表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/15

第三話


謎の男の子とすれ違い、私達は暫く歩き続けていた。

そして深い霧のかかった洞窟の入口にやって来た。

洞窟の中が全く見えない。

日和ちゃんが顎に指を添える。


「うーん。これは確かにあの人の言う通りだね」


「うん。これじゃあ入れないの?」


「入れないことはないけど……ちょっと大変そう?」


日和ちゃんが何かを調べながら言う。

画面を見つめながら難しそうに唸る。


「どうやらこれは"霧状態"っていう、ステージ変化状態だね。見た目以上に厄介なものみたい。見ての通り視認性が悪くなるのもあるし、霧状態下にいる全てのプレイヤーとモンスターの被ダメージが上がってるらしい」


「え、被ダメージってことは……攻撃が痛いってこと?」


「そう。しかも防御ステータスが無視されるから普通に痛い。まぁそもそもこのレベルだと全然見えないし入らないに限るね」


そう言うと日和ちゃんはクルッと回れ右をする。


「ということだから、適正スキルを見つけるまではお預けかな。一旦戻ろー」


「う、うん!」


私達は霧の洞窟を後にした。

街へと戻り、最初に入手したステータスポイントを振り分けた。

魔力と知力に多めに振っておいた。

私は満足して頷く。


「ふふん。私、こういうゲームは何だか新鮮かも」


「まぁ。普通のRPGとは違って、自分のことを育成するゲームだからね」


彼女はそう言うと、ステータス画面を静かに閉じる。


「さて。私はそろそろログアウトしようかな。カオリはどうする?」


「私もやめとこうかな。また明日やろうよ!」


「そうだね。明日は金曜日だし心置き無くやれそう」


私達は互いに約束を交わすと、ゲームからログアウトする。

視界がポリゴン片に包まれ、輝いた。

目を開くと、そこは暗闇だった。


「あれ? あ、そうか! VR」


私は手をこめかみに添え、VRの機材を取り外す。

自分の部屋へと戻ってくる。

機材を置いて、ベッドに飛びつく。


「楽しかったぁ。やっぱりゲームは楽しいな。日和ちゃんも私の為に色々と調べてくれてたし」


明日何しよーと考えながら学校の支度をする。

教科書を鞄に詰めながら、私は先程のことを思い出す。

日和ちゃんは私がゲームを楽しくやる為に調べたりしてくれてる。

嬉しいし楽しいけど、甘えてばかりも良くない。

現実でも結構頼ってばかりだし。


「……よし」


私はスマホを手に取り、ゲームの攻略サイトを開いて眺め始める。


翌日。

放課後、私は日和ちゃんに駆け寄り声をかける。


「日和ちゃん! 今日もルミフロやろ!」


「あぁ……えっと今日はちょっと遅れて参加するかも。課題に追われてるもので」


日和ちゃんが「あはは」と苦笑いする。

日和ちゃんはゲームはとても上手で詳しいけど、それ以外は少し苦手な印象がある。

テストの点数はちょっと低くて、居残り勉強も良くやっている。

私はしょんぼりとしてしまう。


「そっか。なら私が先に帰ってやってるね! 課題頑張って!」


「へへ。ありがとう!」


私は彼女に激励を送り、家へと帰宅した。

着替えやら何やらを済ませて、私はVRを起動する。

そして電脳世界に入り、街中を歩き始める。


「確か、最初の街に。霧を対処できるスキルが買える場所があるって……」


私は周りをキョロキョロと見回す。

先日、事前に攻略情報を調べて、街に霧状態を解除するスキルがあるらしい。

公式も公認してる攻略情報サイトだから、たまにあるガセネタでは無いはずだ。

しばらく街をウロウロすると、"スキル店"と書かれた建物を見つけた。

店員と思われるNPCに話しかける。

すると様々なスキルが表示された。


「…………あ! あった!」


私はスキル名をズラっと眺めると、該当するスキルを見つけた。

『霧祓い』

効果は『ステージ変化"霧"を無効化することができる+対象のスキルを保持している場合、スキル成功時に自身の敏捷が上がる』

私は効果を一瞥すると、声を上げる。


「おぉー! これならあの霧が晴らせる! これください!」


私はNPCの店員に思わず呼びかけてスキルを入手した。


「よし! これであの洞窟を攻略できるかも知れない! だけど……レベル上げとかしておこうかな」


私はそのまま、昨日来たイノシシの平原にたどり着く。

やっぱり遠目から見ても分かるが、イノシシは平原を真っ直ぐ駆け抜けていくだけで、こちらには見向きもしない。


「よーし! 行っくぞー!」


私は初期装備の杖を持って駆け出す。

今更だがこの装備にもステータス加算がされるらしい。

魔力と知力が+5と、実に控えめなものだ。


「よし! やるぞぉ……『ウィンド』!」


私はイノシシに向けてスキルを唱える。

緑色に輝く小さな風刃が、イノシシの体を切り裂く。

ポリゴン粒子となって飛散したイノシシを見て、私はよしとガッツポーズをする。

同時にレベルアップの通知も入り、ステータスポイントも渡された。

ステータス画面を見つめてうーんと唸る。


「……とりあえず知力に振っておこう」


知力ステータスに全て振り分け、私はイノシシ狩りを続ける。

あっという間にレベル5まで上がった。

ステータスポイントは知力と魔力に均等に振り分けといた。


「……ていうか、やり過ぎたかな」


思いの外イノシシ狩りだけでも楽しくて、熱中していたらレベルが結構上がっていた。

日和ちゃんと3レベルも差ができている。


「まぁそれでも平気かな! ……ん?」


イノシシ狩りを再開しようとした時、ステータス画面に通知が入る。

新たなスキルを習得しました。

という通知が入り、私は即座にスキルを確認する。

『風使い』

効果は『風属性のスキルや魔法の攻撃力がアップ+魔力消費量減少』


「入手条件は"風属性のスキルや魔法を一定回数使用"か……うわぁ! かっこいい!」


私の胸がときめいた。

風属性を相棒に選んだ証のようなスキルでとてもかっこいい。

これを機に、私は決意した。


「──よし! 私は今日から私は"そよ風のカオリ"だぁー!」


自分で何故か二つ名を考えながら、風属性を強くすることを決意した。


続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ