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第四話


『風使い』のスキルを入手した私は、レベル上げを継続しておこなっていた。


「おぉ! 確かにさっきより狩りやすくなってる気がする!」


心做しか風属性の攻撃力が上がっている気がしてはしゃぐ。

どうやらスキルの恩恵は大きいらしい。

だけど──。


「うーん。レベルが上がらないなぁ」


先程よりもレベルが上がらなくなってきた。

何だかんだでレベルは5まで上がっており、ステータスも初期より高くなってきた。

だがその分、経験値の量が少なく感じる。

まぁ相手は1レベルくらいのイノシシだし、群れであっても今のレベルでは経験値は少ない。


「ん。まぁ一旦街に戻って……」


私が声をあげて振り返る。

だがその直後、背後で爆音が鳴り響いた。

慌てて向き直ると、そこには教科書や漫画でしか見た事が無い爆煙が上がっていた。

爆風によって宙に打ち上げられたイノシシの群れが、ポリゴン片となって霧散する。


「な、何が……」


私の困惑に答えてくれたのは。


「──いやぁ。危なかったねお嬢ちゃん」


私の隣にいつの間にか立っていた男性だ。

背は私よりも高く、パッと見大学生くらいの先輩だ。

ボサボサとした茶色の髪の毛をポリポリと掻いてヘラヘラ笑う。


「今の爆発は僕がやったんだ。我ながら良きものだったねぇ」


「え、えっと……今のは魔法ですか?」


「んー。半分正解かな?」


男性はニヤつきながら言う。


「の前に。自己紹介しないとね。僕はスニーク。大学一年生。役職はボマーだね」


「あ、えっと。私はカオリ言って、高校生です! 役職は魔法使いです!」


私達は互いに挨拶を交わす。


「ぼ、ボマーって言うのは……何なんでしょう?」


「おっ。良い質問だねぇ。ボマーって言うのは、主に妨害職って言えばいいのかな。設置系統のスキルや地雷系統のスキルを駆使する役職だね。さっきの爆発もそのひとつ」


「ぼ、妨害職ですか……!」


私は驚いた。

日和ちゃんからある程度発売前から役職予想などを聞いていたけど、ボマーという役職はその中に無かった。

妨害職自体は聞いたことはあるけど、そこまで詳しくは無い。


「そそ。何かと嫌がられ安い妨害職さんですよぉ。まぁ、それが仕事だから気にならないんだけどねぇ」


ヘラヘラしながらスニークさんは言った。

私は疑問に思った。


「……ならなんでボマーをやってるんですか?」


「……聞いちゃう?」


どこか嬉しそうに、スニークさんは聞き返した。

私は「はい」と返答する。


「実は僕ね。結構爆弾とかそう言うのが好きなんだよ。変わってるでしょ?」


楽しそうに笑うスニークさんを見て、私も釣られて笑ってしまう。


「海外の映画とかでの爆弾の爆発とかのシーンあるじゃん? あーゆー派手な演出が大好きなんだよ! だけど、流石に現実でそんなことしたら警察ものじゃない? だからゲームとかでくらい扱えないかなって思った感じさ。んで、現在いまのこれって訳」


スニークさんが得意気に爆心地を指差す。

爆心地には大きなクレーターが出来ているが、徐々にポリゴン片が集合し復元されていっている。

私と一緒だ。

強くなることだけを目指すのでは無く、好きなことを楽しむためにゲームをする。

私は日和ちゃんと共にガチな対戦ゲームなどにも触れてきたが、やはりそういう緩い動機が一番だと思う。


「んで? カオリちゃんはレベリングに来たの? 見たところ初心者装備みたいだし」


「はい! でも……レベル上がって来て、経験値がここだと足りなくなってきたなぁって」


「まぁね。ここは初めましての人が戦い慣れるためのモンスターの溜まり場だからね。経験値が美味いのは最初だけだね。僕はここで永遠とイノシシを爆破してたらいつの間にかレベル上がってたんだよね」


彼はそう言って笑うと、草原の向こう側を指差す。


「レベル上げしたいなら、この先の森が良いかもよ。あんまり開拓されてないみたいだし」


「あ……あっちは」


私は口を開きかけてやめた。

スニークさんの指差した方向には、前行った霧のダンジョンへの道がある。

確かにあの辺りはまだ具体的な情報が出されていないのも見ると、本当に未開拓なのだろう。

"私達以外は"

私は事前に日和ちゃんに言われていた。


「さっきの名前のこともそうだけど、ゲームの情報をなるべく他のプレイヤーには流さないようにね。特にスキルのこととか。まぁ対戦に重きを置いたゲームじゃないから、別に平気かもだけど、念の為にね」


結構念入りに注意されたのを覚えている。

この人はここに居座る気満々な雰囲気だから、先んじて攻略などは無いと思う。

だけど、念の為に内緒にしておこう。


「ありがとうございます! スニークさん!」


「ぜーんぜん。ルミフロ楽しんでね」


「はい! あれ、そういえばスニークさんはレベルお幾つなんですか?」


「僕ぁ14だよ」


「え、14!?」


スニークさんはずっとここでイノシシを爆発させてたと言っていた。

じゃあ低い経験値のモンスターを、長時間ずっと狩り続けていたってこと……?


「ふふん。カオリちゃんも大学生になれば分かるさ……暇なのだよ」


どこか悲痛な声を上げる。

私は深くは聞かないことにして、スニークさんにお辞儀をする。


「じゃあ、色々とありがとうございました!」


「うん。またねー」


微笑みながら手を振ってくれた。

それに手を振り返しながら、私は霧のダンジョンのある森へと駆けた。

しばらくすると、霧のダンジョンの入口へとやってきた。

以前来た時と変わらず、濃い霧が立ち込めている。

普通ならこの前日和ちゃんが言った通り色々と不都合が多い。

だけど、今の私にはスキルがある。


「"霧祓い"!」


私がスキルを唱えると、立ち込めていた濃い霧が晴れていく。

洞窟の中の景色が見えるようになった。


「わぁー! これで行けるように……んあ?」


私は不意に鳴った通知音に驚き、通知を見る。

ステータス画面に変化が起こっている。

敏捷のステータスが上昇している。


「……ん? あ、そうか! "霧祓い"の追加効果!」


"霧祓い"のスキルは、特定のスキルを所持した状態で使用すると敏捷ステータスが強くなるという追加効果がある。

スキルの詳細を確認すると、表記が変わっていた。

効果が『ステージ変化"霧"を無効化することができる+"風使い"のスキルを保持している場合、スキル成功時に自身の敏捷が上がる』に変わっていた。


「なるほど……霧を風で祓えるようになることで、より本来の風を扱えているって意味合いなのかな?」


私は勝手な解釈をして、それを飲み込んでみる。

途端にテンションが上がってきた。


「かっこいいぃ!」


キャッキャとつい浮かれてしまう。

私はふと我に返り、誰もいないのにコホンと咳払いする。


「い、今がとりあえず強い状態なんだよね? じゃあ、レッツダンジョンー!」


私はそう叫び、いつもより軽くなった足取りでダンジョンへとスキップした。

──この後、何が起こるかも知らずに……。


続く

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