第二十話
その夜。
私とヒヨリンはゲーム内の待ち合わせ場所で守君を待っていた。
ユーザーネームは本名と同じ「マモル」らしい。
しばらく待っていると、守君によく似たプレイヤーが現れる。
私は彼に静かに尋ねる。
「ま、守君で合ってる?」
「は、はい! 合ってますよ!」
「良かったぁ。じゃあフレンド登録しよー」
私達は二人揃って彼をフレンド登録する。
その直後にヒヨリンが守君に確認する。
「さて。マモルはなんの役職選んだの?」
「ぼ、僕は"盾使い"です!」
「……ほぉ盾ね」
ヒヨリンが顎に手を添える。
マモルは自分の能力を見せてくれた。
体力が120で、防御力が75という高水準なステータスだが。
敏捷も50と少し振られている。
私以外にもヒヨリンも気になったようでマモルに尋ねた。
「なんで敏捷も振り分けたの?」
「え? な、なんといいますか。昔から足の速さには自信があったので! ゲームでも活かせないかなと思いまして!」
「なるほどね……いいと思うよ。面白い気がする。素早いタンクってあんまり聞かないから」
「ほ、本当ですか!? 先輩!」
「……ゲームでくらい先輩じゃなくていいよ。ヒヨリンって呼んで」
そう言うと彼は困った様子になりながらも「はい!」と笑顔で返事をする。
するとヒヨリンはギルドに関する説明を始める。
「早速ギルドメンバーになりましょうか。ギルドメンバーになると、今のところ恩恵はほとんど無いんだけど、今後来るって告知されてるギルド対抗戦でのメンバーになるらしい。その時は味方にはどんなに派手な直接攻撃をしても無効化されるという恩恵もあるね」
「あるあるだねー。メンバーの上限は100人だよね?」
「そそ。基本的に他のギルドに加入済みの人以外はスカウトできるし入ることは可能だね。どうする? 誰か声かけてみる?」
「うん! シャインさんとかスニークさんとか!」
「あの二人ね……もしかしたら別のギルドにスカウトされてるかも知れないけどね。スニークさんは分からないけど、シャインさんはランク上位だったのもあって引っ張りだこだと思うし」
「そ、それもそっか! 早く誘ってみる!」
私はメッセージをシャインさんとスニークさんに送ってみた。
スニークさんが直ぐに返信された。
『いーよー。あとで色々申請行こー』
「やったぁ! って……申請?」
私が首を傾げるとヒヨリンが思い出したように声をあげる。
「そうそう。ギルドには申請ってのが必要で、拠点となる建物に申請をしないといけないんだよね。ま、メンバー集めてからでも平気だと思う」
「そうなんだ! じゃああとでスニークさん達と一緒に行こっか」
と思った時、メッセージに返信通知がきた。
シャインさんからだ。
私はメッセージウィンドウを開いて──。
「…………んぇ?」
思わず驚いてしまう。
メッセージの返信にはこう記されていた。
『誘ってくれてありがとう。だけど、私はねヒヨリンちゃんとライバルでいたいんだよね。私が一方的に思ってるだけなんだけどさ。あの子とはいつか本当に全力で戦ってみたいんだ。だからその時の為に対等でいたいんだ。ごめんね』
私はそれをヒヨリンに見せると、目を見開きながらも頷く。
その顔はとてもワクワクしていた。
「……望むところ」
「……じゃあ。一緒に強くなろうね!」
「うん」
続く




