」

「ならば、黙っていろ。

さて人の王よ。

此度参ったのはフォルガナンのことだ。

あそこは魔族も人も触れてはならない聖なる地。不可侵条約でも何人も近づくことすら相成らぬと定められているはずだが、お主らはそこで立ち入るどころか、狩りをしておろう」

「さ、さぁ、なんのことだか。さっぱり分からんの。

朕らがそのようなことをしているとは、い、言いがかりも甚だしいわ。

なにか証拠があるとでもいうのか! 無礼を言うと、承知しない……うひゃーーー」


 デクリファスの魔王覇気が王以下三人を貫いた。

 コーデリウスはそのまま泡を吹き昏倒し、クリストファー皇太子もヴァレンチーノ2世も玉座から滑り落ち、腰を抜かす。


「証拠が欲しいならくれてやる。サクラントス」

「はい。こちらでーす」


 サクラントスがちょこんと現れる。手には縄を持ち、その先には二人の男がつながれていた。


「ああ、ごめんなさい、ごめんなさい。俺たちはあそこの旦那と王子に言われてフォルガナンで木を切ったり罠を張ったりしただけなんですよぉ。ね、そんな大それたことだなんて思わなかったんです。もうしませんから許してくださいぃ~」


 泣き叫ぶ男たちにいったん視線を移してから、どうだ、と言わんばかりに王たちへ目を向けるデクリファス。ヴァレンチーノ2世は、真っ青な顔になりながら、ぶるぶると首を振った。


「いや、知らんぞ、朕らはそんな男たちなど知らぬ。朕らは関係ないのだ」

「笑止。人を束ねる王であるなら、人がやったことの責任をとれ。

取れぬのなら、今ここで、王をやめよ」

「う、うるさい。お前ごときにそのようなことを言われる筋合いはないわ。お前こそ、無礼を言うのなら今すぐその首を、は、はねてやるぞ!」

「ほう。できるのか。できるのならやってみよ」


 凶悪な笑みを浮かべるデクリファス。その後ろに控えるギュルタイコスとドラギリアスが己の得物を構えて見せた。そこにエリシアが囁くような声で王たちに注進する。


「あの、こちらのデクリファス様は第90代の神殺しデクリファス様と同じと言うことが分かりましたの。

神殺しデクリファスは歴代魔王最強と言われておりまして、今の王都の守備隊では瞬殺だと思いますわ」


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