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第二十二話



「翼の生えた……猫?」

私は行き倒れている謎の生き物に近づく。

見た目は本当にただの猫に翼の生えたような生き物だ。

何やらとてもグッタリした様子だ。


「だ、大丈夫……?」


「……ミャーゴン」


すると、猫の頭上にメッセージウィンドウが現れた。

──『クエスト:迷える猫竜の導き』


「ねこ……りゅう……?」


私はクエスト名に書かれた「猫竜」の読み方が分からなくて頭を傾げる。

クエストの説明文を見る。

『森の中で行き倒れていたのは"猫竜《びょうりゅう》"の子供だった。どうやらお腹が空いている様子。何とかして助けてあげよう!』


「……びょうりゅうって言うんだ。かっこいいし可愛いなぁ……何とかしてあげよう!」


私はクエスト受注ボタンの「YES」を押す。

すると猫竜がのっそりと体を起こして翼をパタパタし始めた。

フワッと飛び立ち、私の肩に乗った。

そして肩の上で「ミャーゴン」と鳴いた。


「……可愛いよぉ」


思わずそう呟いてしまう。

すると突然、私の後ろに誰かの気配を感じる。


「カオリ?」


「へ? あぁ! カケル!」


カケルに手を振りながら歩み寄る。


「偶然だね! カケルも新エリアの攻略?」


「まぁそんなとこだ。いつもの仲良しの人は?」


「ヒヨリンはマモル君に色々教える為に一緒にダンジョン行ってるって! リアルでもあの二人って師弟関係みたいな感じだから!」


「ほーん。んで、その変わった猫は?」


「この子はね。クエストのモンスターみたい猫竜《びょうりゅう》って言うんだって!」


私が簡潔に説明すると、カケルが「ほーん」と言いながら猫竜をじっと見つめる。

すると猫竜は私の肩の上で縮こまってしまう。


「……怖がられちゃってるのかな」


「……なるほど。"解せぬ"とはこの事を指すようだな」


カケルが苦笑いを零すと私も釣られて笑ってしまう。

そしてカケルにクエストの内容を説明した。


「なるほど。食べ物か……なぁひょっとするんだが……」


カケルがそう言うと画面を操作し始める。

彼が虚空から具現化させたアイテムは──ただの猫缶である。

なんの変哲もない、リアルにも売られていそうな『魚』と書かれた猫缶である。


「……これどうしたの?」


「さっきその辺のモンスター倒した時にドロップしたんだ。回復アイテムじゃねえみたいだったから換金アイテムかと思って持っていたんだが」


「へぇー。じゃあそこら辺のモンスター倒してみるー」


「え、いやこれやるよ。どうせ使わないし」


「え? い、いいの?」


「おう。今から倒しに行くのも面倒だろ」


「ありがとうー! ほーら猫ちゃんこれ食べるー?」


私はカケルから受け取った猫缶を猫竜に見せてみる。

猫竜は目を輝かせて「ミャーゴン!」と嬉しそうに鳴く。

するとメッセージウィンドウが表示される。

『猫竜に"猫缶"をあげますか?』


「もちろん! あげるよ!」


私は迷わずに"YES"を選択する、猫竜は猫缶を両足に持ち、翼を使って地面にゆったり降りる。

猫缶の蓋を両足でカリカリと開け、中身をもしゃもしゃと食べ始めた。

私はそれをうっとりしながら見つめる。


「可愛いなぁ……ちょっとだけ……」


私は食事中の猫竜の頭にそっと触れてみる。

猫竜は食べるのに夢中で、撫でられても大して反応しなかった。

ふわふわした本物さながらの手触りに、私は頬が緩んでしまう。


「うふふ……きゃわいい……」


「……しっかし。猫とドラゴンの組み合わせとはユニークなもんだ」


「ほんとだねー……この子飼いたいなぁ」


「モンスターだが……こうもちゃんと助けるクエストがあるってんなら、クリアしたら飼えるのかもな」


「ほんと!? じゃあ頑張る!」


「いやまだ決まった訳じゃ……」


私はカケルの言葉を無視して再び猫竜を眺め始めた。


続く

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