第八話
私はシャインさん達と別れた後、日和ちゃんに尋ねてみた。
「ねぇ、ヒヨリン。シャインさんに勝てそう?」
日和ちゃんはポーションショップのラインナップを見ながら「うーん」と唸る。
「まぁ。確実に勝てる……とは思って無いかな」
「え? そうなの?」
「うん。まだ戦ってもいないし、それにあの人の役職は"戦士"だから、正直あの人のスタイル次第かなぁ」
「スタイル? 結構あの人体つき綺麗だったよね」
「それもそうだけど、そうじゃないね。スタイルっていうのは、戦士の扱える戦い方みたいなもの。ほとんどの役職と同じ武器と戦い方が出来るんだよね戦士って。だから型というか、何で来るかが読めない」
難しそうな表情で、彼女は言う。
戦士は、剣士や大盾、弓に槍等、役職に囚われずに武器を扱うことができる。
色んな戦闘スタイルがある分、ステータスの振り方が複雑だったり、本来と武器ステータスが違ったりと、難易度は高い役職らしい。
「それであの自信なら……多分強いとは思うよ」
「……そっか。でもヒヨリンなら大丈夫だよ!」
「……ありがとう。一人でもレベリングとかしないとね。あとスキルとかも探してみないと」
ヒヨリンは楽しそうに言った。
「寧ろそんな強そうな人に戦いを挑んで貰えて光栄なんだよね。だから、私の最大限を以て戦いたい」
ヒヨリンは昔から対戦ゲームにおいて、手を抜いたことは無い。
それに知らない人でも敬意を払うことも欠かせない。
そんな所も、彼女の尊敬できるところだ。
ふと私は時計を見る。
「あー。私もうそろそろログアウトしないと」
「あ。もうそんな時間か。お疲れ様」
「うん! また明日ね!」
私はログアウトボタンを押して、ゲームの世界から抜け出した。
その後。
私はカオリと別れてから、辺りを見渡す。
まだまだプレイヤーが歩き回っている。
「……さて。レベリングとスキル探しとかしてみようかな」
私はほとんど宛もなく店や街中をさまよった。
店でポーションなどを購入した後、カオリと行った洞窟に潜るために森に入る。
念の為周りを入念に見回す。
カオリと行った時は気にしてなかったけど、隠しギミックみたいなのがあったりする可能性もある。
キョロキョロしながら森を歩いていると、向こう側に何か光るものが見えた。
思わずニヤリと笑う。
「……やっぱりねぇー♪」
私はウキウキな気分で光の方へと進む。
森の寂しい小道にそこには白色の魔法陣があった。
ポツンと浮かぶ魔法陣に近づいてみると、何か注意書きのようなものが現れる。
『このクエストは"属性魔法使い"を覚えていないと受けられません』
との事。
属性魔法は、カオリの持っている風魔法とかのことだ。
それを覚えないとこのクエストは受けられない。
有益に働くものなのかは分からないけど、やってみる価値はある。
私は自分のスキルを確認する。
属性魔法自体は覚えている。
ただし、使いスキルを取るには何度も同じ属性魔法を使う必要がある。
今までまばらに使っていたから、何かを数回使えばすぐ取れると思う。
何属性にしようか……。
個人的には、カオリと同じ風か、雷属性が良いと思う。
風属性は基本的に魔力のコスパが良く、威力も最低限ある。
雷属性は火力があって、追加効果に"麻痺"が多く有利に戦いやすい。
私は頭をフル回転して考えている。
その直後、私の頭に突然カオリの顔が浮かぶ。
楽しそうに、フィーリングだけで魔法を決めた、彼女の無垢な姿を。
「……フフッ。私も直感で選ぼうかな」
私は頬を緩ませながら、森の中を探索しモンスターを見つけてしばらく狩り続けた。
二十分後。
レベルが10に上がって新たにスキルを入手した。
『炎使い』
効果は『炎属性のスキルや魔法の攻撃力がアップ+消費魔力量減少』とのこと。
私はそれを確認し「うん」と頷く。
「おっけ。狙い通り」
このゲームにおける炎属性は、火力は雷属性と同等以上の高火力属性。
だけど、雷属性のように追加効果の恩恵が少なく魔力の燃費が悪い。
いわゆるロマン砲要素だ。
ガチ勢とかはそこまで気に入らないかも知れない。
私も普段なら多分取らないと思うけど、今作は単純に楽しみたい気持ちが強い。
「それに……そういうロマン砲を使いこなしてこそ……ゲーマーってもんでしょ」
私はそう言ってクスリと笑う。
そしてそのまま振り返り、先程の魔法陣へと向かった。
続く




