第十九話
体力極振りの剣士が、私を絶対に死なせない。
第十九話
その後──。
私とカケルは敵を見つけては倒してを繰り返していた。
二人で戦っていたのもあるのだろうが、カケルの体力はそこまで派手には減っていない。
先程一騎打ちした時にも思ったが、カケルは耐久力が高い人なのか。
思い切って私は彼に聞いてみる。
「あの……カケル? カケルって……本当に耐久力高いよね」
「ん? あぁ。それはな……お前には教えても平気か」
カケルは周りをキョロキョロしながらステータス画面を開く。
私はそれを覗き込むと──。
「……え?」
自分の目を疑ってしまった。
彼のステータスは、攻撃と防御、魔力、器用、知力が全て初期ステータスの20になっている。
そして体力ステータスは──660。
レベルは私とは三つ程しか差が無いが、私の体力とは六倍近く差がある。
私はそこまで耐久にポイントを振っていないから宛にならないかもしれないが、私の最高火力のスキルで攻撃しても、二発程は耐えられてしまう。
しかもカケルには確か体力ステータスを参照とした攻撃があるらしい。
600以上の割合攻撃を放てるのだとしたら、相手からしたら凶悪すぎる。
ヒヨリンが戦ったら勝てるのかな……?
いやでも、ヒヨリンなら何だかんだ勝てそう。
「どうだ? 俺が宛にならねぇぞって言った答えだ」
「……確かにびっくりしたけど。さっきまでの戦いでも心強かったから。私は嫌いじゃないよ!」
「……そうか。まぁなら良いか」
彼は視線を私から逸らした。
何か私変なこと言ったかな?
よく分からなかったまま、イベントは終わりを迎える。
結果は180ポイント。
ヒヨリンもあの後色んな人を狩り続けたらしく、240ポイント稼いだらしい。
流石としか言えない。
イベント終わり、私は改めてカケルにお礼を言った。
「ありがとうカケル! 楽しかったよ!」
「……おう。また機会があったらやろうな」
彼はそうぶっきらぼうに返事をして去って行った。
その後、ゲーム内でヒヨリンと待ち合わせをして話をした。
「なんか私ランキングこれでも上位100位にいるらしいよ?」
「え、そうなの!? 流石だねヒヨリン!」
「んー……まぁ今回のルールだと、結構ポイント高い人を奇襲すればポイントをもぎ取れたりするから、意外と頑張れば上位2桁は簡単なんだよねぇ……私もシャインさんに負けなければ目指せてたなぁ」
ちょっと悔しそうに頬杖をついていた。
あの後シャインさんは一度も負けずに勝ち続け30位くらいの場所にいたらしい。
「そんな実力者だったんだね……」
「まぁね。悔しいけど、逆にここまでの人とギリギリまで渡り合えたんだから、良かったかな」
ヒヨリンは首を傾げながら言う。
「成長に繋がったから良しってことで」
「それなら良かったんじゃない? ヒヨリン落ち込んでるんじゃかいかなって思って心配しちゃったよー」
「ごめんね。大丈夫だよー。むしろもっと強くなりたいって思ったからさ」
二人で強くなることを誓い合い、ゲームを閉じた。
翌日。
学校にて、私達は昼ごはんを一緒に食べるために弁当を持って廊下に出た。
すると──。
「あ! いた! 日和先輩! 香織先輩!」
背後から誰かの声が聞こえた。
振り返ると、そこには一人の男の子が小走りで近づいて来た。
日和ちゃんが反応する。
「お、守じゃん?」
「守君だー。やっほー」
田中守君。
日和ちゃんが学校行事の際に偶然出会って以来仲良くなっている後輩の男の子。
ゲームでの交流も多く、日和ちゃんは彼を「弟子」と呼んで面白がっている。
「これからお昼ですか?」
「そーだよ。守も一緒に食う?」
「は、はい! 良いなら是非!」
彼は目を輝かせる。
私も何も言わずに頷く。
屋上へと向かい、その場に座り込んで弁当を広げる。
すると守君が、スマホを手に取ってあるサイトを開く。
ルミフロの公式サイトだ。
「日和先輩ってこれやってましたよね?」
「んー? 現在進行形で香織とやってるけど……もしかして弟子君……?」
「僕も始めたんです! だから先輩達がやってるなら、アドバイスを貰いたくて」
「おー。ええよー。ちなみに何で作った?」
「え? 何って?」
「ジョブジョブ」
「あぁ! 僕は"盾使い"です!」
「おぉ。"守"だけに守護者ってことね? かっこいいじゃん?」
「え、あ、ありがとうございます!」
守君が嬉しそうに言った。
私はふと思い出す。
「そういえば今ルミフロって、パーティーメンバーとか組めるようになったんだよね?」
「うん。正確に言うならギルドメンバーだね。最大で100人規模の団体を作ることが可能だって話。せっかくだし組んでみる? ギルド対抗戦みたいなのもやるかもしれないし」
「うん! 私と日和ちゃんと守君は決定でしょ。あとは……」
私が考え込むと、守君がピクリと反応する。
「え? 僕も入れてくれるんですか?」
「へ? 私は全然平気だよ! 日和ちゃんが良ければだけど」
私と守君が日和ちゃんに視線を向ける。
彼女はサンドウィッチを頬張りながらキョトンとした顔になる。
「私も大丈夫だよ? それに話しといてハブる訳にもいかないじゃん?」
「先輩……ありがとうございます!」
日和ちゃんは「うぃー」と軽い返事をする。
守君はとても嬉しそうに笑っていた。
続く




