第二十三話
一方その頃──。
「よっしマモル。今からレベル上げとプレイスキルを上げて行こっか」
「は、はい! よろしくお願いします!」
私はマモルと一緒に霧のダンジョン前の森に来ていた。
マモルはこのゲームを初めてやるため、まだ仕様やプレイスキルをそこまで理解しきれていない。
だからこそ、彼には私が直々に指導することとなった。
「ま、私もそこまでまだやり切れてはいないからある程度の憶測も混ざるけど」
「は、はい……えっと……僕は何をすれば?」
「うーむ。とりあえずレベル上げから始めようか。ここのモンスターに一回だけ手持ちの剣で殴って。あとは私が一掃するから」
「え、僕が倒すんじゃ?」
「うーんやる気があるのも良いし、実際そうすれば早いし成長できるけど、マモルは火力にほとんどポイントを使って無いから、時間かかるんじゃないかなって」
「あぁ……確かに」
「経験値の取り分が半分になっちゃうけど、レベル1のマモルは半分でも結構一気に上がるし。レベルが上がってきてから一人でやってみようか」
「わ、分かりました。わざわざごめんなさい」
「気にしないでって」
その後数分間、私達二人はレベル上げ作業を続けた。
マモルが一回だけ相手を叩いてから、私がその叩いたモンスターを倒すという流れ作業だ。
彼のレベルも一気に6まで上がった。
「結構レベルも上がりましたね!」
「うん……あのさマモル」
「なんですか?」
「その……つまんなくない?」
「え?」
「いや。さっきから同じことしかしてないし、こういうレベル上げ作業って人によって本当に億劫になるし、マモルは基本的にエンジョイ勢だから、あんまり合わないんじゃないかなーって」
「あー。全然大丈夫ですよ! なんて言えばいいんでしょうか……」
マモルがうーんと空を見上げて何かを考え込む。
すると何かピンと来た様な反応を見せる。
「先輩は『内容は面白いけど先生がつまらない授業』と『内容はつまらないけど先生が面白い授業』ならどっちがいいですか?」
「圧倒的前者」
「即答ですね……」
「まぁ、学びになる内容を教えてくれるだけありがたいからね。マモルは違うの?」
「はい! 話してる人が面白かったら内容も面白く感じるんですよ! 先輩とのゲームの話は話してて楽しいので!」
「……良かったぁ」
私はホッと胸を撫で下ろした。
昔から私は自分にとっての最適なものを友達に押し付け安い傾向にある。
ゲームであれば特に。
だから飽きられたり幻滅されることが多かったのだ。
今のところ私の押し付けに文句を言わなかったのはカオリだけだったのだが、彼もそんなに苦では無いらしい。
マモルはリアルでもかなり素直な性格だから、嘘を言ってはいないだろう。
「……じゃ。もう少し特訓続けようか」
「はい! 頑張ります!」
こうして私達は活動を再開した。
──そしてカオリ達は。
「……き、きっつい……」
森の奥地にて、巨大な翼を持つ影と対峙していた──。
続く




